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3.旅立ちの章-35
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一方、男性陣は言うと、ファッショに無頓着なマシューとルークはダニエルに「「後は任せた」」と早々にいなくなり、ダニエルはダニエルで適当にスラックスとジャケット一式をヤマトにあてがうと「じゃあそう言う事で」と笑顔で一言残し、本懐(ナンパ)を遂げに走り去って行った。
見知らぬ町にポツンと一人、取り残される。
(時間までまだあるし、少し歩いてみるか……)
渡された服に着替え、町なかを散策する事にした。
町は幾分騒々しくはあるものの、廃墟と戦火に見舞われた町しか見た事が無かったヤマトにとって非常に興味深く、何をするでもなく活気溢れる商店街を見て歩いていると、何やら人だかりの中心から、荒ぶる男達の声が。
興味本位で野次馬たちの背後から覗き見ると、そこにはヤマトより幾分年下(見た目)の様に見える、腰までありそうな銀髪ロングヘアの少女を、イカツイ顔して年甲斐もなく怒鳴り散らす男達の姿があった。
「どうしてくれるんだよコレを、よぅ!」
少女の手に握られたアイスのコーンと、怒れる男のズボンにつくアイス。
その典型的とも言えるシチュエーションから、もめている理由は何となく察しが付く。
しかし銀髪少女は大男達に囲まれ怒鳴られているにもかかわらず、何も感じていないのか、無表情で、ぼうっと赤い虹彩を向けていた。
喚く男は拳を振り上げ、
「頭も下げやしねぇのか、このガキィ! ふざけやがってぇ!」
少女目がけて容赦なく振り下ろすと、
バシッ!
男の拳は少女に到達する直前、何かに行く手を阻まれた。
「女の前だからって、イイ格好してんじゃねぇぞォ!」
怒れる男の前にいたのは、拳を片手で受け止めるヤマトであった。
「無抵抗の女の子に寄ってたかって、揚句に殴り掛かるだぁ? ダセェにも程があるな!」
ヤマトの気迫に一瞬怯むも、
「や、ヤカマシイッ! テメェも一緒に!」
殴り掛かろうとすると、仲間の一人が大慌て。
「や、止めろ馬鹿ァ! 相手が悪い!」
「何言ってやがる!」
仲間が指差す先を見ると、そこにはガルシアクルーを証明するIDカードが。
「て、テメェ「札持ち」、ダイバーズなのかぁ!? しかもガルシアの乗組員だとぉ!?」
怒りから一転、引きつった顔をし、
「きょ、今日は見逃しやるぅ!」
三文セリフを残し、仲間と共に足早に去って行った。
「大丈夫か?」
振り返ると少女もIDカードを持っておらず、先程の連中と同様、不法島民の様である。
ボンヤリ顔でヤマトを見上げ、「大丈夫」と言わんばかり静かに頷く。
「そうか。じゃあ気を付けて帰るんだぞ」
優しく頭を一撫で背を向けると、シャツの端を引っ張られ、
「え?」
振り向くと、少女は無感情に一言。
「ナクアと居て」
「へ? あぁ、ナクアって言うのか……でも悪いなナクア。そろそろ約束の時間なんだ」
「行く」
「えぇ? 一緒に!?」
困惑するも集合時間は迫り、
「わ、分かった、とりあえず一緒に行こう。でも、ずっとは居られないぞぉ」
ナクアは言われた事を理解したのかしていないのか、その無表情から読み取る事は出来ないが、ヤマトの手をそっと握った。
(仕方ないか……)
ブレイク曰く「朴念仁ヤマト」。
後に起きるであろう惨事を想像も出来ず、ナクアを連れて集合場所へと向かった。
見知らぬ町にポツンと一人、取り残される。
(時間までまだあるし、少し歩いてみるか……)
渡された服に着替え、町なかを散策する事にした。
町は幾分騒々しくはあるものの、廃墟と戦火に見舞われた町しか見た事が無かったヤマトにとって非常に興味深く、何をするでもなく活気溢れる商店街を見て歩いていると、何やら人だかりの中心から、荒ぶる男達の声が。
興味本位で野次馬たちの背後から覗き見ると、そこにはヤマトより幾分年下(見た目)の様に見える、腰までありそうな銀髪ロングヘアの少女を、イカツイ顔して年甲斐もなく怒鳴り散らす男達の姿があった。
「どうしてくれるんだよコレを、よぅ!」
少女の手に握られたアイスのコーンと、怒れる男のズボンにつくアイス。
その典型的とも言えるシチュエーションから、もめている理由は何となく察しが付く。
しかし銀髪少女は大男達に囲まれ怒鳴られているにもかかわらず、何も感じていないのか、無表情で、ぼうっと赤い虹彩を向けていた。
喚く男は拳を振り上げ、
「頭も下げやしねぇのか、このガキィ! ふざけやがってぇ!」
少女目がけて容赦なく振り下ろすと、
バシッ!
男の拳は少女に到達する直前、何かに行く手を阻まれた。
「女の前だからって、イイ格好してんじゃねぇぞォ!」
怒れる男の前にいたのは、拳を片手で受け止めるヤマトであった。
「無抵抗の女の子に寄ってたかって、揚句に殴り掛かるだぁ? ダセェにも程があるな!」
ヤマトの気迫に一瞬怯むも、
「や、ヤカマシイッ! テメェも一緒に!」
殴り掛かろうとすると、仲間の一人が大慌て。
「や、止めろ馬鹿ァ! 相手が悪い!」
「何言ってやがる!」
仲間が指差す先を見ると、そこにはガルシアクルーを証明するIDカードが。
「て、テメェ「札持ち」、ダイバーズなのかぁ!? しかもガルシアの乗組員だとぉ!?」
怒りから一転、引きつった顔をし、
「きょ、今日は見逃しやるぅ!」
三文セリフを残し、仲間と共に足早に去って行った。
「大丈夫か?」
振り返ると少女もIDカードを持っておらず、先程の連中と同様、不法島民の様である。
ボンヤリ顔でヤマトを見上げ、「大丈夫」と言わんばかり静かに頷く。
「そうか。じゃあ気を付けて帰るんだぞ」
優しく頭を一撫で背を向けると、シャツの端を引っ張られ、
「え?」
振り向くと、少女は無感情に一言。
「ナクアと居て」
「へ? あぁ、ナクアって言うのか……でも悪いなナクア。そろそろ約束の時間なんだ」
「行く」
「えぇ? 一緒に!?」
困惑するも集合時間は迫り、
「わ、分かった、とりあえず一緒に行こう。でも、ずっとは居られないぞぉ」
ナクアは言われた事を理解したのかしていないのか、その無表情から読み取る事は出来ないが、ヤマトの手をそっと握った。
(仕方ないか……)
ブレイク曰く「朴念仁ヤマト」。
後に起きるであろう惨事を想像も出来ず、ナクアを連れて集合場所へと向かった。
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