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続章_46

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 地元で名うての有力者であるミズホの両親は、この学校の理事会のトップを務める人物であり、幾人もの国会議員と太いパイプをも持ち、学校へ多額の寄付金を落としている事は周知の事実。
その教育者であるべき理事筆頭が、実の娘への暴力行為で逮捕とでもなれば、寄付金は停止し、学校の運営が立ち行かなくなる事は必至。
 また学校のブランドイメージ低下も避けられず、進学や就職にも影響を与えかねず、各学校が新入生の取り合いをしているほどの少子化が進む日本で、新入生の大幅減少も予想され、公立ではないこの学校の存続の危機と言えた。
(なるほどな……それでこの騒ぎか……)
 ハヤテ教室内を見回した。
(で、ツバサちゃん、ミズホ先輩のケガはどんな感じなんだい?)
(私の調べた所によると、額を数針縫うことになり、今日は脳波の検査で休むそうですが、明日からは登校するようであります)
 まるで見て来たように語るツバサに、半ば呆れた笑みを浮かべるヒカリとサクラであったが、廊下を見つめるハヤテが目の端に留まり、
「ハーくん、どうかしたのかい?」
 するとハヤテはため息交じり、
「騒がしいのが来るって、モノ達が言ってる」
「「「騒がしいの?」」」
 三人娘が首を傾げると、入り口の引き戸が勢いよくガラッと開き、
「ハッハッハ! おはよう諸君、すがすがしい朝であるねぇ! 今日も一日、共に勉学に励もうではないかぁーーー!」
 満面の笑みを浮かべた新津屋が、加津佐と千穂を従え立っていた。
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
 突然の事に驚いて振り向く生徒達であったが、騒ぎの主が新津屋と分かると無言で背を向け、仄暗い噂話に戻った。
 今後の事件の進展次第で転校も視野に入れる生徒達は情報交換に勤しみ、賑やかしでやって来たとしか思えない新津屋の相手など、している暇は無いのである。
 しかし新津屋は、そんな扱いもどこ吹く風。
 いつもと変わらぬ満面の笑顔のまま、両腕を空に向かって広げ、
「ハッハッハッ! 見事なスルーッ! むしろ清々しいぃ!」
 ぞんざいな扱いを受けているのに何故か嬉しそう。
(((鬱陶しいぃ……)))
 厄介そうな顔するハヤテ、サクラ、ツバサ。
 対してヒカリは、新津屋の笑顔に対抗するかのような満面の笑顔で、
「新津屋先輩達、おはよう! 朝から何をしに来たんだぁい?」
 皮肉交じりの一言。
「ハッハッハッ! 姫ガール! 中々辛辣ではないか!」
 笑い飛ばす新津屋。
 すると千穂がいつも通りの無表情の中に、少しムッとした感情を滲ませ、
「『ムッツリ』ッチの、様子を見に来てあげたのに酷い言いよう」
 サクラを指差した。
「「「「!」」」」
(え? 私!?)
 ハッとするハヤテ達。
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