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青木 森

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3.旅立ちの章-46

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 やがて全員に食事と飲み物が行き渡ると、ジョッキを手にした艦長がヤマトとジゼの傍らに立った。暑くないのか、何故か艦長だけ制服のまま。
 静まるクルー達。
 集まる視線の中、
「これから二人が、どの様な答えを出すかは分からない。しかぁーーーしッ!」
 艦長はヤマトとジゼを見つめ、
「我等と苦楽を共にした二人は、どれ程離れていても私達の家族だァ!」
「「「「「「「「「おぉーーーーーーーーーッ!」」」」」」」」」」
 湧き起こる大歓喜に艦長は勢いそのままジョッキを振り上げ、
「二人の門出に、かんぱぁーーーーーーぃ!」
「「「「「「「「「かんぱぁ~~~~~~ぃ!」」」」」」」」」」
 歓呼の雄叫びが上がった次の瞬間、
 ドォドォバザァーーーーーーーーーーーーッ!
 ヤマトとジゼが座る主賓席の数十メートル後方、巨大なヤシの木々が海に向かい轟音を立て倒れ、激しい砂煙と海水がスコールの様にパーティー会場へ降り注いぎ、料理を、飲み物を、クルー達の想いの全てを台無しにした。
 降りしきる海水の豪雨の中、
「楽しそうじゃねぇ~かぁ~~~。俺も混ぜてくれよぉ~」
 不敵な笑みを浮かべた茶髪男が近づいて来た。
 見た目の年齢、背格好はヤマトと大差ないものの、猛禽類の様な鋭い三白眼からは異様な殺気を放ち、黒い細身のパンツと、素肌に直に纏った黒く長いローブとが相まって、全身から危険な空気を漂わせていた。
 マシューとルークは台無しになった料理達をチラリと見て、
「「テメェが、やったのか……」」
 今にも飛び掛からんばかり、怒り露わに打ち震え、イサミ達もマシューとルークの足下に駆け寄り、
「なんとことするのよぉ!」
「するんだぁ!」
「す、するんだよぉ……」
 その怒りがクルー達の総意である事は、顔を見れば一目瞭然であった。
 しかし男は歯牙にもかけず、
「やかましい三下どもがァ!」
「「んだとコラァーーーッ!」」
 身を乗り出すと、ヤマトとジゼが両腕を広げ二人を制した。
「「どけぇ! 仲間の想いをオモチャにされて、黙ってられっかァ!」」
 クルー達も飛び掛かろうとするも、
「ダメだァ!!」
 ヤマトが感情を爆発させ、その気迫にマシュー達は思わず動きを止めた。
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