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第十一章
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エリート合成獣たちが語る、人間的とも言える、パストリスに対する下卑た感情の数々から、
『こぉッ、コイツ等ァアァアッ!』
怒れるターナップ。
脳裏に浮かぶは、公務と公務の間の僅かな休憩時間までも使い、地世を少しでも良くする方法を探り、学び、思考する、パストリスの献身的な姿。
彼女の優しさに、真心に、後足で容赦なく砂を掛けられた思いに駆られ、縛られながらも血の涙を流さんばかりの怒りの眼で、
(こんなヤツ等の為ぃ! お嬢は寝る間も惜しんでぇえッ!!!)
怒髪天を衝く。
《バタフライエフェクト》
蝶の羽ばたき程度の小事(しょうじ)が、最終的には取り返しのつかない大事(おおごと)にまで発展してしまうのを意味する地球の言葉であるが、人間時代の記憶に意図せず引きずられる元地球人、百人の勇者であったエリート合成獣たちは理解していなかった。
ここが、異世界であるのを。
引き起こされる事象は地球の比ではなく、そうでなければ天法や地法など、神の御業の如きチカラなど発現しなかったのである。
そして彼らの無理解は、脅威となって牙を剥く。
異変にイチ早く気付いたのは皮肉にも、
『『『ッ!』』』
謁見の間で公務に追われていた魔王パストリスと、最側近の金狼グランや全身鎧のゴゼン。
城下を取り巻く不穏な気配に部屋から即座に飛び出した一方で、震源地に居たエリート合成獣たちは優位に浸るあまり、未だ気付かずに居た。
自分たちの暴言が、愚行が、ターナップの逆鱗に触れてしまっていた事に。
そして遅ればせながら、
「「「「「「「「ん?」」」」」」」」
やっと異変に気付く。
周辺から徐々に集まる、黒い霧のようにも見える「地世のチカラ」の集まりに。
しかし部屋に漂う埃でも払うような仕草で、
「ナンだ、コレ?」
「ジャマ」
「うっとぅしぃ」
「め、ざわり」
邪険に扱うエリート合成獣たち。
そんな彼らの背後に、
『キィ・サァ・マァ・等ァアアァァア!』
地世の黒きチカラに包まれ真っ赤な眼光を放ち、怒りと共にユラリと立ち上がるのは、縛られ、半身を起こすのがやっとであった筈のターナップ。
その圧倒的威圧感が、存在感が、自分たちと変わらぬ体躯の彼を大きく見せ、
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
自然と足は後退る。
その様に見えてしまったのは、感じてしまったのは、チカラが全ての「地世の世界に生きる者」の本能、性(さが)とでも言うものか。
蛇に睨まれた蛙の如き慄きと、恐怖の顔で、
「「「「「「「「あぁ……あぁあぁ…………」」」」」」」」
豹変していくターナップを、ただただ凝視するエリート合成獣たち。
そんな彼らの目の前で、怒れる彼を中心に集まり濃度を密にしていく地世のチカラ。
それはやがて何かの形を成していき、獣らしからぬ私怨からターナップを襲った合成獣たちは、
『『『『どぉ、ドラゴぉおぉン!』』』』
地球人時代の記憶を口にする首謀者を含め、巨竜の影に、形に、腰を抜かした。
逃げ出すこともままならず。
そこへ、
『何ごとですかァ!』
血相を変えて駆け込んで来たのは、平静が信条であった筈の金狼グラン。
怒れるターナップが引き寄せた地世のチカラの集合体である黒きドラゴンに、
「こぉっ、これは!?」
驚きのあまり続ける言葉を失うと、その背後から、
「流石はタープきゅん♪ 暴走がハンパ無いヨォね♪」
「感心している場合ですかゴゼン! 暴走とはどう言う事なのです!」
しかし問われた彼は質問には答えず、
「あぁ~ぁキュミ達ぃは、開いちゃいけない扉をこじ開けちゃったみたいだねぇ~♪」
腰を抜かすエリート合成獣たちを半笑いで見下ろしからかい交じりに笑うと、光背に黒きドラゴンの形を成す地世のチカラを立ち昇らせ、明王の如き異様な立ち姿のターナップを見据え、
「チカラが臨界を迎えるのも時間の問題だよねぇ~♪」
『なにっ?!』
楽しんでいるかに見える彼に金狼グランは苛立ちあらわ、
「答えなさい! 彼に何が起きているのです! 臨界を迎えると何が起きるのです! どうすれば暴走は止められるのです!」
するとゴゼンは軽薄に「ヘラッ」と薄ら笑い、
「タープきゅんは地世の要素を持つ中世人でぇ、天法使いの天世の僧侶でぇ、しかも百人の勇者の末裔でぇ、強大なチカラを受け入れる器としてはハンパなく頑丈だけどぉ、慣れない地世のチカラを大量に流し入れた精神の方は……どぅなるかなぁ~♪」
「!」
「耐え切れずに崩壊してぇ暴れまわってぇ、この辺一帯、灰燼(かいじん)と化すよねぇ~♪」
「…………」
楽し気に持論を展開する顔を、獣の眉間に不快の縦シワを描き見据える金狼グラン。
不愉快極まりないと言った声色で、
「何が、そんなに愉快なのですか?」
問い掛けには敵意すら滲んでいたが、当のゴゼンはドコ吹く風で意に介する様子も見せず、
「早く解決策を見付けないとぉ両親が死ぬ要因を作った地世の世界を強大なチカラでぇ、死ぬまで破壊し尽くすかもねぇ~♪」
「「「「そっ、そんなぁ!」」」」
金狼グランが驚きの声を上げるより先、浅知恵から発端を作った首謀者合成獣たちが嘆きの声を上げ、そうこうしている間にも地世のチカラは怒れる彼の下に雪だるま式で集まり、巨竜の形を完成形へと近付けていく。
臨界を迎えた暴走は、もはやカウントダウン。
打開策を見つけられず内輪モメを続けていると、その様な一行を尻目に、
「…………」
半ば自我を失っていると思しき彼の下に単身で近付いて行く、小さな人影が。
『ッ!』
遅ればせながら気付いた金狼グランがその背に慌て、
『お待ち下さい! お戻り下さい陛下ぁ!』
その影は新王パストリス。
『こぉッ、コイツ等ァアァアッ!』
怒れるターナップ。
脳裏に浮かぶは、公務と公務の間の僅かな休憩時間までも使い、地世を少しでも良くする方法を探り、学び、思考する、パストリスの献身的な姿。
彼女の優しさに、真心に、後足で容赦なく砂を掛けられた思いに駆られ、縛られながらも血の涙を流さんばかりの怒りの眼で、
(こんなヤツ等の為ぃ! お嬢は寝る間も惜しんでぇえッ!!!)
怒髪天を衝く。
《バタフライエフェクト》
蝶の羽ばたき程度の小事(しょうじ)が、最終的には取り返しのつかない大事(おおごと)にまで発展してしまうのを意味する地球の言葉であるが、人間時代の記憶に意図せず引きずられる元地球人、百人の勇者であったエリート合成獣たちは理解していなかった。
ここが、異世界であるのを。
引き起こされる事象は地球の比ではなく、そうでなければ天法や地法など、神の御業の如きチカラなど発現しなかったのである。
そして彼らの無理解は、脅威となって牙を剥く。
異変にイチ早く気付いたのは皮肉にも、
『『『ッ!』』』
謁見の間で公務に追われていた魔王パストリスと、最側近の金狼グランや全身鎧のゴゼン。
城下を取り巻く不穏な気配に部屋から即座に飛び出した一方で、震源地に居たエリート合成獣たちは優位に浸るあまり、未だ気付かずに居た。
自分たちの暴言が、愚行が、ターナップの逆鱗に触れてしまっていた事に。
そして遅ればせながら、
「「「「「「「「ん?」」」」」」」」
やっと異変に気付く。
周辺から徐々に集まる、黒い霧のようにも見える「地世のチカラ」の集まりに。
しかし部屋に漂う埃でも払うような仕草で、
「ナンだ、コレ?」
「ジャマ」
「うっとぅしぃ」
「め、ざわり」
邪険に扱うエリート合成獣たち。
そんな彼らの背後に、
『キィ・サァ・マァ・等ァアアァァア!』
地世の黒きチカラに包まれ真っ赤な眼光を放ち、怒りと共にユラリと立ち上がるのは、縛られ、半身を起こすのがやっとであった筈のターナップ。
その圧倒的威圧感が、存在感が、自分たちと変わらぬ体躯の彼を大きく見せ、
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
自然と足は後退る。
その様に見えてしまったのは、感じてしまったのは、チカラが全ての「地世の世界に生きる者」の本能、性(さが)とでも言うものか。
蛇に睨まれた蛙の如き慄きと、恐怖の顔で、
「「「「「「「「あぁ……あぁあぁ…………」」」」」」」」
豹変していくターナップを、ただただ凝視するエリート合成獣たち。
そんな彼らの目の前で、怒れる彼を中心に集まり濃度を密にしていく地世のチカラ。
それはやがて何かの形を成していき、獣らしからぬ私怨からターナップを襲った合成獣たちは、
『『『『どぉ、ドラゴぉおぉン!』』』』
地球人時代の記憶を口にする首謀者を含め、巨竜の影に、形に、腰を抜かした。
逃げ出すこともままならず。
そこへ、
『何ごとですかァ!』
血相を変えて駆け込んで来たのは、平静が信条であった筈の金狼グラン。
怒れるターナップが引き寄せた地世のチカラの集合体である黒きドラゴンに、
「こぉっ、これは!?」
驚きのあまり続ける言葉を失うと、その背後から、
「流石はタープきゅん♪ 暴走がハンパ無いヨォね♪」
「感心している場合ですかゴゼン! 暴走とはどう言う事なのです!」
しかし問われた彼は質問には答えず、
「あぁ~ぁキュミ達ぃは、開いちゃいけない扉をこじ開けちゃったみたいだねぇ~♪」
腰を抜かすエリート合成獣たちを半笑いで見下ろしからかい交じりに笑うと、光背に黒きドラゴンの形を成す地世のチカラを立ち昇らせ、明王の如き異様な立ち姿のターナップを見据え、
「チカラが臨界を迎えるのも時間の問題だよねぇ~♪」
『なにっ?!』
楽しんでいるかに見える彼に金狼グランは苛立ちあらわ、
「答えなさい! 彼に何が起きているのです! 臨界を迎えると何が起きるのです! どうすれば暴走は止められるのです!」
するとゴゼンは軽薄に「ヘラッ」と薄ら笑い、
「タープきゅんは地世の要素を持つ中世人でぇ、天法使いの天世の僧侶でぇ、しかも百人の勇者の末裔でぇ、強大なチカラを受け入れる器としてはハンパなく頑丈だけどぉ、慣れない地世のチカラを大量に流し入れた精神の方は……どぅなるかなぁ~♪」
「!」
「耐え切れずに崩壊してぇ暴れまわってぇ、この辺一帯、灰燼(かいじん)と化すよねぇ~♪」
「…………」
楽し気に持論を展開する顔を、獣の眉間に不快の縦シワを描き見据える金狼グラン。
不愉快極まりないと言った声色で、
「何が、そんなに愉快なのですか?」
問い掛けには敵意すら滲んでいたが、当のゴゼンはドコ吹く風で意に介する様子も見せず、
「早く解決策を見付けないとぉ両親が死ぬ要因を作った地世の世界を強大なチカラでぇ、死ぬまで破壊し尽くすかもねぇ~♪」
「「「「そっ、そんなぁ!」」」」
金狼グランが驚きの声を上げるより先、浅知恵から発端を作った首謀者合成獣たちが嘆きの声を上げ、そうこうしている間にも地世のチカラは怒れる彼の下に雪だるま式で集まり、巨竜の形を完成形へと近付けていく。
臨界を迎えた暴走は、もはやカウントダウン。
打開策を見つけられず内輪モメを続けていると、その様な一行を尻目に、
「…………」
半ば自我を失っていると思しき彼の下に単身で近付いて行く、小さな人影が。
『ッ!』
遅ればせながら気付いた金狼グランがその背に慌て、
『お待ち下さい! お戻り下さい陛下ぁ!』
その影は新王パストリス。
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