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第十章
10-15
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明るい未来を夢見て「発展著しい村」にやって来た不器用男であったが、
「…………」
環境が変わったからと言って「生真面目が過ぎる性格」が易々と変わる訳もなし。
結局は王都での生活と似た経験を繰り返し、
(ここでもかよ……)
自暴自棄になっていた。
職を失い、持ち金を消費するだけの日々。
そつなく仕事をこなし、自分を軽々追い越して行った同期や後輩の背を思い返し、
(なんで俺だけ……不器用な引っ込み思案は夢も見ちゃいけないかよ……)
そんな時宜に声を掛けて来たのが、黒装束の地世信奉者の残党たち。
彼らは天世の怠慢を、怠惰を、男に切々と訴え、
《中世人の日々の苦悩を糧に惰眠を貪るような天世人を許して良いのか》
その言葉は、疲弊した心に心地良かった。
思い通りにならない現状に対する、鬱積の「捌(はけ)け口」として。
重ねて彼らは言う、
『我々はそのような天世に天誅を下す為、物を言えぬ中世の弱き民に成り代わり活動しているのだ』
言葉に違和感は覚えていた。
覚えてはいたが、不徳を働いた訳でも、誰かを蹴落とす為に悪言を吹聴して回った訳でもなく、ただ真面目過ぎるがゆえに結果を出せなかった男は、思い通りにならない現状に苛立ちを募らせ誰かのせいにして憂さを晴らしたく思い、
(そうだ……俺がこんなにも苦労してるのに天世の連中はァア!)
鬱屈から生まれた怒りは違法行為と理解しつつも、信奉者たちに傾倒していった。
そしてこの村における地域リーダーと言える「黒ローブ姿の人物」からの、
《我々が表立って動くのは目立つが故に、お願いします》
命を受け就いたのが「幼き自警団の監視任務」であった。
しかし参加当初は冷静な判断力もあり、
(何で俺が子供の監視を? それに黒いローブを脱いで村人のフリをすれば目立たないんじゃ……)
最もと言える疑問が胸をよぎったが、抱いた疑念以上に「お願いします」と言われた事に気を良くし、
《俺は必要とされている♪》
任された任務はストーカー行為と遜色無いが。
村をパトロールする小さな四つの背に、
(崇高なる地世の活動を邪魔する目障りなガキ共だ!)
何故に組織は「子供の動き」など気にするのか。
それは、ここが村であるから。
発展著しいとは言え「村である事」に変わりなく、大都市ならば「人の多さ」と、都市特有の「他人への無関心」で紛れてしまいそうな小事であっても見逃されず、活動に支障をきたす恐れのある巡視は、相手が例え子供であっても見過ごすことが出来なかったのである。
幼いながらも敵対勢力の一部と見なし、
「…………」
尾行と監視を生真面目に続ける男。
そそっかしいミスと、被害を被った村人への謝罪を繰り返しつつも。
そんな彼の目に映ったのは、
『おぅガキ共ぉ♪ まぁた悪巧みかぁ~♪』
『勝手してるとぉ、まぁた母ちゃんに怒られっぞぉ~♪』
『悪さもほどほどにねぇ~♪』
問題児ばかりと聴かされていた子供たちへ注がれる、村の大人たちの愛情。
手間のかかる子供ほど可愛いと言ったところか。
しかし「愛情の裏返し」とは気付かず、
『アソビじゃねぇよ!』
『アタシたちは村をまもっているのだわ!』
『そうだよそうだよぉ!』
真に受け、猛反発のトロペオラム達。
当人たちにとっては「村を真剣に想ってのこと」であったから。
反省の様子の無い大人たちの笑顔を背に憤慨しながら巡回を続け、行く先々で「愛あるからかいの洗礼」を受ける四人。
そうとは気付けず、機嫌を損ねる幼き自警団。
気付けぬ事が子供らしく、大人から見れば微笑ましくもあり、
「…………」
様子を密かに窺う男は、
(愛されてるな……それに比べて俺は誰からも……)
湧き上がった感情は羨(うらや)みか。
それは「妬み」にも似た感情であり、自身が誰からも必要とされていない思いに駆られた。
任務を与えたくれた地世信奉者たちからさえも。
