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四月十七日
しおりを挟む真夜中に気配を感じるキッチン。
「ねえ、何やってるの?」
「お夜食だよ~」
発掘調査の報告書の下書きでもしてるのかしら。
24インチのiMacが、暗い部屋に光を放っている。
「で、何をやってるの?」
「見ればわかる」
いや、そうだ。何をやっているのかはわかる。
じゃなくて、あなたがそれをそうする意図がわからない。
あなたはカップ焼きそばの湯を捨てると、その上から温めたレトルトカレーをうれしそうにかけているのだった。
「だから、何やってるの?」
「うーん、実はカップ焼きそばの粉末ソースをばら撒いちゃったんだ……君みたいだろ……僕は実に落ち込んでいる」
「どうゆう意味よ!」
「まんまの意味さ」
よくもあっさり言ってくれたわね、そりゃそうだけどさ。
「味の無い麺にはカレーをかければいいじゃないかって閃いたんだよ、えっへん」
「へ? そこ威張るところ?」
「まあ、せっかく起きてきたんだ。君もお味見してゆきたまえ」
「じゃんけんで負けた方が先にお味見ね」
予想を裏切ってあたしが負けたのに。
「予想通りだね」って、あなたが笑う。
こほん。では、いただきます。
ん? い、意外にいけるかも……
「だろ? だろ? えっへん」
あなたってば子供みたいに鼻を膨らませて、うれしそうな顔をする。
まあ、無理に作りたいとは思わないけどね。
iMacの画面から放つ光が、あなたが再び出発する日が一日一日と近づいてくるのを意識させる。
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