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第三章

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 そこには、門番兄弟二人とまではいかないまでも「巨漢の漢達」を背後に従え仁王立ちする、中肉中背の人物が。

 その人物が、男装女子的容姿端麗であるのは一先ず横に置くとして、背後の漢達より二回りも、三回りも、体躯は小柄であるにも関わらず、そのリーダー的立ち振る舞いに「実力のある細マッチョ」であるのか、強大な権力を持つ「親の七光り」なのか、気になる所ではあったが、その身から滲み出る「脳筋オーラ」に、

((((((天世が、この国に武器開発を頼まなかった理由が分かった気がする……))))))

 無邪気に刃物を振り回す子供を想像して、げんなり感を覚えた。

 一難去って、また一難かと。

 目の前に、またもや現れた「厄介そうな人物」に、ドロプウォートの鎮まりかけていた苛立ちは再燃し、
「この国の方々は、よほど「人を不快にさせる」のがお好きなようですわねぇ」
 皮肉たっぷり「謎の人物」を見据えたが、その人物は満面の笑顔で聞く耳持たず、

「自分はカルニヴァ王の側近をやってる『プルプレア』だ! オマエ等を迎えに来たぜぇ!」

 門番兄弟に負けず劣らずの「暑苦しい人物」ではあったが、一応はカルニヴァ王から「正式に遣わされた使者」と言う事。
 流石のドロプウォートも「他国の使者」を相手に、大人げなく怒っている訳にもいかず、エルブ国四大貴族が一子として、「外交的な意味合い」を含め、努めて平静に、
「御苦労様ですわぁ」
 友好的に握手の右手を差し出そうとした。
 しかし、
「っと、その前に!」
 使者プルプレアはニヤッと笑うと同時に距離を取り、腰に下げた片手剣を抜き出し構え、
 
『エルブの四大ぃ自分と勝負しなぁ♪』

 背後に控えていた巨漢たちも「戦いの邪魔にならない様に」と、ニヤつきながら周囲に退き「戦う場」を作った。
 そのニヤつきの中には、
 
≪エルブの四大など、どれ程かぁ♪≫

 小馬鹿にした思いが透けて見え、
「…………」
 ドロプウォートは故国の凋落ぶりを改めて思い知り、
(勇者輩出国と言う肩書も、地に堕ちた物ですわねぇ……)
 ため息を吐きはしたが、毅然とプルプレアを見据え、
(今の私は「四大が一子」である以上に「勇者の同行者の一人」ですわ! 馬鹿にされっ放しで引き下がってはラディまでもが下に見られてしまいますわァ!)
 そう思うと我慢がならず、
 
『良いでしょう!』

 白昼、国境の町のど真ん中で、ラディッシュから贈られた愛刀を抜き出し構えた。
 まかさ応じるとは思わず、
「「えぇ!?」」
 驚くラディッシュとパストリス。
「こっ、コレって止めなくて良いのぉ?!」
「でぇすでぇす! 相手はぁよその国の「使者さん」なのでぇすぅ!」
 狼狽したが、ハクサンは他人事のように、

「イイんじゃなぁい♪」

「「えっ?!」」

 ターナップも「躾が必要」と言わんばかり、
「だなぁ、そもそもが「向こうから言い出した事」っスからねぇ♪」
 するとニプルまでもが、身構えるドロプウォートの背に、

「負けたら承知しないよぉ♪」

 町の野次馬も徐々に増える中、ドロプウォートはプルプレアに切っ先を向けたまま、
「誰に物を言っていますのぉ、ニプルぅ♪」
 笑顔でツッコミ返した。
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