577 / 894
第八章
8-59
しおりを挟む
悪事千里を走る。
捕らえられた二人が大陸中から指名手配されていた大物窃盗犯と判明するのに、さほど時間は要しなかった。
庇護者である勇者組の性格を反映してか、発展著しい村でありながら人と人との繋がりを大切にするこの村に、過ぎた欲を出してやって来たのが運の尽きであった。
とは言えそれは後日の話で、今は疑念を持たれた眠り姫サロワートの話。
容疑者が拘束され村人たちは平時の精神状態を幾分取り戻したが、いざ冷静さを取り戻すと、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
恩人を手前勝手な決めつけで「盗人(ぬすっと)呼ばわり」してしまった事に、今更ながらバツが悪い。
サロワートの意識があるならば即座に謝罪も出来ようが、彼女は椅子車で眠ったままである。
例えラディッシュたち勇者組に頭を下げたとしても、それは「本質的な謝罪」と異なるのが分かるが故に、
((((((((((どうしよ……))))))))))
思い惑った。
すると、
『悩む必要ナイしぃー♪』
笑顔のリンドウが高らかに声を上げ、
「そもぉそもぉこのオンナが目を覚まさないからぁ「ややこしい事」になるのしぃ♪」
意気揚々と袖まくり。
眠り姫に近付いて行き、不穏を察したラディッシュたち勇者組は、
『ちょちょっリンドウさぁん!』
慌てて止めに入ろうとしたが、彼女は気にする風も無く勢いそのまま右腕を大きく振りかぶりながら、
《アーシの内なる天世のチカラを以てアーシは行使すぅ!》
その身を白き輝きに包み、
「ダメだってリンドウさぁん!」
『イイ加減に目を覚ますしぃー♪』
制止も聞かず高々掲げた右手を彼女の額に押し当てようとした。
しかし次の瞬間、
『アタシの体を目覚めさせるんじゃナイわよぉパリピ女ぁ!』
背後からの声に即座に術を止め、
『ダレぇがぁ「パリピ」しぃ!』
振り向くリンドウは勇者組や村人たちの、
《貴方しか居ないでしょ》
ツッコミたげな顔に気付くことなく、
『誰が言ったのしぃ!』
憤慨顔で声の主を探し、
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
その場に居た全員が驚いた。
声の主は大人相手に先陣切って異を唱えて見せた、オキザリスであった。
先程まで見せていた彼女らしい振る舞いは何処へやら。
仁王立ちの腕組みで、リンドウを真っすぐ睨みつけていた。
幼馴染のトロペオラムとフリージアも彼女の変貌ぶりに言葉を失う中、オキザリスは幼女らしからぬ毅然で以て、
『アタシはサロワートよ!』
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
「アタシの体には、あのゲス男(フリンジ)が狂暴な合成獣化する地法を掛けてるの! だから絶対に目覚めさせるんじゃないわよ!」
不機嫌に横を向くツンデレ姿は、正にサロワートであった。
捕らえられた二人が大陸中から指名手配されていた大物窃盗犯と判明するのに、さほど時間は要しなかった。
庇護者である勇者組の性格を反映してか、発展著しい村でありながら人と人との繋がりを大切にするこの村に、過ぎた欲を出してやって来たのが運の尽きであった。
とは言えそれは後日の話で、今は疑念を持たれた眠り姫サロワートの話。
容疑者が拘束され村人たちは平時の精神状態を幾分取り戻したが、いざ冷静さを取り戻すと、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
恩人を手前勝手な決めつけで「盗人(ぬすっと)呼ばわり」してしまった事に、今更ながらバツが悪い。
サロワートの意識があるならば即座に謝罪も出来ようが、彼女は椅子車で眠ったままである。
例えラディッシュたち勇者組に頭を下げたとしても、それは「本質的な謝罪」と異なるのが分かるが故に、
((((((((((どうしよ……))))))))))
思い惑った。
すると、
『悩む必要ナイしぃー♪』
笑顔のリンドウが高らかに声を上げ、
「そもぉそもぉこのオンナが目を覚まさないからぁ「ややこしい事」になるのしぃ♪」
意気揚々と袖まくり。
眠り姫に近付いて行き、不穏を察したラディッシュたち勇者組は、
『ちょちょっリンドウさぁん!』
慌てて止めに入ろうとしたが、彼女は気にする風も無く勢いそのまま右腕を大きく振りかぶりながら、
《アーシの内なる天世のチカラを以てアーシは行使すぅ!》
その身を白き輝きに包み、
「ダメだってリンドウさぁん!」
『イイ加減に目を覚ますしぃー♪』
制止も聞かず高々掲げた右手を彼女の額に押し当てようとした。
しかし次の瞬間、
『アタシの体を目覚めさせるんじゃナイわよぉパリピ女ぁ!』
背後からの声に即座に術を止め、
『ダレぇがぁ「パリピ」しぃ!』
振り向くリンドウは勇者組や村人たちの、
《貴方しか居ないでしょ》
ツッコミたげな顔に気付くことなく、
