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第十章

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 勇者の名前を悪用する一族に対して怒りを見せぬラディッシュに、御歴々は「それならば」と奮い立ち、

『『『『『ワシらも同様にぃ!』』』』』

 買収された担当者の、更なる買収を目論んだ。
 廃村目前であった頃と違い、金銭的体力のある「今の村」なればこそ可能な、非合法な荒業であった。
 しかし村長は、

「止めておいた方が良いでしょう」
『『『『『ッ!』』』』』

 声を荒げるでもなく釘を刺した上で、納得いかない様子の御歴々を前に、

「勇者様はそう言う反応になるのを見越して、こうも仰っておられました」
「「「「「?!」」」」」

《僕が居た世界には因果応報と言う言葉があって、行った悪行は巡り巡って自分たちに返って来る》

「「「「「…………」」」」」

 返す言葉も無い御歴々。
 孫の様な者から正論で諭されては。

 とは言え、黙って引き下がるは腹の虫が治まらず、
「「「「「このまま捨ておけ、と……」」」」」
 拭い切れぬ悔しさを滲ませると、

『落ち込む必要は無いでしょう』
「「「「「?」」」」」

 村長の不敵なニヤリ笑いに、御歴々が首を傾げると、

「勇者様は「行った悪事は巡り巡って自分たちに返って来る」と、仰ったのですから」

 その言葉に、意味に、

『『『『『!』』』』』

 御歴々は息を吹き返し、

「確かにそうじゃな♪」
「まったくじゃな♪」
「勇者様の顔に泥を塗るような行為は、げに慎むべきじゃな♪」
「何せこの村は「西の村」と違い、勇者様方とのゆかりの深~い村じゃからな♪」
「何も焦る必要はないのじゃな♪」

 一転した清々しい笑みを見せ合いながらも、

(((((後悔するが良いぞ守銭奴ども♪)))))

 腹の中で「首謀者たちの末路」を嘲笑った。

 後日、村長や御歴々の密かな願い通り、捕縛された西の村の村長一族と、その一派。
 勇者組からの慈悲であった、

《公的な名前で出した売り上げなのだから、利益は生活困難者の救済に当てるべきでは?》

 遠回しな最後通告を欲に目が眩み見抜けず、それと気付けず屁理屈で一蹴したから。

 元より、叩けば叩いた分だけ埃が出る一族である。
 中央の目を盗んで、または金銭などを使って抱き込んで、隠匿していた悪行の数々を証拠と共に暴露され、投獄される事となった。
 悪知恵の働く一団を捕縛するに当たり、ラディッシュ達が裏で暗躍したのは言うまでもない話であるが。

 しかし村長たちにとって意外であったのが、西の村の村民たちの反応。
 自分たちの長を捕縛され、さぞや「腹を立てる」と思いきや、村民たちはもろ手を挙げて逮捕劇を大喜び、歓迎を以て迎えた。

 その陰には、他の村では考えられない意味不明な徴税や、強制労働など、西の村の村長一派の「村の運営を隠れ蓑」にしたやりたい放題、暴挙の数々があり。
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