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第六章
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幾ばくかの時間の後――
一つのテーブルを囲むラディッシュ、ニプルウォート、カドウィード、ターナップ。
「「「「…………」」」」
誰も何も言わず、
「「「「…………」」」」
視線を落とすばかりの四人の下へ、隣室の扉を静かに閉めたドロプウォートが足音を忍ばせ歩み寄り、神妙な面持ちで席に着きながら、
「今は落ち着いて眠っていましてですわぁ。パストも付いていますし、一先ずは大丈夫ですわ」
「……チィちゃんは?」
「…………」
不安げに問うラディッシュに、彼女は首を静かに横に振り、
「離れようとしませんですわの……懐いていましたし、よほど心配なのですわ」
「無理も無いよ、あんな姿を見せられた誰だって……」
再び視線を落とすと、ニプルウォートが声量は抑えつつ自らをも鼓舞する様に、
『落ち込んでる場合じゃないさ!』
鋭い眼差しで苦言を呈し、睨まれたラディッシュも、
「分かってる」
険しい表情で頷くと、
「今、この国で、何かとんでもない事が起きようとしている」
すると妖艶な笑みを浮かべたカドウィードも、
「げにぃありんしょうなぁ~」
扇子をバッと開いて口元を隠しながら、
「それもぉ皇女を亡き者とした手口がぁ「毒殺」とはぁ」
ディモルファンサの関与を窺わせたが、集まる仲間たちの視線に対し、ラディッシュとドロプウォートは首を横に振り、
「ど、どう言う意味っスかラディの兄貴、姉さん?」
怪訝な顔をするターナップ達に、二人は顔を曇らせ
「分からないそうなんだ」
「関与を裏付ける証拠が見つからないそうですわぁ」
「なっ……?!」
表情から何かを悟った彼は愕然と、
「そっ、ソレってぁつまりぃ?! アノ野郎が国王にぃいぃ!?」
慄くと、ニプルウォートが眉間に深いシワを寄せながら、
「後継者候補が一択となればそうなるのも時間の問題さぁ……腹は立つがねぇえ!!!」
言葉尻に苛立ちのチカラを籠めた。
そして「とある疑念」が再燃した彼女は、
「イリィが「皇女じゃない」と分かった今、改めてアンタ達に問うさ」
「「「…………」」」
ラディッシュを、ドロプウォートを、ターナップを見回し、
「アイツは、」
『ラミィじゃないよ』
真っ先に応えたのはラディッシュ。
「…………」
黙して見つめるニプルウォートを真っ直ぐ見据え、
「初めて会った時、その見た目に驚きはしたし、似てる性格や物言いにも動揺はしたけど……やっぱりイリィはイリィで、ラミィはラミィだったよ」
言い切った眼からは、迷いの類は見受けられず、
「…………」
ニプルウォートは小さく息を吐いて緊張を解き、
「そぅかぁい」
笑みを見せ、
「試すような物言いをして悪かったさ。迷いがあるとこの先、危険な気がしてさぁ」
彼女の素敵な笑顔に、
『『『『!?』』』』
悪い意味での身震いするラディッシュ達。
その理由とは、
「こ、怖いこと言わないでよぉニプルぅ。ニプルが言うとぉ……」
口にしかけた彼の言葉に同意のドロプウォート達も、
「まったくですわぁ。貴方のその野生的勘は、予言的で怖いのですわぁ♪」
「げにぃげにぃありぃんすなぁ~正に「フラグの如き」にありぃんすぅ♪」
「ホントっスよねぇ♪」
からかいを交えた頷きに、
『うぇ? マジぃかぁい?!』
ニプルウォートが意外そうな顔を見せると、
「知らぬは本人ダケってなぁ♪」
ターナップのツッコミに、ひと時の笑いが起こった。
一つのテーブルを囲むラディッシュ、ニプルウォート、カドウィード、ターナップ。
「「「「…………」」」」
誰も何も言わず、
「「「「…………」」」」
視線を落とすばかりの四人の下へ、隣室の扉を静かに閉めたドロプウォートが足音を忍ばせ歩み寄り、神妙な面持ちで席に着きながら、
「今は落ち着いて眠っていましてですわぁ。パストも付いていますし、一先ずは大丈夫ですわ」
「……チィちゃんは?」
「…………」
不安げに問うラディッシュに、彼女は首を静かに横に振り、
「離れようとしませんですわの……懐いていましたし、よほど心配なのですわ」
「無理も無いよ、あんな姿を見せられた誰だって……」
再び視線を落とすと、ニプルウォートが声量は抑えつつ自らをも鼓舞する様に、
『落ち込んでる場合じゃないさ!』
鋭い眼差しで苦言を呈し、睨まれたラディッシュも、
「分かってる」
険しい表情で頷くと、
「今、この国で、何かとんでもない事が起きようとしている」
すると妖艶な笑みを浮かべたカドウィードも、
「げにぃありんしょうなぁ~」
扇子をバッと開いて口元を隠しながら、
「それもぉ皇女を亡き者とした手口がぁ「毒殺」とはぁ」
ディモルファンサの関与を窺わせたが、集まる仲間たちの視線に対し、ラディッシュとドロプウォートは首を横に振り、
「ど、どう言う意味っスかラディの兄貴、姉さん?」
怪訝な顔をするターナップ達に、二人は顔を曇らせ
「分からないそうなんだ」
「関与を裏付ける証拠が見つからないそうですわぁ」
「なっ……?!」
表情から何かを悟った彼は愕然と、
「そっ、ソレってぁつまりぃ?! アノ野郎が国王にぃいぃ!?」
慄くと、ニプルウォートが眉間に深いシワを寄せながら、
「後継者候補が一択となればそうなるのも時間の問題さぁ……腹は立つがねぇえ!!!」
言葉尻に苛立ちのチカラを籠めた。
そして「とある疑念」が再燃した彼女は、
「イリィが「皇女じゃない」と分かった今、改めてアンタ達に問うさ」
「「「…………」」」
ラディッシュを、ドロプウォートを、ターナップを見回し、
「アイツは、」
『ラミィじゃないよ』
真っ先に応えたのはラディッシュ。
「…………」
黙して見つめるニプルウォートを真っ直ぐ見据え、
「初めて会った時、その見た目に驚きはしたし、似てる性格や物言いにも動揺はしたけど……やっぱりイリィはイリィで、ラミィはラミィだったよ」
言い切った眼からは、迷いの類は見受けられず、
「…………」
ニプルウォートは小さく息を吐いて緊張を解き、
「そぅかぁい」
笑みを見せ、
「試すような物言いをして悪かったさ。迷いがあるとこの先、危険な気がしてさぁ」
彼女の素敵な笑顔に、
『『『『!?』』』』
悪い意味での身震いするラディッシュ達。
その理由とは、
「こ、怖いこと言わないでよぉニプルぅ。ニプルが言うとぉ……」
口にしかけた彼の言葉に同意のドロプウォート達も、
「まったくですわぁ。貴方のその野生的勘は、予言的で怖いのですわぁ♪」
「げにぃげにぃありぃんすなぁ~正に「フラグの如き」にありぃんすぅ♪」
「ホントっスよねぇ♪」
からかいを交えた頷きに、
『うぇ? マジぃかぁい?!』
ニプルウォートが意外そうな顔を見せると、
「知らぬは本人ダケってなぁ♪」
ターナップのツッコミに、ひと時の笑いが起こった。
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