ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第六章

6-28

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一連の騒動に解決を見て後――

 村へ戻るラディッシュ達。
 すると、関所の上階に設けられた物見櫓から監視をしていた兵士の一人が「一行の姿」を視認するなり、

『勇者様方がぁ戻られたぞぉーーーーーー!』

 歓喜の交じった叫びを聞いた村人たちも、
((((((((((!))))))))))
 南門を目指して一斉に走り出し、到着したラディッシュ達が無傷であると知ると大歓声を上げ、その一団の中から、

『ラディの兄貴ぃ、姉さんがたぁ、お疲れっスぅ♪』
『怪我は無いか、なんてぇ訊くなぁ訊くだけ野暮さねぇ♪』
『お疲れ様にぃありんす、主(あるじ)さまぁ、皆さまぁ♪』

 笑顔で出て来たのはターナップ、ニプルウォート、カドウィード、村に残って、村を守ってくれていた仲間たち。
 そんな心安らぐ出迎えに、
「ただいまぁ、みんな♪」
 ラディッシュ達が笑顔を返す「感動の場面」で、

『キャハハハハハ! アンタ、その頭はどうしちゃった訳えぇ!?』

 空気を読まず、突然大笑いを上げたのはサロワート。
((((((((((誰ぇ?!))))))))))
 村人たちの「当然の驚き」をよそに、大笑いの彼女が指差していたのは、

『人の「ケジメ」をぉ指差して笑ってんじゃねぇ!』

 ヤンキー張りのイキ顔でキレる「五分刈り頭」のインディカ。
 村の幼子三人を危険に晒した彼の、彼なりの反省、彼なりの責任の取り方を体現した物であったのだが、その「彼なりの漢のケジメ」を悪し様にからかわれては黙って居られず、

『だぁいたぁいテメェが何でぇココに居やがるぅ!』

 鼻息荒く、追い払う様な仕草を見せたが、

≪またかぁ~≫

 ターナップ、ニプルウォート、カドウィードは一瞬にして理解していた。
 ラディッシュの「お人好しが発動した為」であろう事を。

 その一方で、事情が呑み込めないのは村人たち。
 目の前でインディカと、見ず知らずの少女が繰り広げる漫才騒ぎに、何が起きているのか分からずザワついていると、

『オメェみてぇのは御呼びじゃネェんだよぉ! この村に入ぇて来んじゃねぇ!』

 インディカが露骨な悪態を吐いた途端、

『酷いわぁ!』

 サロワートが急に両手で顔を覆い隠し、健気なすすり泣きを始め、
「はぁ?!」
 態度の急変に戸惑う彼を前に、
「ひどい……汚染獣の群れに襲われていたのを……命からがら勇者様がた救われたと言うのにぃ……」
 むせび泣く、愛らしい少女の姿。
 そんな姿を見せられては、

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 事情を知らない村人たちの冷たい視線は、おのずとインディカに。
 裏事情を知るラディッシュ達が苦笑する中、

『てっ、テメェ汚ねぇぞ!』

 居た堪れなくなった彼は慌てて彼女の下に駆け寄り、

『てっ、テメェは何をフカシてぇやがるぅ! だいたいテメェは!』

 地世の七草の一人であるのを暴露しようとした瞬間、泣き続ける素振りを見せていた彼女が、彼にしか聞こえない小声で、
(アタシの正体をバラしたら今スグ「秒で殺す」わよぉ!)
「ぐなっ?!」
 慄くインディカ。
 村での評価を「三文芝居で下げた女」からの脅迫に、普通であればキレてもおかしくない場面であったが、女性免疫が極度に少ない 彼の思考は、普通と少し違っていた。

 密かに脅迫された彼は瞬間的に思った。
(コレってぁ、もしか噂に聞く「二人だけの秘密」ってぇヤツなんじゃねぇのかぁ!?)
 愛らしい容姿の少女との「秘密の共有」に、思わず胸をキュンと高鳴らせたが、

(いや待てぇ待てぇ、オレっちぃ! 冷静になりやがれぇ!)

 彼なりの自制心を働かせ、
(コイツはぁ見た目こそマビィが、実際には「なん百歳」食ってるか分かんねぇ「大ババァ」なんだぞぉ! それを喜んでぇイイのかぁオレっちぁよぉ?!)
 躊躇いと惑いを覚えたが、見透かしたサロワートは潤んだ瞳ですかさず彼を見つめ、

『お・ね・が・い♪』

 すると、

『大船に乗ったつもりでぇ任せろやぁあぁぁ!!!』

 インディカは満面の笑顔で踏ん反り返った。
 彼は、やはりチョロかった。
 勇者組の面々が苦笑を浮かべる中、未だ訳が分からず戸惑う村人たちの背中を押したのは、

『『『パンツのおねぇちゃんだぁーーーーーー♪』』』

 オキザリスとトロペオラム、そしてフリージア、村の子供たちの笑顔。

『忘れなさいって、言ったでしょーーー!』

 赤面顔で憤慨するサロワートに子供たちが駆け寄る姿に、
((((((((((パンツのお姉さぁん?!))))))))))
 村人たちは首を傾げつつも警戒心は自然と緩み、村人の誰かが、

『と、とにかく勇者様たちが無事に戻られた祝いをしねぇとなぁ!』

 上げた声を皮切りに、村はお祭り状態となった。
 ラディッシュ達への祝宴は「愛らしい容姿の少女との邂逅」に、いつの間にか「サロワートの歓迎」に置き換わり、夜は大騒ぎと共に更けて行った。
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