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第七章

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 凶暴な汚染獣の襲撃を退けて後――
 
 馬車を背にして体を休めるのは、何故か少し赤い顔したラディッシュとターナップ。
 背にした馬車の向こう側、有り合わせの布で簡素に作った仕切りの先では女子組が、川で入浴の真っ最中であり、体や服に付いた返り血を洗い流していたのだが、覗こうと思えばいとも容易く覗けてしまう現状に、ウブな男子二人は水音が跳ねるたび、

「「…………」」

 ドギマギするのであった。
 和気あいあいと、水浴びを楽しむ女子たち。
 そんな中、異様に静かで「行儀の良い男子二人」にニプルウォートが悪い顔してニヤリ。
 すっかり元気を取り戻した様子で体を洗いながら、

「なぁラディ♪ ちょっとウチの背中を流してくれないさぁ♪」

 からかいを多分に含んだお誘いに、

『!!!』

 ラディッシュは赤い顔を更に赤らめ、

「そっ、そんな事ぉ出来る訳ナイデショぉおぉ!!!」

 冷静を欠いた上擦った声で、即答の拒否。
 すると味を占めた彼女は愉快げに「シッシッシッ」と笑って、今度はニヤケ顔してパストリスの裸体をしげしげ眺め、
「なっ、な、な、な、なんでぇすぅ……ニプルぅ……」
 警戒心露わに両腕で胸を隠し後退る、羞恥のパストリスを尻目に、

「なぁターーープぅ♪」
「?!」
「パストってば小さい体に、意外と豊満を詰め込んでるさぁ~♪」

『んなぁ!?』

 動揺あらわにおののくターナップが、まるで見えているかのようなからかい口調で、

「いつの間にしっかり育ってぇ見に来るかぁ~い♪」
『ぅにゃぁーーー!』

 絶叫のパストリス。
 耳まで真っ赤に憤慨し、

「にゃにぃを言いだすでぇすニプルぅーーーーーーっ!」

 思わず猫語。
 一方で迂闊にも、
「・・・」
 ほんの一瞬、彼女の裸体を想像してしまう司祭ターナップ。

『だぁーーーッ!』

 慌てて振って邪念を払い、赤面顔を更に赤らめ、

『アホかぁテメェはぁ! 坊主の俺が行く訳ネェだろォオ!!!』

 貧弱な仕切り布の向こうに叫ぶと、ニプルウォートの「シッシッシッ」と愉快げな笑い声が返って来た。
 抱いてしまった邪(よこしま)な妄想を誤魔化すが如く、

「ったく、アイツぁよぉ!」

 羞恥の滲んだ赤面顔で憤慨したが、
(だがよ……)
 彼女の本意の全てが「からかいにあった訳ではない」と理解する彼は、

「心配させまいと「カラ元気」を出しやがってぇ。ってぇか、他にやりようがぁあんだろぅがぁよぉ」

 辟易顔で苦笑しながらボヤいた。
 その笑いに、ラディッシュもクスクス笑い、

「ニプルらしいカラ元気だし、カラ元気も元気の内だよ」
「まぁ、そうなんスけどねぇ」

 男子二人は笑い合い、女子組の後に入浴を済ませると、七人は交替で見張りをしながら一夜を過ごした。
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