『誰が言ったのしぃ!』
憤慨顔で声の主を探し、
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
その場に居た全員が驚いた。
声の主は大人相手に先陣切って異を唱えて見せた、オキザリスであった。
先程まで見せていた彼女らしい振る舞いは何処へやら。
仁王立ちの腕組みで、リンドウを真っすぐ睨みつけていた。
幼馴染のトロペオラムとフリージアも彼女の変貌ぶりに言葉を失う中、オキザリスは幼女らしからぬ毅然で以て、
『アタシはサロワートよ!』
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
「アタシの体には、あのゲス男(フリンジ)が狂暴な合成獣化する地法を掛けてるの! だから絶対に目覚めさせるんじゃないわよ!」
不機嫌に横を向くツンデレ姿は、正にサロワートであった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】能力が無くても聖女ですか?
天冨 七緒
恋愛
孤児院で育ったケイトリーン。
十二歳になった時特殊な能力が開花し、体調を崩していた王妃を治療する事に…
無事に王妃を完治させ、聖女と呼ばれるようになっていたが王妃の治癒と引き換えに能力を使い果たしてしまった。能力を失ったにも関わらず国王はケイトリーンを王子の婚約者に決定した。
周囲は国王の命令だと我慢する日々。
だが国王が崩御したことで、王子は周囲の「能力の無くなった聖女との婚約を今すぐにでも解消すべき」と押され婚約を解消に…
行く宛もないが婚約解消されたのでケイトリーンは王宮を去る事に…門を抜け歩いて城を後にすると突然足元に魔方陣が現れ光に包まれる…
「おぉー聖女様ぁ」
眩い光が落ち着くと歓声と共に周囲に沢山の人に迎えられていた。ケイトリーンは見知らぬ国の聖女として召喚されてしまっていた…
タイトル変更しました
召喚されましたが聖女様ではありません…私は聖女様の世話係です
天才魔導医の弟子~転生ナースの戦場カルテ~
けろ
ファンタジー
【完結済み】
仕事に生きたベテランナース、異世界で10歳の少女に!?
過労で倒れた先に待っていたのは、魔法と剣、そして規格外の医療が交差する世界だった――。
救急救命の現場で十数年。ベテラン看護師の天木弓束(あまき ゆづか)は、人手不足と激務に心身をすり減らす毎日を送っていた。仕事に全てを捧げるあまり、プライベートは二の次。周囲からの期待もプレッシャーに感じながら、それでも人の命を救うことだけを使命としていた。
しかし、ある日、謎の少女を救えなかったショックで意識を失い、目覚めた場所は……中世ヨーロッパのような異世界の路地裏!? しかも、姿は10歳の少女に若返っていた。
記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。
偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。
彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。
「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」
強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。
「菌?感染症?何の話だ?」
滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級!
しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。
規格外の弟子と、人外の師匠。
二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。
これは、神のいない手術室で命と向き合い続けた一人の看護師が、新たな世界で自らの知識と魔法を武器に、再び「救う」ことの意味を見つけていく物語。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
聖女の孫だけど冒険者になるよ!
春野こもも
ファンタジー
森の奥で元聖女の祖母と暮らすセシルは幼い頃から剣と魔法を教え込まれる。それに加えて彼女は精霊の力を使いこなすことができた。
12才にった彼女は生き別れた祖父を探すために旅立つ。そして冒険者となりその能力を生かしてギルドの依頼を難なくこなしていく。
ある依頼でセシルの前に現れた黒髪の青年は非常に高い戦闘力を持っていた。なんと彼は勇者とともに召喚された異世界人だった。そして2人はチームを組むことになる。
基本冒険ファンタジーですが終盤恋愛要素が入ってきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる