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第三章
3-52
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時は現在に戻り――
つねられた手の甲を、からかい交じりの笑みを浮かべながら、
『酷いなぁ~ウィードちゃん』
痛そうに擦るハクサン。
すると彼女は、
「アタシは、もぅ「売約済み」なの!」
指で突いて彼を押し退け、
「だから気安く触るんじゃないわよ!」
ラディッシュに背中でしな垂れかかり、
『ねぇ、ラディ♪』
ハクサンの「特訓の成果」と言えば聞こえは良いが、
「あは、あはははは……」
笑うしかないラディッシュ。
プルプレア時代からの、あまりの変わり様と、
(((…………)))
女子三人からの、背中に刺さる冷たいジト目に。
その様子にハクサンは、
『不公平だ不公平だぁ!』
ムスッとしながら、
「両手に花どころか、抱えられないくらいの独り占めなんてぇ!」
地団駄踏み踏みプンスカしたが、当の本人ラディッシュは他意無く、まるで彼を諭すように、
「ハクさぁん、そんな事を言ったら、みんなに失礼だよぉ」
苦言を呈し、
「みんな、ヘタレ勇者の僕を支える為に、仲間として寄り添ってくれているんだからぁ」
未だ「モテ男」の自覚無しに、
「コレだもぉん」
ハクサン、呆れ顔。
仲間と言われた女子組も、横一列の、同一ラインに立てている現状に胸中で安堵こそしたが、誰一人「特別な存在」と見られていない事実に、
((((…………))))
抱いた感情は複雑であった。
そんな中、
「タープくぅんもぉ、不公平だと思うだしょ?!」
同意を求めるハクサンに、
「タープくんって、呼ぶんじゃねぇ」
ターナップは釘を刺した上で、彼の不平を、不満を、鼻先でフッと小さく笑い飛ばし、
「俺は別にぃ」
パストリスをチラ見。
見られたパストリスも照れ臭そうに「あはは」と笑い返すと、
『かぁ~やってらんなぁいよぉ!』
「ったりめぇだ! オメェなんぞと「兄貴と俺」を一緒にすんなぁ! この「種蒔き男」ぉ!」
「何おう! この「一途男」ぉ!」
角を突き合わせる二人を、半笑いのラディッシュは「まぁまぁ」と宥めながら、
「そろそろ行こうよぉ♪」
未だ見ぬ東の町を視界に収め、
「最終目的地のアルブル国に!」
再び歩き始めた。
新たな仲間を加えた七人の旅路は、騒乱の地「アルブル国」へと移る。
つねられた手の甲を、からかい交じりの笑みを浮かべながら、
『酷いなぁ~ウィードちゃん』
痛そうに擦るハクサン。
すると彼女は、
「アタシは、もぅ「売約済み」なの!」
指で突いて彼を押し退け、
「だから気安く触るんじゃないわよ!」
ラディッシュに背中でしな垂れかかり、
『ねぇ、ラディ♪』
ハクサンの「特訓の成果」と言えば聞こえは良いが、
「あは、あはははは……」
笑うしかないラディッシュ。
プルプレア時代からの、あまりの変わり様と、
(((…………)))
女子三人からの、背中に刺さる冷たいジト目に。
その様子にハクサンは、
『不公平だ不公平だぁ!』
ムスッとしながら、
「両手に花どころか、抱えられないくらいの独り占めなんてぇ!」
地団駄踏み踏みプンスカしたが、当の本人ラディッシュは他意無く、まるで彼を諭すように、
「ハクさぁん、そんな事を言ったら、みんなに失礼だよぉ」
苦言を呈し、
「みんな、ヘタレ勇者の僕を支える為に、仲間として寄り添ってくれているんだからぁ」
未だ「モテ男」の自覚無しに、
「コレだもぉん」
ハクサン、呆れ顔。
仲間と言われた女子組も、横一列の、同一ラインに立てている現状に胸中で安堵こそしたが、誰一人「特別な存在」と見られていない事実に、
((((…………))))
抱いた感情は複雑であった。
そんな中、
「タープくぅんもぉ、不公平だと思うだしょ?!」
同意を求めるハクサンに、
「タープくんって、呼ぶんじゃねぇ」
ターナップは釘を刺した上で、彼の不平を、不満を、鼻先でフッと小さく笑い飛ばし、
「俺は別にぃ」
パストリスをチラ見。
見られたパストリスも照れ臭そうに「あはは」と笑い返すと、
『かぁ~やってらんなぁいよぉ!』
「ったりめぇだ! オメェなんぞと「兄貴と俺」を一緒にすんなぁ! この「種蒔き男」ぉ!」
「何おう! この「一途男」ぉ!」
角を突き合わせる二人を、半笑いのラディッシュは「まぁまぁ」と宥めながら、
「そろそろ行こうよぉ♪」
未だ見ぬ東の町を視界に収め、
「最終目的地のアルブル国に!」
再び歩き始めた。
新たな仲間を加えた七人の旅路は、騒乱の地「アルブル国」へと移る。
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