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青木 森

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3.旅立ちの章-47

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 茶髪男をジッと見据えるヤマトとジゼ。
 その表情には、今まで見た事の無い緊張感が滲んでいた。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
 静まる場に、男は満足気な笑みを浮かべ、
「久しぶりだな二人ともぉ~」
「「?」」
「ヤッパ、生きてやがったんだなぁ~すっかり人間社会に馴染んじまってよぉ~。俺ぁ~この間、体を吹っ飛ばされてぇよ、たまったま人が居ねぇこの島で体を回復させてたんだが……まっさか探してたオマエ等の方から来てくれるとはぁ……やっぱ運命だよなぁ~」
 誰の事を言っているのか分からず、顔を見合わせるクルー達。
「おいおいライバルの顔を忘れちまったのか~? まぁ俺としてはよ、最強の座を求めて犬猿の仲だったお前達二人が「仲良しゴッコ」してる今の状況のが、超ウケるけどなぁ~」
 愉快そうに笑い出す茶髪男に、
「「誰の事言ってやがる!」」
 マシューとルークが噛みつくも、
「ギャアギャアうるせぇ、オメェ等じゃねぇ! あくまで人間のフリするってかぁ~?」
 茶髪男の三白眼が鋭く光った。
((まさか……))
 チラリと顔を見合わせるヤマトとジゼ。
「なぁ~有象無象の下等生物ども、面白い物を見せてやろうかぁ?」
 男はニヤつき、両腕を広げると同時に、
「アクセスッ! リストォ!」
 右手を右から左に払い、その動きはまるで目に見えない大きなタブレットを操作している様。男は何かに目を止めニヤリと笑い、右手で空中の何かを叩き落とす様な動きを見せ、
「ロードォ!」
 再び叫ぶと、周囲の砂浜、森、海がざわつき始め、呼応するかの様に男の周辺に無数の小型ナイフが浮かんで出現した。
「なっ、なんだぁ!?」
 ざわつくクルー達。
 マシューとルークも、一瞬驚きはしたものの、
「「テメェは手品師かァ!」」
 毒づく二人に茶髪男は再びニヤリ、不快感を抱かせる笑みを浮かべ、
「正体さらせやァーーーッ!」
 指揮者がタクトでも振るうかの様に右手を振り下ろし、一斉に消えるナイフ。
「「なっ!?」」
 クルー達がほんの一瞬、瞬きした刹那、消えた筈の無数のナイフは、身を乗り出していたマシューとルーク、そしてイサミ、トシゾウ、ソウシの眼前で空中静止していた。
 正確には、青く光るエネルギーフィールドに刺さり、その進行を止めていたのである。
「「お、オマエらぁ……」」
 言葉を失うマシューとルーク。
 青いフィールドを展開してマシュー達を守ったのは、彼等の前で両腕を広げる、ヤマトとジゼであった。
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