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3.旅立ちの章-39
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ヤマト達がガルシアへ帰艦する少し前―――
夕景を背に、変わらぬ無表情でどこかへ走るナクア。
脇道に差し掛かった刹那、強引なチカラで暗がりへと引きずり込まれ、そのままゴミの山へ投げ飛ばされた。
建物に挟まれた薄暗がりに響く、嘲る様な複数の笑い声。
ナクアが表情一つ変えずに立ち上がる中、先にもめた男達が薄笑いを浮かべ立っていた。
「ったく泣きも喚きもしねぇ、ホント薄っ気味悪いガキだぜぇ」
「…………」
「ガキィ! 助はもう来ねぇぞ! 島民同士、仲良くケリをつけようやぁ」
男の不敵な笑いに、ニヤつく仲間達。
「…………」
「オマエ、さっき宝石を買って貰ったろ。とりあえずクリーニング代にソイツを出しなぁ」
「…………」
無表情のまま、胸に手を当てるナクア。
男は苛立ち、
「早く出せって言ってんだろ! ひんむいて、マニアに売り飛ばしてやるかァ!」
怒鳴り散らした途端、背後から、
「こんな所に居らっしゃいましたか」
場にそぐわぬ呑気な声。
「誰だァ!」
男達が殺気立ち一斉に振り返ると、そこには一羽のアデリーペンギン。
「ぺ、ペンギンだとぉ!? 誰かいるのかァ!」
周囲を見回すも、壁に囲まれた狭い空間に他者が居る筈も無い。
するとペンギンは、まるで男達がそこに存在していないかの様に、
「そろそろお時間ですので、形式上でも戻っていただきませんと困ります」
ペタペタと歩み寄って来た。
「しゃ、喋ったぁ!?」
仲間達がうろたえるも、男はニヤリ。
「ビビってんじゃねぇ! 喋るペンギンたぁガキより金になんぞ!」
目の色を変えた途端、背後から、
「アクセス。リスト」
ナクアの無感情な声が聞こえ、
「ロード」
男達は瞬間的に、何かに上半身を縛られ、
「な、何だコリャ!?」
驚く間もなく、見えないチカラで建物のパイプに括り付けられた。
「はっ、離せぇ! オメェの仕業かァ!」
悪態を吐くも、ペンギンは動じる様子もなくため息を吐き、
「全く以って騒がしいですなぁ~」
するとナクアが男達の下に歩み寄り、無感情な目で見上げ、
「リセット、する」
「はぁ!? チビガキィ! テメェ何言ってやがる!」
喚くと、ペンギンがフリッパー(翼)で男の「弁慶の泣き所」を激しくひと叩き。
ベシッ!
「イッテェーーーッ!」
叫ぶ男に、
「黙れぇ! アドミスター様に無礼であろうぅ!」
「あどみすたぁ? って……まさか、このチビガキがダイバーズの親玉だとぉ!?」
「無礼と言ったァ!」
ベベシィ!
再び脛を強打。
「イッテェ! テメェ俺らをどうする気だァ! リセットって何だァ!」
「…………」
無表情で何も答えないナクアは、マシューとルークから貰ったペンダントをジッと見つめていた。
「アドミスター様、その石がどうかされましたか?」
「貰った」
「左様でございますか。良うございましたな」
「うん。でも「よこせ」って、言われて、イヤだった……ナゼ? ただの、地球の石ころ」
「頂いた相手の方に、「興味と執着」を持たれたのでしょう」
「興味……うん、気になる。見返り、を要求しない贈り物、初めて」
再びペンダントを無表情で見つめると、
「シカトしてんじゃねぇ!」
「「リセット」って何だァ!」
夕景を背に、変わらぬ無表情でどこかへ走るナクア。
脇道に差し掛かった刹那、強引なチカラで暗がりへと引きずり込まれ、そのままゴミの山へ投げ飛ばされた。
建物に挟まれた薄暗がりに響く、嘲る様な複数の笑い声。
ナクアが表情一つ変えずに立ち上がる中、先にもめた男達が薄笑いを浮かべ立っていた。
「ったく泣きも喚きもしねぇ、ホント薄っ気味悪いガキだぜぇ」
「…………」
「ガキィ! 助はもう来ねぇぞ! 島民同士、仲良くケリをつけようやぁ」
男の不敵な笑いに、ニヤつく仲間達。
「…………」
「オマエ、さっき宝石を買って貰ったろ。とりあえずクリーニング代にソイツを出しなぁ」
「…………」
無表情のまま、胸に手を当てるナクア。
男は苛立ち、
「早く出せって言ってんだろ! ひんむいて、マニアに売り飛ばしてやるかァ!」
怒鳴り散らした途端、背後から、
「こんな所に居らっしゃいましたか」
場にそぐわぬ呑気な声。
「誰だァ!」
男達が殺気立ち一斉に振り返ると、そこには一羽のアデリーペンギン。
「ぺ、ペンギンだとぉ!? 誰かいるのかァ!」
周囲を見回すも、壁に囲まれた狭い空間に他者が居る筈も無い。
するとペンギンは、まるで男達がそこに存在していないかの様に、
「そろそろお時間ですので、形式上でも戻っていただきませんと困ります」
ペタペタと歩み寄って来た。
「しゃ、喋ったぁ!?」
仲間達がうろたえるも、男はニヤリ。
「ビビってんじゃねぇ! 喋るペンギンたぁガキより金になんぞ!」
目の色を変えた途端、背後から、
「アクセス。リスト」
ナクアの無感情な声が聞こえ、
「ロード」
男達は瞬間的に、何かに上半身を縛られ、
「な、何だコリャ!?」
驚く間もなく、見えないチカラで建物のパイプに括り付けられた。
「はっ、離せぇ! オメェの仕業かァ!」
悪態を吐くも、ペンギンは動じる様子もなくため息を吐き、
「全く以って騒がしいですなぁ~」
するとナクアが男達の下に歩み寄り、無感情な目で見上げ、
「リセット、する」
「はぁ!? チビガキィ! テメェ何言ってやがる!」
喚くと、ペンギンがフリッパー(翼)で男の「弁慶の泣き所」を激しくひと叩き。
ベシッ!
「イッテェーーーッ!」
叫ぶ男に、
「黙れぇ! アドミスター様に無礼であろうぅ!」
「あどみすたぁ? って……まさか、このチビガキがダイバーズの親玉だとぉ!?」
「無礼と言ったァ!」
ベベシィ!
再び脛を強打。
「イッテェ! テメェ俺らをどうする気だァ! リセットって何だァ!」
「…………」
無表情で何も答えないナクアは、マシューとルークから貰ったペンダントをジッと見つめていた。
「アドミスター様、その石がどうかされましたか?」
「貰った」
「左様でございますか。良うございましたな」
「うん。でも「よこせ」って、言われて、イヤだった……ナゼ? ただの、地球の石ころ」
「頂いた相手の方に、「興味と執着」を持たれたのでしょう」
「興味……うん、気になる。見返り、を要求しない贈り物、初めて」
再びペンダントを無表情で見つめると、
「シカトしてんじゃねぇ!」
「「リセット」って何だァ!」
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