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ほんのひと時、危機も忘れ、
「ぷっ……」
「クスッ……」
思わず笑う女子二人は、
「ならぁアンタは何しに来たんだぁい?!」
「彼女(パストリス)は、どうしましたのぉ?!」
するとラディッシュは、緊張の糸が切れた様に大泣きしながら、
「「二人を助けに行って」ってぇ!」
確かに、地世のチカラが充満するこの地にパストリスが助っ人として来る事は、あまりに危険で「釘を刺した行為」ではあるが、だからと言って「家事しか出来ない勇者」のラディッシュに来られても戦力にはならず、
「「はぁ?!」」
二人が首を傾げると、「当然そう言う反応をされるだろう」と思っていたラディッシュは半ギレ気味に、
「怖いからイヤだって言ったんだよ! でもぉ、そしたらぁ尻を蹴られて家から追い出されてぇ」
「「…………」」
言葉を失う女子二人。
「私、前々から思っておりましたが、貴方は本当に「勇者」ですのぉお?」
呆れて問いかけつつ、
(どうして私は、この様な殿方が気に掛かっているのでしょう……)
ため息交じりで頭を抱えるドロプウォートであったが、ラミウムは「ラディッシュらしい」とでも思ったのか「クックック」と一笑い、
「「ラミィ?」」
不思議そうに見つめる二人を前に、
「せっかく来たんだ! ちょいとアタシの仕事を手伝っていきぃなぁ!」
「えぇ!?」
ギョッとするラディッシュ。
慄き顔でフルフル震え、
「ぼ、僕ぅ戦えないよぉ!?」
するとラミウムは、
「ヘタレなのは百も承知してんだよぉ!」
バッサリ切って落とし、
「……何も、そこまでハッキリ言わなくてもさぁ……」
物言いたげな涙顔に、ドロプウォートが苦笑していると、
「ドロプゥ!」
「は、はい?」
「二十で良い!」
「?」
「二十数える間で良いから、あの「変態ローブ」や「村人」をアタシらの下に近づけんじゃないよ! どうだい出来そうかぁい?!」
不敵にニヤつく笑顔から、
(何か策がありますのねぇ……)
秘策を察し、
「容易い事ですわ♪」
笑顔で剣を構え直すと、
「二十と言わず三十でも「四大の名に懸けて」やり遂げて御覧に入れますわ!」
「上等さぁね!」
ドロプウォートはラミウムのしたり顔を背に、屋根によじ登って来ようとする村人たちの下へ駆け出して行った。
遠ざかる勇ましき女剣士の後ろ姿を横目に、
「そっ、それで僕はぁ、何をすれば良いのぉ?」
何をさせられるか分からないイケメンが怯え顔を晒していると、ラミウムは開口一番、
「体をよこしな!」
「えぇっ?! こんな所でぇ!!!?」
驚きながらも、ラディッシュは恥じらう乙女の様に、
「や、優しくしてねぇ……」
両腕で自身の身を抱き隠すと、
「ば、違っ! めっ、面倒臭い勘違いしてんじゃないさぁねぇ!」
ラミウムは意外にも「ウブな照れ顔」で激高し、
「アタシが直でデカイチカラを使うと色々マズイんだよ! だからアンタが発動した様に見せ掛ける為に、アンタの体を通して使うって話なんだよォ!」
「ぼっ、僕の体を使って天法をぉ?! そんな事が出来る、」
「いいから! 死にやぁしないから、とっとと背中をお貸しィ!」
照れ隠しも含めて強引に背中に両手を押し当てると、自身の白き輝きをラディッシュの体に移し、
≪我が内に秘めし天世の門を今開かぁん!≫
ラディッシュの白き輝きは更に強まった。
「ぷっ……」
「クスッ……」
思わず笑う女子二人は、
「ならぁアンタは何しに来たんだぁい?!」
「彼女(パストリス)は、どうしましたのぉ?!」
するとラディッシュは、緊張の糸が切れた様に大泣きしながら、
「「二人を助けに行って」ってぇ!」
確かに、地世のチカラが充満するこの地にパストリスが助っ人として来る事は、あまりに危険で「釘を刺した行為」ではあるが、だからと言って「家事しか出来ない勇者」のラディッシュに来られても戦力にはならず、
「「はぁ?!」」
二人が首を傾げると、「当然そう言う反応をされるだろう」と思っていたラディッシュは半ギレ気味に、
「怖いからイヤだって言ったんだよ! でもぉ、そしたらぁ尻を蹴られて家から追い出されてぇ」
「「…………」」
言葉を失う女子二人。
「私、前々から思っておりましたが、貴方は本当に「勇者」ですのぉお?」
呆れて問いかけつつ、
(どうして私は、この様な殿方が気に掛かっているのでしょう……)
ため息交じりで頭を抱えるドロプウォートであったが、ラミウムは「ラディッシュらしい」とでも思ったのか「クックック」と一笑い、
「「ラミィ?」」
不思議そうに見つめる二人を前に、
「せっかく来たんだ! ちょいとアタシの仕事を手伝っていきぃなぁ!」
「えぇ!?」
ギョッとするラディッシュ。
慄き顔でフルフル震え、
「ぼ、僕ぅ戦えないよぉ!?」
するとラミウムは、
「ヘタレなのは百も承知してんだよぉ!」
バッサリ切って落とし、
「……何も、そこまでハッキリ言わなくてもさぁ……」
物言いたげな涙顔に、ドロプウォートが苦笑していると、
「ドロプゥ!」
「は、はい?」
「二十で良い!」
「?」
「二十数える間で良いから、あの「変態ローブ」や「村人」をアタシらの下に近づけんじゃないよ! どうだい出来そうかぁい?!」
不敵にニヤつく笑顔から、
(何か策がありますのねぇ……)
秘策を察し、
「容易い事ですわ♪」
笑顔で剣を構え直すと、
「二十と言わず三十でも「四大の名に懸けて」やり遂げて御覧に入れますわ!」
「上等さぁね!」
ドロプウォートはラミウムのしたり顔を背に、屋根によじ登って来ようとする村人たちの下へ駆け出して行った。
遠ざかる勇ましき女剣士の後ろ姿を横目に、
「そっ、それで僕はぁ、何をすれば良いのぉ?」
何をさせられるか分からないイケメンが怯え顔を晒していると、ラミウムは開口一番、
「体をよこしな!」
「えぇっ?! こんな所でぇ!!!?」
驚きながらも、ラディッシュは恥じらう乙女の様に、
「や、優しくしてねぇ……」
両腕で自身の身を抱き隠すと、
「ば、違っ! めっ、面倒臭い勘違いしてんじゃないさぁねぇ!」
ラミウムは意外にも「ウブな照れ顔」で激高し、
「アタシが直でデカイチカラを使うと色々マズイんだよ! だからアンタが発動した様に見せ掛ける為に、アンタの体を通して使うって話なんだよォ!」
「ぼっ、僕の体を使って天法をぉ?! そんな事が出来る、」
「いいから! 死にやぁしないから、とっとと背中をお貸しィ!」
照れ隠しも含めて強引に背中に両手を押し当てると、自身の白き輝きをラディッシュの体に移し、
≪我が内に秘めし天世の門を今開かぁん!≫
ラディッシュの白き輝きは更に強まった。
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