545 / 706
第八章
8-27
しおりを挟む
想定外でリンドウから声を掛けられたラディッシュは思わず足を止めはしたが、
(た、立ち止まっちゃった……どんな顔して振り返ればイイんだぁ……)
振り返れずに居ると、彼女は彼の背に、
「ラディもぉ「アーシの話」を聴いて行くしぃ」
「え?!」
興味は大(おお)いにあったが呼ばれていなかった故に、
「で、でも……」
バツが悪そうに、恐る恐る振り向くと、
「今からするアーシの話は「ラミウムにも繋がる話」なのしぃ」
「!」
驚くラディッシュ。
どういった話の流れで彼女が語る事になったのか、経緯を知らない彼が驚いたのは当然であるが、話の思わぬ広がりに、
「「「「「…………」」」」」
ドロプウォートたち勇者組も、驚きと好奇を隠せなかった。
そんな大人たちの中から、
『パパ♪』
天使の笑顔で、彼を手招きするチィックウィード。
大人の小難しい「立場や体裁」など、無縁の笑顔で。
「…………」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
幼子の屈託無い笑顔で場の空気はなごみ、ラディッシュは娘(仮)に促さるまま、
「…………」
娘が空けた席に座ると、彼女は「ニヒッ」と笑って父(仮)の膝に飛び乗り座った。
幼子の取り成しにより「居場所を確保」できた彼ではあったが、それでも自分一人が呼ばれていなかった場に着席するのは、
「…………」
正直な話で、居心地悪くはあった。
娘(仮)の気遣いを台無しにしない為、あえて口にはしなかったが。
一方、リンドウは彼の「繊細な心の機微」などお構い無し。
形ばかりの落ち着きを取り戻した場で、
『アータ達はぁ知ってるしぃ?!』
「「「「「「「?」」」」」」」
勇者組を笑顔で指差し、
「百人の天世人のチカラは百個しか無くてぇ、後継は指名による「チカラの受け渡し」なんしぃ♪」
ドヤを交えた笑顔で解説しつつ、
「なんだけどぉ~」
含んだ物言いでラディッシュをチラ見し、
(ん?)
視線の意味が理解できない様子の彼に、
「もっともぉ今は~「誰かさん」が一個(ハクサン)を壊してくれたお蔭でぇ、九十九個しか無いんしぃ~♪」
「!」
からかいの笑みに、
(そ、そう言われましてもぉ……)
張本人であるラディッシュと勇者組の仲間たちが困惑笑いを浮かべると、
「まぁソレはぁ仕方ナイ話しぃ~♪」
場の空気をなごませる目的の、余談であったのを窺わせつつ、
「アーシの場合はぁ天世での活躍が認められてぇ、前任者から指名を受けたのしぃ♪」
話を本題に戻したが、前任者との間にロクな思い出が無いのか、
「(前任者は)下位だったしぃ……」
暗い顔して視線を落したが、
『『『『『『『かつやくぅ?!』』』』』』』
そちらの方が気に掛かり、意外に感じた驚き声を上げる勇者組。
彼女の「天世での活躍」と聞いて。
『どう言う「驚き」しぃ!』
憤慨するリンドウに、七人は笑ってお茶を濁したが、
(
((((((あ!)))))))
今更のように思い出した。
彼女は、功績無しには就けぬ序列順位の者であることに。
出会ってから「今日までの言動」を見ていると、つい、うっかり、忘れがちではあるが。
彼女は紛れも無く「百人の天世人」の「序列二位」なのである。
(た、立ち止まっちゃった……どんな顔して振り返ればイイんだぁ……)
振り返れずに居ると、彼女は彼の背に、
「ラディもぉ「アーシの話」を聴いて行くしぃ」
「え?!」
興味は大(おお)いにあったが呼ばれていなかった故に、
「で、でも……」
バツが悪そうに、恐る恐る振り向くと、
「今からするアーシの話は「ラミウムにも繋がる話」なのしぃ」
「!」
驚くラディッシュ。
どういった話の流れで彼女が語る事になったのか、経緯を知らない彼が驚いたのは当然であるが、話の思わぬ広がりに、
「「「「「…………」」」」」
ドロプウォートたち勇者組も、驚きと好奇を隠せなかった。
そんな大人たちの中から、
『パパ♪』
天使の笑顔で、彼を手招きするチィックウィード。
大人の小難しい「立場や体裁」など、無縁の笑顔で。
「…………」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
幼子の屈託無い笑顔で場の空気はなごみ、ラディッシュは娘(仮)に促さるまま、
「…………」
娘が空けた席に座ると、彼女は「ニヒッ」と笑って父(仮)の膝に飛び乗り座った。
幼子の取り成しにより「居場所を確保」できた彼ではあったが、それでも自分一人が呼ばれていなかった場に着席するのは、
「…………」
正直な話で、居心地悪くはあった。
娘(仮)の気遣いを台無しにしない為、あえて口にはしなかったが。
一方、リンドウは彼の「繊細な心の機微」などお構い無し。
形ばかりの落ち着きを取り戻した場で、
『アータ達はぁ知ってるしぃ?!』
「「「「「「「?」」」」」」」
勇者組を笑顔で指差し、
「百人の天世人のチカラは百個しか無くてぇ、後継は指名による「チカラの受け渡し」なんしぃ♪」
ドヤを交えた笑顔で解説しつつ、
「なんだけどぉ~」
含んだ物言いでラディッシュをチラ見し、
(ん?)
視線の意味が理解できない様子の彼に、
「もっともぉ今は~「誰かさん」が一個(ハクサン)を壊してくれたお蔭でぇ、九十九個しか無いんしぃ~♪」
「!」
からかいの笑みに、
(そ、そう言われましてもぉ……)
張本人であるラディッシュと勇者組の仲間たちが困惑笑いを浮かべると、
「まぁソレはぁ仕方ナイ話しぃ~♪」
場の空気をなごませる目的の、余談であったのを窺わせつつ、
「アーシの場合はぁ天世での活躍が認められてぇ、前任者から指名を受けたのしぃ♪」
話を本題に戻したが、前任者との間にロクな思い出が無いのか、
「(前任者は)下位だったしぃ……」
暗い顔して視線を落したが、
『『『『『『『かつやくぅ?!』』』』』』』
そちらの方が気に掛かり、意外に感じた驚き声を上げる勇者組。
彼女の「天世での活躍」と聞いて。
『どう言う「驚き」しぃ!』
憤慨するリンドウに、七人は笑ってお茶を濁したが、
(
((((((あ!)))))))
今更のように思い出した。
彼女は、功績無しには就けぬ序列順位の者であることに。
出会ってから「今日までの言動」を見ていると、つい、うっかり、忘れがちではあるが。
彼女は紛れも無く「百人の天世人」の「序列二位」なのである。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
僕の従魔は恐ろしく強いようです。
緋沙下
ファンタジー
僕は生まれつき体が弱かった。物心ついた頃から僕の世界は病院の中の一室だった。
僕は治ることなく亡くなってしまった。
心配だったのは、いつも明るく無理をして笑うお母さん達の事だった。
そんな僕に、弟と妹を授ける代わりに別の世界に行って見ないか?という提案がもたらされた。
そこで勇者になるわけでもなく、強いステータスも持たない僕が出会った従魔の女の子
処女作なのでご迷惑かける場面が多数存在するかもしれません。気になる点はご報告いただければ幸いです。
---------------------------------------------------------------------------------------
プロローグと小説の内容を一部変更いたしました。
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした
せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる