お嬢様がほしい。騎士は一計案じる事にした

一ノ清たつみ(元しばいぬ)

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番外:EAT ME.3.※

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 真っ暗になった視界の中、ゆっくりと移動して運ばれるのがベアトリーチェにも分かった。アルバーノはどのような反応をするのだろうか。このような姿の自分を見て、呆れたりするのだろうか。それとも、マルコの言うように喜んでくれるのだろうか。ドキドキとしながらそう考える内に、台座がふと動きを止めた。
 くぐもった話し声がベアトリーチェの耳にも入り、その部屋から何人かが出て行くのが分かる。途端に部屋は静まり返り、部屋に一人だけ残されたその気配が、しばらくの間ジッと佇んでいた。

 やがて気配はおそるおそる、ベアトリーチェを覆い隠している布をめくっていった。端の方から徐々に視界が明るくなり、ベアトリーチェはグッと腹に力を入れた。

「これ、は――」

 ベアトリーチェの全容が露わになった瞬間。目の前の気配――アルバーノはハッと息を吞んで固まった。

「アルバーノ、これは、ええと……いつも頑張ってくださる貴方へ、わたくしからの贈り物ですわ」
「……」

 しばらくの間、アルバーノは動きを止めた。布を片手に持ったまま、ジッとベアトリーチェの姿を凝視している。
 飾り付けをした女性達は満足そうに美しいと口々に呟いていたが。本当はどこかおかしいのではないだろうか、呆れられているのではないのだろうか、と羞恥やら何やらでベアトリーチェが不安に思い始めた時。ようやくアルバーノが口を開いた。

「こ、れは……とても美味しそう――いや、違います別にそういった意味ではなく……その、とても綺麗で……食べるのが勿体ないというか。いえ、でももちろんありがたく全部私がいただきますし、そこはご心配なく……」

 アルバーノ本人もきっと何を言っているのか分かっていないのではないか。どこか呆然とした様子で呟く今の彼は、普段の頼れる騎士の姿からは随分とかけ離れている。そんな珍しいアルバーノの様子を見て、ベアトリーチェはくすりと笑みを溢した。
 少しは彼も気に入ってくれたようである。これが見れただけでマルコの話に乗った甲斐があった。気分を良くしたベアトリーチェは、ただ突っ立っているだけのアルバーノに向かって声をかける。

「旦那様、そうやって見ているだけでは勿体ないですわ。このわたくしを、食べては下さらないのかしら――?」

 まるで煽るように、上目づかいで首を僅かに傾げながら言うと、アルバーノはその場で再び息を呑んだ。ゴクリと喉元が上下して、ゆっくりと彼が動き出す。

「……それでは、ありがたくいただきますね。ビーチェ……本当にお美しいです。まるで本物の人魚です。私が全部残さず食べて差し上げます」

 普段と違ったこの状況に戸惑いを隠せないようで、アルバーノはいつも以上にゆっくりと優しくベアトリーチェへと触れた。彼女の顔を覆っているヴェールを取り去り、まるで壊れ物にでも触れるようにそっと頬を撫でながら、その唇に口付けを落とした。
 その存在を確かめるように舌を差し込み絡ませる。ぬるぬるとしばらく口内を堪能したかと思うと、アルバーノの唇は離れていった。もう一度触れるだけの口付けを落とし、首筋、鎖骨、胸元、腹部と、手で触れながらその唇が、徐々に下へと降りて行った。

「んっ」

 アルバーノの唇が、生クリームが塗られた腰のあたりに差し掛かった時だった。突然、腰骨のあたりにぬるりと肌へ触れる感覚があった。その部分のクリームを舐めとられたようで、付着した唾液が僅かに冷たく感じられた。
 それからアルバーノは、次々と生クリームを舐めとり、散りばめられていた果実を口に入れていった。時折舌を休めるように顔を上げると、自らの服を脱ぎながらベアトリーチェへ燃えるような眼差しを向けた。

「これはビーチェが考えたものではありませんよね? 一体誰が――というか犯人に目星は大体ついているんですが……」
「ふふっ……多分、貴方が想像する方で間違いないですわ」
「やはり……まったく、余計な事を……」

 ベアトリーチェが問いかけに答えると、アルバーノは拗ねるように顔を顰めた。まるで子供のするような表情をしていて、ベアトリーチェはクスリと笑いながら言う。

「嫌でした?」
「いえそんな! ……ただ、こんな、淫らで美しい貴女様の姿を見た者が居ると思うと……とても妬けます」
「あら……そこはもちろん大丈夫よ。女性しかいませんでしたもの」
「それは……いえ、それでもです。このお姿は誰にも見せたくはなかった」

 言いながら太股のクリームを不意に舐めとられて、ベアトリーチェの口から耐え切れなかった声が漏れ出た。
 慣れとは怖いもので。既にこの状況に違和感すら感じなくなっていたベアトリーチェは、己の体に舌を這わすアルバーノに向かって微笑みかけ、その顔を愛おし気に撫でてみせた。

「んんっ……大丈夫よ、心配しなくてもわたくしは貴方のものですわ」
「もちろん、疑ってなどおりません。……ただ不安なのです。ビーチェは男女問わず多くの人を魅了しますから」
「ふふっ……言い過ぎだわ」

 時折ベアトリーチェも飾られた果実に手を伸ばしながら、二人で甘いを堪能した。
 そうしてようやく、下半身の大部分からクリームも果実も消え去り、まるで人魚に脚が生えたかのような様になったベアトリーチェから悲鳴が上がった。

「ちょっ……アルバーノ! そんなところ……クリームはついていないわ!」
「いえ……まだここに美味しいのが残っていますよ」

 アルバーノがベアトリーチェの脚を大きく開かせ、その秘部へと顔を押し付けていた。脚を中心に舐められ続けたベアトリーチェは、すっかり出来上がってしまっていた。
 ぷっくりとたちあがっていた花芽にぬるりを舌を這わせ、舌先で転がされる。敏感なそこをねっとりと嬲られると、ベアトリーチェからは大きな嬌声が上がった。この状況に、信じられない程興奮してしまっていた。

「んああっ!」
「はぁ……ビーチェの何もかもが甘くて美味しい」
「いや、あっ……そこ、だめぇっ……待っ、舌、挿れな――ッ!!」

 ぬるついた舌が差し込まれた途端、ベアトリーチェはビクビクと震えながら絶頂した。まるで初めての感覚に耐え切る事ができなかったのだ。柔らかく滑りを帯びた肉の塊が蠢く感覚は、昂りを挿入されるのとも違っていた。。
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