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四月二十三日
しおりを挟む「明日の朝ピンクムーンが見られるんですって」
「ピンクの満月か……なやましいのぉ」
「いえいえ、ピンクといっても月の色ではないのです」
「さては満月に照らされた地上の色かな」
「少し近い」
「そんな色に色づいた土の下には何が埋まっているのだろうか」
「埋まっているのじゃなくて咲いているのです、ピンク色の花が」
「それなら是非とも掘り起こしてみたい」
「掘ったら元に戻しておいて下さいね。何か発見しても内緒です。いずれにしても、すっかり陽が昇ってからの満月完了だから、ほら、今夜のうちに九九パーセントの満月を……」
「心の底から愛でようではないか」
あたしたちは肩を並べて少し曇った夜のベランダに立って、春の最後のお月見をする。
ピンクムーン直前のどう見てもまんまるい月にこっそり願いを託してみるけれど、声に出さないからきっと伝わらないだろう。
明日突然に地上にピンクの花が一斉に咲いたら、きっとそれはピンクムーンの仕業、なわけないか。
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