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第十一章
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ラディッシュたち勇者組が天世に旅立った頃――
平時を取り戻しつつあるか見える地世では、
「「…………」」
ターナップが新生魔王パストリスとの「公務の後の密かな御約束」となった読書の時間を過ごしていた。
他の側近たちや家臣たちには秘密の、二人だけの時間。
パストリスの側に淡い感情が芽生えた訳では今のところなく、彼女にとっては忙しい公務の合間の言うなれば「癒しと学びの時間」と言ったところ。
共に時間を過ごすターナップも「今はそれで良い」と割り切っていた。
振り向いてもらえるよりも先、新たなチカラ獲得の為の情報収集が急務であると。
地世で戦えるチカラを一刻も早く得なければ、彼女の隣に立ち続け、彼女を守り続ける事が出来ないと。
しかし現実はそれほど甘くはなかった。
手にした本の内容に、
(何を言ってんのかぁ意味が分からねぇ……)
専門書とは、とかくその様な物である。
何も分からない事を分かるように書いてあるのではなく、分かっているのを前提として、専門用語を用いて解説しているようなもの。
加えて二つの世界(中世と地世)の文化の隔たりによる言葉の表現の微妙な違い、ニュアンスの違いなどにも悩まされた。
救いがあったとすれば、文字自体は中世とさほど変わらぬと言ったところか。
文字がほぼ同じなのは当然である。
地世に人間らしい文化をもたらした初代魔王は元天世人であり、更に言うならその前は中世人であったのだから。
生じた違いは、交流を持たなかったが故の結果である。
(分かんねぇ……)
とは言え、嘆いてばかりは居られない。
同じ条件である筈のパストリスが地世の大改革を成す為に、隣で文句も言わず、時間も忘れるほどに、黙々と知識を蓄えているのだから。
必要不要とジャンルを分別したりせず、手当たり次第に。
彼女曰く、
《どの知識が、どんな形で役に立つか分からないから》
本を読み耽る真剣な横顔を見つめられているとも気付かぬほど。
「…………」
何の気なしに見入ってしまっていたターナップであったが「ハッ」と我に返って、
(馬鹿か俺ぁ! ボサっとしてる場合じゃねぇ!)
気を抜く自身を猛省し、
(早く手掛かりを見付けねぇと!)
本に意識を戻した。
やがて数日掛けて表現の違いやニュアンスの違いにも慣れ始め、数々読んだ本の内容から見えて来たのは、
(想像してぁいたが、天法も地法も人の精神力、ラディの兄貴がたまに言ってたエネルギーってぇヤツが素になってんのは同じみてぇだなぁ)
天技と地技の共通点。
(ただ……)
怪訝な表情で小さくため息を吐き、
(根は一緒だがぁタチ(性質)ぁ真逆なんだよなぁ……)
分かっていた事ではあった。
天法が祈りのチカラを素にした「正のチカラ」なのに対し、地法は恨みや怨念と言ったマイナス感情を素にした「負のチカラ」であるのに。
詰まるところ、
《天法の使い手であるターナップが如何にして真逆のチカラを行使するのか》
思考は堂々巡り。
答えは、易々と見つかる筈も無かった。
中世の僧侶が「地法の使い手」を目指すなど、前代未聞であったから。
しかしそこに可能性の光が全く無い訳でもなかった。
地法を創り出した初代魔王は、
《元は中世人》
彼は、そこに可能性を見ていたのである。
平時を取り戻しつつあるか見える地世では、
「「…………」」
ターナップが新生魔王パストリスとの「公務の後の密かな御約束」となった読書の時間を過ごしていた。
他の側近たちや家臣たちには秘密の、二人だけの時間。
パストリスの側に淡い感情が芽生えた訳では今のところなく、彼女にとっては忙しい公務の合間の言うなれば「癒しと学びの時間」と言ったところ。
共に時間を過ごすターナップも「今はそれで良い」と割り切っていた。
振り向いてもらえるよりも先、新たなチカラ獲得の為の情報収集が急務であると。
地世で戦えるチカラを一刻も早く得なければ、彼女の隣に立ち続け、彼女を守り続ける事が出来ないと。
しかし現実はそれほど甘くはなかった。
手にした本の内容に、
(何を言ってんのかぁ意味が分からねぇ……)
専門書とは、とかくその様な物である。
何も分からない事を分かるように書いてあるのではなく、分かっているのを前提として、専門用語を用いて解説しているようなもの。
加えて二つの世界(中世と地世)の文化の隔たりによる言葉の表現の微妙な違い、ニュアンスの違いなどにも悩まされた。
救いがあったとすれば、文字自体は中世とさほど変わらぬと言ったところか。
文字がほぼ同じなのは当然である。
地世に人間らしい文化をもたらした初代魔王は元天世人であり、更に言うならその前は中世人であったのだから。
生じた違いは、交流を持たなかったが故の結果である。
(分かんねぇ……)
とは言え、嘆いてばかりは居られない。
同じ条件である筈のパストリスが地世の大改革を成す為に、隣で文句も言わず、時間も忘れるほどに、黙々と知識を蓄えているのだから。
必要不要とジャンルを分別したりせず、手当たり次第に。
彼女曰く、
《どの知識が、どんな形で役に立つか分からないから》
本を読み耽る真剣な横顔を見つめられているとも気付かぬほど。
「…………」
何の気なしに見入ってしまっていたターナップであったが「ハッ」と我に返って、
(馬鹿か俺ぁ! ボサっとしてる場合じゃねぇ!)
気を抜く自身を猛省し、
(早く手掛かりを見付けねぇと!)
本に意識を戻した。
やがて数日掛けて表現の違いやニュアンスの違いにも慣れ始め、数々読んだ本の内容から見えて来たのは、
(想像してぁいたが、天法も地法も人の精神力、ラディの兄貴がたまに言ってたエネルギーってぇヤツが素になってんのは同じみてぇだなぁ)
天技と地技の共通点。
(ただ……)
怪訝な表情で小さくため息を吐き、
(根は一緒だがぁタチ(性質)ぁ真逆なんだよなぁ……)
分かっていた事ではあった。
天法が祈りのチカラを素にした「正のチカラ」なのに対し、地法は恨みや怨念と言ったマイナス感情を素にした「負のチカラ」であるのに。
詰まるところ、
《天法の使い手であるターナップが如何にして真逆のチカラを行使するのか》
思考は堂々巡り。
答えは、易々と見つかる筈も無かった。
中世の僧侶が「地法の使い手」を目指すなど、前代未聞であったから。
しかしそこに可能性の光が全く無い訳でもなかった。
地法を創り出した初代魔王は、
《元は中世人》
彼は、そこに可能性を見ていたのである。
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