533 / 706
第八章
8-15
しおりを挟む
乗り越えなければならない問題が解決に至るより先――
村はずれに身を隠し、密かに指示を出していた「首謀犯の天世人四人」がほどなく捕縛された。
呆気ない幕切れであったが、スパイダマグたち親衛隊の尋問に対し四人は犯行理由を、
《チョウカイ様の密命により》
実行に至った動機を、
《百人の天世人の席を与えると言われ》
同胞の稚拙さ、短絡さに、
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
呆れるばかりの中世に降りた天世人、スパイダマグたち親衛隊やリンドウたちであったが、捕らえた四人の胸元に目を留め、
『『『『『『『『ッ!』』』』』』』』
ギョッとした。
天世組の驚きように、
「どっ、どうかしたの?!」
戸惑いを覚えるラディッシュたち勇者組。
するとスパイダマグは困惑した口振りで、
「か、彼らが身に付けている首飾りは「地世のチカラの浸蝕を阻む」と言う、天世において非常に貴重な装飾品なのです」
「「「「「「「?」」」」」」」
「つまりは、その……捨て駒に与えるに「あまりに不釣り合いな品」でして……」
「「「「「「「…………」」」」」」」
チョウカイの真意が読めずに居ると、
『なるほどしぃ~♪』
気付き声をあげたのは、彼女との因縁浅からぬリンドウ。
振り向くラディッシュ達やスパイダマグ達を前に、
「何でコイツらぁ「わざわざの四人」だとぉ思うしぃ?」
辟易した笑いを見せながら、実行犯の一人から首飾りを取り上げると、
「あぁ~なるほぉ」
「そう言う意味なのねぇ」
ゴゼンとヒレンも何事かに気付いた様子の半笑いで、各々実行犯から首飾りを取り上げると、リンドウは残る一人からも首飾りを取り上げ、
『これってばぁアーシ達に宛てた物しぃ♪』
それを未だ理解の及ばぬ様子のスパイダマグに差し出し、
「アーシらにぃ「(邪魔だから)帰って来るな」って当て付けしぃ♪」
「!」
「回りクドイのが好きなぁアノ女がやりそうな事しぃ~♪」
呆れ笑いに、
「「「「!?」」」」
愕然とする、指示役であった天世の四人。
話の流れから、自分たちが「アサシン(暗殺者)」として放たれたのではなく、計画の成否は二の次の、捨て駒、単なる運び屋、メッセンジャーとして、中世に降ろされたのだと悟り。
加えて、捕縛されるのも織り込み済みであったとも理解した。
地世のチカラの浸蝕を妨げる首飾りを取られ、村から逃げる事も出来なくなった失意の天世人四人。
その一方で、とある懸念を抱えていたラディッシュにとってリンドウ達が首飾りを手にしたのは、
《ラッキィー♪》
正に棚から牡丹餅であった。
(これでリンドウさん達を、自由に連れ回せぇる♪)
とある懸念とは「地世のチカラの浸蝕」。
長距離移動ともなれば天世人三人が受ける汚染は免れず、かと言って敵の襲撃がいつ、何処であるか不明な旅路で、村や町に定期的に入って「教会で浄化を受ける」など現実的な話ではなく、三人が地世のチカラの浸蝕を受けないようにする方策は、解決必須必の事案であった。
しかしそれも「地世のチカラを阻む首飾り」を手に入れた事で無事に解決。
ラディッシュは、
(行こう!)
旅立ちを決意した。
村はずれに身を隠し、密かに指示を出していた「首謀犯の天世人四人」がほどなく捕縛された。
呆気ない幕切れであったが、スパイダマグたち親衛隊の尋問に対し四人は犯行理由を、
《チョウカイ様の密命により》
実行に至った動機を、
《百人の天世人の席を与えると言われ》
同胞の稚拙さ、短絡さに、
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
呆れるばかりの中世に降りた天世人、スパイダマグたち親衛隊やリンドウたちであったが、捕らえた四人の胸元に目を留め、
『『『『『『『『ッ!』』』』』』』』
ギョッとした。
天世組の驚きように、
「どっ、どうかしたの?!」
戸惑いを覚えるラディッシュたち勇者組。
するとスパイダマグは困惑した口振りで、
「か、彼らが身に付けている首飾りは「地世のチカラの浸蝕を阻む」と言う、天世において非常に貴重な装飾品なのです」
「「「「「「「?」」」」」」」
「つまりは、その……捨て駒に与えるに「あまりに不釣り合いな品」でして……」
「「「「「「「…………」」」」」」」
チョウカイの真意が読めずに居ると、
『なるほどしぃ~♪』
気付き声をあげたのは、彼女との因縁浅からぬリンドウ。
振り向くラディッシュ達やスパイダマグ達を前に、
「何でコイツらぁ「わざわざの四人」だとぉ思うしぃ?」
辟易した笑いを見せながら、実行犯の一人から首飾りを取り上げると、
「あぁ~なるほぉ」
「そう言う意味なのねぇ」
ゴゼンとヒレンも何事かに気付いた様子の半笑いで、各々実行犯から首飾りを取り上げると、リンドウは残る一人からも首飾りを取り上げ、
『これってばぁアーシ達に宛てた物しぃ♪』
それを未だ理解の及ばぬ様子のスパイダマグに差し出し、
「アーシらにぃ「(邪魔だから)帰って来るな」って当て付けしぃ♪」
「!」
「回りクドイのが好きなぁアノ女がやりそうな事しぃ~♪」
呆れ笑いに、
「「「「!?」」」」
愕然とする、指示役であった天世の四人。
話の流れから、自分たちが「アサシン(暗殺者)」として放たれたのではなく、計画の成否は二の次の、捨て駒、単なる運び屋、メッセンジャーとして、中世に降ろされたのだと悟り。
加えて、捕縛されるのも織り込み済みであったとも理解した。
地世のチカラの浸蝕を妨げる首飾りを取られ、村から逃げる事も出来なくなった失意の天世人四人。
その一方で、とある懸念を抱えていたラディッシュにとってリンドウ達が首飾りを手にしたのは、
《ラッキィー♪》
正に棚から牡丹餅であった。
(これでリンドウさん達を、自由に連れ回せぇる♪)
とある懸念とは「地世のチカラの浸蝕」。
長距離移動ともなれば天世人三人が受ける汚染は免れず、かと言って敵の襲撃がいつ、何処であるか不明な旅路で、村や町に定期的に入って「教会で浄化を受ける」など現実的な話ではなく、三人が地世のチカラの浸蝕を受けないようにする方策は、解決必須必の事案であった。
しかしそれも「地世のチカラを阻む首飾り」を手に入れた事で無事に解決。
ラディッシュは、
(行こう!)
旅立ちを決意した。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる