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第六章
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優位に立っていた筈のリクエスターが飛び退くと同時、
{!}
ローブの胸元を、白と黒の光跡がかすめ飛んで行き、
{なっ、くっ!}
堪らず更に大きく距離を取り、着地するなりチィックウィードを睨む様な動きを見せ、
{今のは天法と地法の同時行使では?! マルチタスクですとぉ!}
驚きは、彼女が全身から放つ気配の変質だけでなく、
{な?!}
異変は、その容姿にも。
愛らしき少女からは天使の笑顔が消え失せ、替わりに、
{{…………}}
冷酷が浮かぶ口元の上、感情が感じられぬ白銀に輝く右目と、漆黒に輝く左目が、リクエスターをジッと見据えていた。
そんな彼女を一言で形容するなら、
{別人?!}
その一方で、
{そうですかそうですか、貴方も本気を隠していたと言う訳ですか}
嬉し気に頷きもし、
{それにしても……}
身構える幼女の全身を眺め、
{貴方は何です?}
好奇は尽きないようであった。
しかし、
{{…………}}
何も答えないチィックウィード。
{…………}
一瞬の静寂の後、リクエスターは急に構えを解き、短剣を袖の奥へと戻しながら、
{今日は、ここまでのようですね}
{{…………}}
残念そうにボヤくと、チィックウィードの後方森の奥から、
『チィちゃーーーん!』
聞き覚えのある、呼び声が。
不安を纏った声ではあったが、彼女はリクエスターを見据えて微動だにせず、その半面で攻撃もして来ない様子に、
{!}
彼は何かを察した。
そして愉快そうに、
{そうですかそうですか。その禍々しき姿を、御仲間には「知られたくない」と言う訳なのですね}
森の闇に姿を次第に溶け込ませながら、
{ですが次に相まみえた時には、御手合せ願いたいものですね}
完全に姿を消して行き、そこへ、
『チィちゃん!』
駆け付けるラディッシュと仲間たち。
最も血相を変えた母(仮)ドロプウォートが立ち尽くす小さな背に、飛びつくように、
「怪我はありませんですわのぉ! 嫌な事をされませんでしたのぉ! 今の変態は何者ですわの!」
抱き付き矢継ぎ早に問うと、小さな背はクルっと振り返り、
「オカシをくれたかわりにぃアソンデあげてたなぉ♪」
そこには、いつもと変わらぬ天使の笑顔が。
安堵の息を吐く母(仮)。
我が子(仮)の目線の高さまで屈むと、両眼を真っ直ぐ見つめ、
「お菓子をくれるからって、知らない人に付いて行ってはダメなのですわ」
親らしい苦言を呈し、
「ゴメンナサイなぉ♪」
(((((♪)))))
愛らしく謝る子の姿に仲間たちは目じりを下げたが、
「チィちゃんも「無駄な殺生」はしたくはありませんでしょ?」
母親が子にする「一般的な注意」から、かけ離れた笑顔の苦言に、
(((((え?!)))))
「うん♪ したくないなぉきをつけるなぉ♪」
「うんうん♪ チィちゃんはエライですわねぇ♪」
笑い合う親子(仮)に苦笑交じり、
(((((・・・・・・)))))
ツッコみたい気持ちを懸命に堪えるラディッシュ達。
とは言え、幼い彼女に降り掛かったのは「誘拐」と言う名の、決して許されない犯罪行為である。
無事であったとは言え、本来なら上を下への大騒ぎとなっている筈が、被害者(?)が新生七草チィックウィードと言う事もあり、むしろ犯罪者が憐れに思われる和やかな空気の中、
「…………」
ただ一人、視線を落とす人物が。
それは、イリス。
会話に混ざらず、重々しく口を開き始めた彼女は、
「チィ坊……」
「にゅ?」
笑顔のチィックウィードと同じ目線の高さまで屈み、
「アタシのせいで面倒ごとに巻き込んじまって済まなかったさねぇ……まさかアクア国の正規の冒険者ともあろうモンが、目的の為に「幼子をかどわかす」とは思ってなかったのさねぇ……」
悲し気に表情を曇らせると、
「チィはツヨイからぁヘイキなぉ♪ それにパパがいってた、なぉ♪」
「ラディが? 何を?」
問う彼女にチィックウィ―ドはニコリと笑い掛け、
「アクトウは「どこのクニにもいる」なぉ♪」
「!」
幼子の一言に、救われた思いの「とある秘密を抱えたイリス」。
「そうだ……そうだったさねぇ……」
自身の気弱を小さく嘲笑い、ささやかながら明るさを取り戻した表情で、
「その通りさぁねぇ。悪党に足を引かれて、自分の心まで「闇堕ち」させてたらぁ世話ナイさねぇ」
「うん♪ そのとおぉり、なぉ?」
意味が分かっていない様子の「幼子の励まし」に、いつもと変わらぬ笑顔で「キッシッシッ」と笑い、
「大人のアタシが励まされてちゃぁ、それこそ世話ナイ話さぁねぇ♪」
仲間たちも笑みを見せ合った。
{!}
ローブの胸元を、白と黒の光跡がかすめ飛んで行き、
{なっ、くっ!}
堪らず更に大きく距離を取り、着地するなりチィックウィードを睨む様な動きを見せ、
{今のは天法と地法の同時行使では?! マルチタスクですとぉ!}
驚きは、彼女が全身から放つ気配の変質だけでなく、
{な?!}
異変は、その容姿にも。
愛らしき少女からは天使の笑顔が消え失せ、替わりに、
{{…………}}
冷酷が浮かぶ口元の上、感情が感じられぬ白銀に輝く右目と、漆黒に輝く左目が、リクエスターをジッと見据えていた。
そんな彼女を一言で形容するなら、
{別人?!}
その一方で、
{そうですかそうですか、貴方も本気を隠していたと言う訳ですか}
嬉し気に頷きもし、
{それにしても……}
身構える幼女の全身を眺め、
{貴方は何です?}
好奇は尽きないようであった。
しかし、
{{…………}}
何も答えないチィックウィード。
{…………}
一瞬の静寂の後、リクエスターは急に構えを解き、短剣を袖の奥へと戻しながら、
{今日は、ここまでのようですね}
{{…………}}
残念そうにボヤくと、チィックウィードの後方森の奥から、
『チィちゃーーーん!』
聞き覚えのある、呼び声が。
不安を纏った声ではあったが、彼女はリクエスターを見据えて微動だにせず、その半面で攻撃もして来ない様子に、
{!}
彼は何かを察した。
そして愉快そうに、
{そうですかそうですか。その禍々しき姿を、御仲間には「知られたくない」と言う訳なのですね}
森の闇に姿を次第に溶け込ませながら、
{ですが次に相まみえた時には、御手合せ願いたいものですね}
完全に姿を消して行き、そこへ、
『チィちゃん!』
駆け付けるラディッシュと仲間たち。
最も血相を変えた母(仮)ドロプウォートが立ち尽くす小さな背に、飛びつくように、
「怪我はありませんですわのぉ! 嫌な事をされませんでしたのぉ! 今の変態は何者ですわの!」
抱き付き矢継ぎ早に問うと、小さな背はクルっと振り返り、
「オカシをくれたかわりにぃアソンデあげてたなぉ♪」
そこには、いつもと変わらぬ天使の笑顔が。
安堵の息を吐く母(仮)。
我が子(仮)の目線の高さまで屈むと、両眼を真っ直ぐ見つめ、
「お菓子をくれるからって、知らない人に付いて行ってはダメなのですわ」
親らしい苦言を呈し、
「ゴメンナサイなぉ♪」
(((((♪)))))
愛らしく謝る子の姿に仲間たちは目じりを下げたが、
「チィちゃんも「無駄な殺生」はしたくはありませんでしょ?」
母親が子にする「一般的な注意」から、かけ離れた笑顔の苦言に、
(((((え?!)))))
「うん♪ したくないなぉきをつけるなぉ♪」
「うんうん♪ チィちゃんはエライですわねぇ♪」
笑い合う親子(仮)に苦笑交じり、
(((((・・・・・・)))))
ツッコみたい気持ちを懸命に堪えるラディッシュ達。
とは言え、幼い彼女に降り掛かったのは「誘拐」と言う名の、決して許されない犯罪行為である。
無事であったとは言え、本来なら上を下への大騒ぎとなっている筈が、被害者(?)が新生七草チィックウィードと言う事もあり、むしろ犯罪者が憐れに思われる和やかな空気の中、
「…………」
ただ一人、視線を落とす人物が。
それは、イリス。
会話に混ざらず、重々しく口を開き始めた彼女は、
「チィ坊……」
「にゅ?」
笑顔のチィックウィードと同じ目線の高さまで屈み、
「アタシのせいで面倒ごとに巻き込んじまって済まなかったさねぇ……まさかアクア国の正規の冒険者ともあろうモンが、目的の為に「幼子をかどわかす」とは思ってなかったのさねぇ……」
悲し気に表情を曇らせると、
「チィはツヨイからぁヘイキなぉ♪ それにパパがいってた、なぉ♪」
「ラディが? 何を?」
問う彼女にチィックウィ―ドはニコリと笑い掛け、
「アクトウは「どこのクニにもいる」なぉ♪」
「!」
幼子の一言に、救われた思いの「とある秘密を抱えたイリス」。
「そうだ……そうだったさねぇ……」
自身の気弱を小さく嘲笑い、ささやかながら明るさを取り戻した表情で、
「その通りさぁねぇ。悪党に足を引かれて、自分の心まで「闇堕ち」させてたらぁ世話ナイさねぇ」
「うん♪ そのとおぉり、なぉ?」
意味が分かっていない様子の「幼子の励まし」に、いつもと変わらぬ笑顔で「キッシッシッ」と笑い、
「大人のアタシが励まされてちゃぁ、それこそ世話ナイ話さぁねぇ♪」
仲間たちも笑みを見せ合った。
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