ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第十一章

11-10

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 地世王の玉座に座す容姿が幼女のパストリスは、表情に多少の緊張が見られるものの堂に入った佇まいで跪く合成獣たちを悠然と見回し、
 
「ボクの名はパストリスなのでぇす。ボクが王位に就いたからには地世を改革し、生まれ変わらせるのでぇす!」

 威風を感じさせる宣言。
 これには彼女なりの計算もあった。

 いつもであれば「共に頑張りましょう」と言う「協力を促す言葉」を選ぶパストリスであったが、ここはチカラが支配する、チカラが全ての世界である。

 その様な世界で生きる者たちを従わせるには慣例にも縛られない、幼い姿ながらも強い背中を、姿勢を、配下の者たちに見せる必要があったのである。
 想像を超えていた彼女の覚悟を目の当たりに、

(嬢ぉ~立派になっちまってぇ~)

 感動したターナップが目頭を押さえた一方で、
((((((((((クァイカァク?!))))))))))
 細波のように、さわさわと広がり始める疑問の声が。

 人型に近いと言っても、合成獣である。
 知能の高さはバラバラで、難しい言葉までは理解できない者も多いのである。
 そんな中、

(王の御前にありながらァ!)

 許可無き会話に不快を覚える金狼グラン。
 怒りを露わに「静粛の一喝」を下そうとしたが、それより先、彼の発言を遮るように、

『疑問に思うのはもっともなのでぇす!』

 パストリスが声を上げ、
(見た目が〇〇なボクは、強い姿勢を、ボクの口で言わないとダメなのでぇす!)
 そして毅然と立ち上がり、

『ボクが目指すは「中世との融和」なのでぇす!』
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 これには合成獣たちも驚いた。
 その様な突飛な構想をブチ上げる王様など、今まで皆無であったから。
 無論、言葉の意味まで理解できない者もあったが「中世」と言うキーワードと彼女が見せた気勢から意図を感じ取り。
 
 さざ波どころでは済まない騒ぎで合成獣たちの間に広がる動揺。

 しかし織り込み済みであった彼女は毅然を崩さず、
「まず第一に、ここに居るボクたちから中世人を襲うのを止めるのでぇす! それから、」
 目標を達成する為の手順を一つ一つ、分かり易く話そうとすると、

『フン! そっただコドぉできるハズねぇでブル』

 主君が発言中であるにも拘わらず、異例と言える批判的な声が。
 地世の置かれた現状を憂いた彼女が導き出した答えに対する、少々たどたどしくもやっかみに、

『お嬢を鼻で笑いやがったクソ野郎ァ誰だァア!』

 怒り心頭は、ターナップ。
 彼女の優しさを、決意を、踏み躙られた思いに駆られ。

 段上から鼻息荒く合成獣たちを睨み、見回したが、パストリスはそれさえ織り込み済みであったのか怒れる彼を優しい笑顔で「まぁまぁ」と宥めた。
 それでも収まらない怒り。

 彼女に寄せる想いが、私情が、そこに介入していた感は否めないがそれだけでなく、地世で暮らす人々のことを想い、暮らしを少しでも良くする為に出された「決意の改善策」が安易な拒否反応から否定された気がしたから。
 
 地世で「彼女と生きる」と腹を括った瞬間から、地世の民に寄り添う覚悟も決めていたのである。

『ケジメはつけさせねぇと!』

 収まらぬ怒りで以て眼下で跪く合成獣たちを見回すと、その気概に触発されてか、売り言葉に買い言葉であったか、群れの後ろの方から、

『オデェが言ったの、マチガイでねぇブル』
「!」

 立ち上がったのは、豚のような面立ちに鋭き牙を有し、熊のような巨体を持った、地球で言うところのオークに近い姿。
 最後列に近い位置に座り、座っている位置的には獣に近い巨漢のオークであったが、ラディッシュ討伐に出陣した師団の団長を務めた実力派合成獣であり、彼もまた「チカラ順の慣例」から外れた位置に座る者であった。

 最弱でありながら最前に立つターナップとは真逆な意味で。

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