万愚節的日記とか(Apr.2024)恋愛編

弘生

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四月二十日

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 もう少しで恐竜の頬に触れられそうだという夢の途中で、iPhoneのアラームがその夢を強制終了させた。
 あああ、もったいない。
 恐竜の手触りの乾いた感触を確かめられるはずだったのに。

 六時か……昨日の極端にハード過ぎた仕事のせいで、起きられないよ。
 もう少しだけ……
 あ! そうだ、今日は日曜日じゃん。
 も少し目を瞑っていよっと。
 できれば夢の続きを……むにむにむに……

 再び鳥の囀りに覚醒を促される……
 え? あれ? うそ……今日は日曜じゃない、土曜日だ! 
 きゃー、今何時?

 七時だよーん。
 あなたがお暢気に答える。
 鳥の囀りだと思ったのは、あなたの口笛。
 朝からプロコフィエフのピーターと狼を機嫌よく奏でている。
 最初から最後まで口笛でいけるんだって自慢するのはいいけれど、気がついてるなら起こしてよね!

 七時二十分に出かけないと電車に乗り遅れちゃうのに。
 女性とは思えぬ素早さで歯磨きしてリネンのワンピースに着替えて白いスニーカーを踏んづけて……
 まるでアニメのように、玄関の扉越しにゆでたまごを放物線に投げて寄越すあなた。
 あたしはアニメのように、それをキャッチして駅まで走る。
 時間がないのに途中立ち止まり、空の写真を二枚撮る。

 職場に着いたらゆでたまごを食べようか。
 でも、でも、あたしは熱々のゆでたまごじゃないと食べられないのよ~。

 息継ぎさえ忘れそうなハードな立ち回りのあとには、きっときっとおいしいお昼ご飯が待っている。
 そう信じて、お腹が鳴るのをこらえていたの。

 本物のピーターと狼でも聴きながら、熱々のチーズリゾットでも食べたいなぁ。
 ふふ、あなたが作ってくれてもいいのよ~。

 ゆでたまごはポテトサラダに混ぜちゃおうね。

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