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第七章
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サロワートを先頭にしばし森を進むラディッシュ達――
彼女が「何処に導いているのか」も気にはなったが、それ以上に、
≪何故サロワートが都合よく居合わせたのか≫
仲間たちの疑問を代表する形で、
「ね、ねぇサロワートさん」
ラディッシュが前を行く背に声を投げ掛けると、
「…………」
彼女は歩みこそ止めたものの、無言で、振り返りもしない。
(ん? 足を止めてくれたって事は、僕の声は聞こえたんだよなぁ?)
改めて、様子を窺うような口調で、
「さ、サロワートさん?」
すると問われた彼女の背から、
「サロワ……よ……」
「へ? え?」
『だっ、だからぁ!』
じれったそうに振り返り、
「アンタ達にだけ特別に「サロワと呼ぶ」のを許してあげるって言ってるのぉ!」
(((((((!)))))))
その「照れギレ」から、疎外感を感じていたと知るラディッシュ達。
(素直じゃないんだからぁ♪)
生温かく見つめる七つの視線を前に、
「いいこと! これは特別なのよ! 感謝なさいよぉ!」
彼女は照れを憤慨で誤魔化し、念押しした上で、
「そぉ、それでナニ?! アタシに何か訊きたい事でもぉあるワケぇ?!」
「う、うん」
必死な圧をラディッシュは苦笑しながら、
「どうしてサロワが、」
居合わせたのか問おうとすると、
『いえ、ちょっと待ってぇ!』
「?」
サロワートは自ら尋ね返しておきながら話を遮り、
「アタシは魔王軍を裏切った訳じゃないんだからねぇ!」
「え? その、何を、」
「相変わらず鈍いわねぇ! 軍の不利益になる情報は何も言わないって言ってんのよ! だから勘違いするんじゃないわよぉ!」
突き放す物言いでソッポを向いたが、
「あ、うん、それは大丈夫だよ♪」
「へ? そうなの?? アンタ達それで良いのぉ???」
少し肩透かしを食った感を見せる彼女に、ラディッシュはニコリと笑い、
「だってサロワにそんな事をさせたら「地世での立場」が悪くなっちゃうでしょ?」
ドロプウォート達も同意の頷きを見せ、
「じゃあアンタ達は、何しにここ(地世)へ来ようとしてたワケぇ?!」
「え?!」
「気付かれて無いとでも思ってたの?」
「「「「「「「…………」」」」」」」
「アンタ達が「地世に来る方法」を密かに探っていたのは、中世の協力者からの情報で入って来てるのよ」
「「「「「「「…………」」」」」」」
協力者とは「地世信奉者たち」を指しているのは容易に想像出来たが、あっけらかんと話す彼女の様子から、
≪まさか天世にも……≫
知られている可能性があるのを危惧すると同時、
(((((((…………)))))))
脳裏を横切る、スパイダマグたち親衛隊。
スパイとして一瞬疑ってしまったが、
(((((((それはナイかぁ)))))))
即座に思い改めた。
今にして思えば、八方塞がりであった「地世への道」を通してくれたのは、他ならぬ彼らであり、しかも「調査」と言う大義名分を持たせてくれて、武装していても問題とされない「こじつけ」として用意してくれたのだから。
彼女が「何処に導いているのか」も気にはなったが、それ以上に、
≪何故サロワートが都合よく居合わせたのか≫
仲間たちの疑問を代表する形で、
「ね、ねぇサロワートさん」
ラディッシュが前を行く背に声を投げ掛けると、
「…………」
彼女は歩みこそ止めたものの、無言で、振り返りもしない。
(ん? 足を止めてくれたって事は、僕の声は聞こえたんだよなぁ?)
改めて、様子を窺うような口調で、
「さ、サロワートさん?」
すると問われた彼女の背から、
「サロワ……よ……」
「へ? え?」
『だっ、だからぁ!』
じれったそうに振り返り、
「アンタ達にだけ特別に「サロワと呼ぶ」のを許してあげるって言ってるのぉ!」
(((((((!)))))))
その「照れギレ」から、疎外感を感じていたと知るラディッシュ達。
(素直じゃないんだからぁ♪)
生温かく見つめる七つの視線を前に、
「いいこと! これは特別なのよ! 感謝なさいよぉ!」
彼女は照れを憤慨で誤魔化し、念押しした上で、
「そぉ、それでナニ?! アタシに何か訊きたい事でもぉあるワケぇ?!」
「う、うん」
必死な圧をラディッシュは苦笑しながら、
「どうしてサロワが、」
居合わせたのか問おうとすると、
『いえ、ちょっと待ってぇ!』
「?」
サロワートは自ら尋ね返しておきながら話を遮り、
「アタシは魔王軍を裏切った訳じゃないんだからねぇ!」
「え? その、何を、」
「相変わらず鈍いわねぇ! 軍の不利益になる情報は何も言わないって言ってんのよ! だから勘違いするんじゃないわよぉ!」
突き放す物言いでソッポを向いたが、
「あ、うん、それは大丈夫だよ♪」
「へ? そうなの?? アンタ達それで良いのぉ???」
少し肩透かしを食った感を見せる彼女に、ラディッシュはニコリと笑い、
「だってサロワにそんな事をさせたら「地世での立場」が悪くなっちゃうでしょ?」
ドロプウォート達も同意の頷きを見せ、
「じゃあアンタ達は、何しにここ(地世)へ来ようとしてたワケぇ?!」
「え?!」
「気付かれて無いとでも思ってたの?」
「「「「「「「…………」」」」」」」
「アンタ達が「地世に来る方法」を密かに探っていたのは、中世の協力者からの情報で入って来てるのよ」
「「「「「「「…………」」」」」」」
協力者とは「地世信奉者たち」を指しているのは容易に想像出来たが、あっけらかんと話す彼女の様子から、
≪まさか天世にも……≫
知られている可能性があるのを危惧すると同時、
(((((((…………)))))))
脳裏を横切る、スパイダマグたち親衛隊。
スパイとして一瞬疑ってしまったが、
(((((((それはナイかぁ)))))))
即座に思い改めた。
今にして思えば、八方塞がりであった「地世への道」を通してくれたのは、他ならぬ彼らであり、しかも「調査」と言う大義名分を持たせてくれて、武装していても問題とされない「こじつけ」として用意してくれたのだから。
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