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八月十八日(日)
しおりを挟むリアルタイムでいきなり書き始めた。
すごいんだよ、雷が。
近くで連続でドロドロ鳴り続けていたんだけど、本気の本気で耳をつんざくと言うか、どうにかなってしまうのかと思えるほどの放電音、今確実に落ちたと思う、雷が。
最近頻発してる数十秒の地震もドキドキしたけれど、今の雷鳴は胸やお腹に轟いて、心臓がギユンて冷たくなった。
ちょうど、頼まれている童話の挿絵の最後の一枚を描いている最中だったけど、さすがに集中力が霧散した……と思ったら、さらに凄まじい破壊音。再び近くに落ちたと思う。
気付くとあたしはキッチンのテーブルの下に潜り込んで丸まっている。
地震じゃないんだから、と思ったけど、咄嗟にiPhoneとiPadを胸に潜っていた。
行動の意味は自分でもわからないけども、猫さまやわんこが雷を怖がって家具の隙間に潜り込む心境がわかる気がする。
と言うわけで、リアルタイムであたしは暗いテーブル下で、じっとりと汗をかきながら、iPadでこの日記を書いている。
なんで書いてるんだろう? と自己分析してみると、多分ひとりぼっちで心細いんだと思った次第。
ああ、消防車のサイレンの音だ。
やっぱり近くに落ちたんだ。
こそこそと床を這って、締め切ったサッシから外を覗く。
雨で真っ白にしぶいた景色の中に、赤く光る回転灯とその本体の消防車が走り去って行くのがぼんやり見えた。
怪我人が誰もいませんように。
なんて思いながら、おでこの汗を拭って、再びテーブル下に潜るあたしなのでした。
雷はおさまったようで、雨音も少しずつ落ち着いてきてるけれど、それでも普通の雨ではない。
今日で夢のような夏休みが終わってしまう。
夏休みの最終日に、キッチンのテーブル下で過ごすとは思わなかった……意外と気に入ってしまったかも……笑汗
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