そして子供たちの裏表の無い、屈託無い喜怒哀楽を仄暗い物陰から見続けているうち、
(俺……何してんだろ……)
虚しさのような物が。
「…………」
環境が変わったからと言って「生真面目が過ぎる性格」が易々と変わる訳もなし。
結局は王都での生活と似た経験を繰り返し、
(ここでもかよ……)
自暴自棄になっていた。
職を失い、持ち金を消費するだけの日々。
そつなく仕事をこなし、自分を軽々追い越して行った同期や後輩の背を思い返し、
(なんで俺だけ……不器用な引っ込み思案は夢も見ちゃいけないかよ……)
そんな時宜に声を掛けて来たのが、黒装束の地世信奉者の残党たち。
彼らは天世の怠慢を、怠惰を、男に切々と訴え、
《中世人の日々の苦悩を糧に惰眠を貪るような天世人を許して良いのか》
その言葉は、疲弊した心に心地良かった。
思い通りにならない現状に対する、鬱積の「捌(はけ)け口」として。
重ねて彼らは言う、
『我々はそのような天世に天誅を下す為、物を言えぬ中世の弱き民に成り代わり活動しているのだ』
言葉に違和感は覚えていた。
覚えてはいたが、不徳を働いた訳でも、誰かを蹴落とす為に悪言を吹聴して回った訳でもなく、ただ真面目過ぎるがゆえに結果を出せなかった男は、思い通りにならない現状に苛立ちを募らせ誰かのせいにして憂さを晴らしたく思い、
(そうだ……俺がこんなにも苦労してるのに天世の連中はァア!)
鬱屈から生まれた怒りは違法行為と理解しつつも、信奉者たちに傾倒していった。
そしてこの村における地域リーダーと言える「黒ローブ姿の人物」からの、
《我々が表立って動くのは目立つが故に、お願いします》
命を受け就いたのが「幼き自警団の監視任務」であった。
しかし参加当初は冷静な判断力もあり、
(何で俺が子供の監視を? それに黒いローブを脱いで村人のフリをすれば目立たないんじゃ……)
最もと言える疑問が胸をよぎったが、抱いた疑念以上に「お願いします」と言われた事に気を良くし、
《俺は必要とされている♪》
任された任務はストーカー行為と遜色無いが。
村をパトロールする小さな四つの背に、
(崇高なる地世の活動を邪魔する目障りなガキ共だ!)
何故に組織は「子供の動き」など気にするのか。
それは、ここが村であるから。
発展著しいとは言え「村である事」に変わりなく、大都市ならば「人の多さ」と、都市特有の「他人への無関心」で紛れてしまいそうな小事であっても見逃されず、活動に支障をきたす恐れのある巡視は、相手が例え子供であっても見過ごすことが出来なかったのである。
幼いながらも敵対勢力の一部と見なし、
「…………」
尾行と監視を生真面目に続ける男。
そそっかしいミスと、被害を被った村人への謝罪を繰り返しつつも。
そんな彼の目に映ったのは、
『おぅガキ共ぉ♪ まぁた悪巧みかぁ~♪』
『勝手してるとぉ、まぁた母ちゃんに怒られっぞぉ~♪』
『悪さもほどほどにねぇ~♪』
問題児ばかりと聴かされていた子供たちへ注がれる、村の大人たちの愛情。
手間のかかる子供ほど可愛いと言ったところか。
しかし「愛情の裏返し」とは気付かず、
『アソビじゃねぇよ!』
『アタシたちは村をまもっているのだわ!』
『そうだよそうだよぉ!』
真に受け、猛反発のトロペオラム達。
当人たちにとっては「村を真剣に想ってのこと」であったから。
反省の様子の無い大人たちの笑顔を背に憤慨しながら巡回を続け、行く先々で「愛あるからかいの洗礼」を受ける四人。
そうとは気付けず、機嫌を損ねる幼き自警団。
気付けぬ事が子供らしく、大人から見れば微笑ましくもあり、
「…………」
様子を密かに窺う男は、
(愛されてるな……それに比べて俺は誰からも……)
湧き上がった感情は羨(うらや)みか。
それは「妬み」にも似た感情であり、自身が誰からも必要とされていない思いに駆られた。
任務を与えたくれた地世信奉者たちからさえも。
そして子供たちの裏表の無い、屈託無い喜怒哀楽を仄暗い物陰から見続けているうち、
(俺……何してんだろ……)
虚しさのような物が。
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