万愚節的日記とか(Apr.2024)恋愛編

四月二十四日

　

　起床して1時間も経っていない。
　昨夜の蕁麻疹のおかげで左目の腫れが酷い。

　これは朝食中に椅子に座っていられないほど眠たくなった挙句、再びベッドに潜り込んでしまったあたしの悪夢の記録なのです。
　誰も他人の夢の話など面白くはないとは思うけれど言ってしまおう。

　線路にステーキ肉がびたびた落ちていて通勤電車遅延という不可抗力で遅れたとは言ってもギリギリセーフで間に合っていたのに未だタイムカードの職場ではインク切れで時刻が刻印されなくて後で手書きすればいいやと急いで更衣室で白衣に着替えているとあんた邪魔とトイレに押し込められた。
　デパートみたいに広い病院内はまだ患者の姿はなくてあとから本当に遅刻してきたふたりの事務員が楽しそうにトイレで着替え始めてあたしはそいつらが嫌いだからトイレの裏側から抜け出すと表側のドアからふたりは朝礼に向かうんだけどあたしは屋上に続く長い階段を登り続けるから朝礼には出ない。
　午前の診療が終わったあとタイムカードが刻印出来なかったことを優しいはずのドクターに告げると遅刻しなかったことをどうやって証明するんだ手書きのタイムカードは認めないと怖い顔で言われたあとヘリウムガスの入った青い風船を渡されたんだけどそんなのもらっても浮きあがるわけじゃあるまいしそばを通りかかった片目の潰れた鼠にあげることにしたらその鼠は壁の落書きに収まっていた。

　うなされてたと思う。
　ハッと目が覚めて現実と悪夢の区別がつかないから「きゃー」と大きな声で騒いでみる。
　蕁麻疹の後遺症はまだ消えず、左目は腫れて開きにくいしとても醜い。
　今日は午後出勤でよかった、とはいえ起きるのが辛い……けど急いで起きなくちゃ。

　そういえばあなたにおはようも言ってなかった。
　ねえ、今のあたしの悪夢、ちゃんと訊いててくれた？
　反応がない。
　いつでもあたしと逆さまに眠っているあなたもまた、うなされているみたいだった。
　生贄にされる悪夢でも見ているのかな。

　悪夢を喰って下さる方、どなたかいらっしゃらないかしら……？