ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第五章

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 ラディッシュ達は北地区でのサーシアムの奮戦を耳に、親衛隊の別班を含めた彼らに任せる事にし、自分たちは実行犯ミネズの捕縛に向かった班の居る南地区へ、万が一を考え向かったのであった。

 勇者一行の壮観なる立ち姿に、思いがけず救われた隊員は感極まり、

「ありがとうございますぅ、勇者殿方ぁ!」

 祈る様に謝意を伝えたが、合成獣が北地区と南地区に、同時に現れた現状において親睦など深めている場合では無く、ドロプウォートは急かす様に、

「この場は私達に任せて、貴方は班長さんと合流して、避難者の誘導と怪我人の治療をお願いしますですわ!」

 強く促すと、パストリスが「彼の緊張を和らげよう」との意図があってか、ニコやかな笑顔を見せながら、

「ボクも一緒に行くなのでぇす♪」
 追従する様に、
「ラディの兄貴ぃ、ドロプの姉さぁん、ニプル、俺も治療に行くんでこっちは任せたっス!」
「アタシも避難誘導に行きましてですわよ!」
「チィはおてつだい、なぉ!」
 ターナップ、カドウィード、チィックウィードも続き、隊員は感動のあまり身震いしながら、

『ありがとうございまぁす! 宜しくお願いします! では、行きましょう!』

 四人を連れ、走り去っていった。
 その背を見送るニプルウォート。

 皮肉った笑みを口元に浮かべ、
「三対二ってのが、ちぃとばっか気に入らないがぁねぇ」
 剣を構えながら、

『こっちも掛かろうさぁ!』

 気合いの入った一声に、ラディッシュとドロプウォートは強く頷き、三人は「人狼と化した二人」に向かって行った。
 疾風の如く先陣を駆けるニプルウォート。
 天法も使わず、元隊員の薙ぎ払う爪の一撃を、足を止める事なくかわして懐に入ると躊躇なくスレ違いざま、

『先ずは一匹さぁあっ!』

 脇腹を真横に深々と一閃して確かな手ごたえの下に駆け抜け、次なる標的「元ミネズ」を視界に収めたが、

『『ニプルッ!』』

 置き去りにした二人からの悲痛な叫びを背に受け、
「ッ!」
 悪寒を感じて振り返りざま、剣で咄嗟に防御姿勢を取ると、

 ガァキィイイィィイィン!

 元親衛隊の人狼の爪による一撃を辛うじて防ぎ、
(やっ、ヤバかったぁあぁ!)
 二人の声に感謝を禁じ得なかったが、それ以上に、

(コイツ、何でまだ生きてやがるのさぁ!?)

 確実に仕留めたつもりの獲物からの「想定外の反撃」に驚きを隠せず、チカラ比べの鍔迫り合いの形になりながら斬った筈の部位をチラ見、
(う、ウソだろぅ?!)
 二度目の驚きを喫した。
 深々とえぐった傷が、既に完治していたのである。
 しかし考え込んでいる暇は無く、

『ニプル! 後ろからも来てるよォ!』

 ラディッシュの声に、
「チッ!」
 ニプルウォートは鍔迫り合いを「チカラ任せの強引」で弾き返して振り向きざま、

「セヤァ!」

 牽制の横一線を振るうと、

『ガルァ!』

 迫りつつあった「元ミネズの人狼」は後方に大きく飛び退き。ニプルウォートと対峙して、「元隊員の人狼」は駆け付けたラディッシュ、ドロプウォートの二人と対峙した。

 一瞬の膠着の後、痺れを切らしたニプルウォートが、

『黙って見合ってたってぇカラクリは分かりゃぁしないさァ!』
 元ミネズに斬り掛かり、
『どうしてぇ貴方はそぅも「堪え性」がありませんですのぉ!』

 ドロプウォートが呆れ声を上げ、ラディッシュが苦笑する中、均衡が崩れた事により、

『『ガルァア!』』

 人狼二人も、牙と爪を剥き出し襲い掛かり、

「でも僕も、ニプルさんの言う事には一理あると思うよ♪」
「それはそうですが、そうではなくぅ! まったく仕方ありませんですわぁ!」

 二人も剣を構え直して応戦体制に入った。
 何回となく剣を振るい手傷を負わせ、
「「「!?」」」
 戸惑いを覚える三人。

 やはり人狼は二人とも、斬っても斬っても傷がスグに再生し、何ごとも無かった様に反撃して来たのである。
 加えて厄介な事に、通常の人狼たちより明らかに攻撃力が高く、元ミネズに至っては攻撃の回転まで速く、止まぬ執拗な連続攻撃からは怨念すら覚え、ニプルウォートは出鼻を挫かれた事もあり、

(いったい、どうなってやがんのさぁ! しかも一撃一撃が重い!)

 防戦一方の形に押し込まれて、
『『ニプル!』』
 焦りの声を上げるラディッシュとドロプウォート。
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