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9 憧れの護衛依頼
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「ランクCいただきましたー!」
「俺も俺も!」
「きゃーおめでとう~」
「って、ミリアはBに上がったじゃん!」
レイドとミリアと私、ギルドの入口近くでいつもの3人でわいわいと騒ぐ。先日のワイバーン討伐がきちんと評価されたのだ。
と言うことは護衛依頼が解禁となる。
「お姫様の護衛とかしてみたーい!」
自分が公爵夫人だといことは忘れて何を言っているんだという所だが、ここには誰もツッコミを入れる人はいない。
「それはもうちょっと後かしらねぇ」
「ミリアは護衛依頼引き受けたことはあるのか?」
「あるわよ~実は私、人気があるの。やっぱり女の子の護衛は女がいいみたいねぇ」
依頼人であるご令嬢が、ワイルドでたくましい冒険者に恋に落ちてしまうことが少なからずあるんだそうだ。
(吊り橋効果ってやつ?)
だがミリアはあまり護衛の仕事は受けてこなかった。それよりもダンジョンへ入った方が確実に稼げるからだ。
「だけどBに上がると護衛報酬もよくなるのよねぇ。たまには受けようかしら」
「冒険者の依頼、偏ってるとなかなかランクは上がらないんだろ?」
「そうよぉ~強いだけじゃダメなのよぉ」
そう言って2人はこちらに視線を向ける。
「総合力だってあるわ! 強さが目立つだけ!」
まぁ飛び抜けて強いだけじゃダメだってことはよくわかったが。
その時、急に目の前の2人がいなくなった。
「ぶわぁ!」
目の前が真っ白になる。ついでに体中も。白い粉が上から降ってきたのだ。
「きゃー! ごめんなさーい!」
誰じゃおりゃー! っと振り返ると小さな女の子が半泣きで立ちつくしている。
(うぅ……これじゃあ怒れないじゃん……)
女の子は依頼した真っ白な染め粉を受け取った帰り、他の冒険者にぶつかられて、それが私の上に降ってきたのだ。
「まだまだ不意打ちには対応できねぇよな~」
笑うのを我慢しているレイドの顔をキッと睨みつける。
騒ぎすぎたせいで女の子にぶつかった冒険者を締め上げ、もう一度同じ素材を取ってくるよう約束させた直後、遠くから私を呼ぶ声が近づいてきた。
「おーいテンペスト~!」
「なに!?」
声をかけてきたのは冒険者ギルドの依頼窓口にいつも座っているハイネだ。私の剣幕も真っ白になっているとこも全く気にせず話し続ける。
「お前に護衛依頼が来てるんだが~今から出れるか~?」
「うそ! マジで!?」
「この間のワイバーンを狩ったやつってご指名なんだよ」
(やったー! さっそく名前が売れ始めてる!!!)
悪いこともあれば良いこともあるもんだ。と、喜んだのも束の間。
(うそ!? うそうそうそうそうそ!?)
旦那様だ。旦那様が目の前にいる。髪色を茶色に変えているが、間違いなく旦那様だ。変装する気あるのか!?
依頼人は隣領からの商人だと聞いていた。いつもの護衛がワイバーン騒動で怪我をしたため、途中の宿場まで護衛を、という依頼だ。
(もうちょっとランクを上げてからバレる予定だったのに!!!)
まあいい。とりあえず一端の冒険者を名乗れるCまでは辿り着けた。離婚を言い渡されてもどうにか生活はできるだろう。
「名前は?」
「……テンペストですが」
嫁の名前も忘れたのか。
「……そうか。よろしく頼むテンペスト」
初めて名前を呼ばれた。
ん?
んん?
んんん?
(いや……この感じは違う……!)
こいつ! 私って気づいてないな!?
なにこの初めましてな感じ。
確かに今の私は旦那様と同レベルの変装状態。先程の染め粉によって、髪の毛と睫毛が真っ白に染まっている。専用の洗剤でないと落ちないらしく、それは先程の女の子が今回の依頼を終えるまでには準備をしてくれることになっていた。
だがそれ以外は何も隠していない。変わっていない!
パーツを変えたわけでも、付け足したわけでもない! その上……、
(名前まで名乗ったのに!?)
気づかないなんてある!? かれこれ数ヶ月同居してるんだけど!?
ウェトウィッシュ家は黒髪黒目の一族だ。何ものにも染まらない、と言う家訓じみたものにも使われている。まぁ今は真っ白に染まっているが……。
(旦那様、私の容姿の認識が黒髪くらいしかない可能性が出てきたな)
領主としてどれだけ頑張っていようと、夫としては本当にどうしようもない男だ。妻の顔も覚えていないなんて。ああ、腹が立つ。
目も初めてあった。
(……ムカつくくらい綺麗な顔だわ)
この顔で大体のことは許されてきたのだろう。まぁ私は許さないけどね!!!
「よろしくお願いいたします。トゥルーリー様」
きっちり偽名で呼んでやった。
「君は随分魔術が得意だと聞いている。誰か師はいるのか?」
「いいえ。独学です」
護衛だと言うのに旦那様と同じ馬車の中へ乗るように言われた。それでようやくわかった。これは探りを入れられている。ワイバーンを倒した私がどういう人物か確認しているのだ。
(優秀な冒険者をできるだけ長く街に留めたいって言ってたもんな)
まあこれは又聞き情報ではあるが。
とりあえず、私は順調に冒険者としての伝説を作り始めているということだろう。
「そこまですごい魔術が使えるなら宮廷魔術師も目指せただろう。なぜ冒険者なんかに?」
(はぁ?)
と思うが、あえて笑顔で答える。
「冒険者が宮廷魔術師に劣るとは思えませんので。より自由に生きられる方を」
はい旦那様失言~! 前世なら炎上確実~! 冒険者のおかげで栄えてる街だろう。なのになんかだと!?
せっかく今日は目があうので、これでもかと旦那様を見つめてやった。旦那様もいつもと違って見つめ返してくる。
(これで気が付かないんだもんな~)
いったい毎朝何を見てるんだ。
「失礼。決して冒険者を低く見たわけではない。冒険者の方がずっと危険な上、生活は大変なはずだ。その上でどうしてか聞きたかった」
私の笑顔の理由に気が付いたようだ。急いで言い訳を始めた。
旦那様の言う通り、宮廷魔術師、もしくは各領主のお抱え魔術師にでもなれば、冒険者よりは安定したお給金が得られる。だが宮廷魔術師は実家の爵位が全て。私の実家もそれほど悪いわけではないが、トップにのし上がりたければ王族でなければ無理だ。お抱え魔術師の方はほとんど何でも屋として終わってしまう。
「冒険者にはロマンがありますので」
ニヤリと挑戦的に笑いかけてみた。
何にしても、たかがCランクの冒険者相手に公爵様が慌てる必要はないのだが。
ロマンか。と呟いた後、旦那様はぽつりぽつりと話しはじめた。業務的でない彼の言葉も珍しい。
「私も……冒険者に憧れていた時もあるのだ。今でも冒険者達を見て羨ましく思う日もあるよ」
(へぇ~それは初耳)
「いやしかし言い訳だな。君達に失礼な物言いをしてしまった。すまない」
「いえ。私も何も知らずに失礼を」
素直に頭を下げられびっくりした。何度だって言うが、私はしがないCランクの冒険者。片やブラッド公爵。身分差が凄いのだ。いや、今はトゥルーリー商会の商会長か。それでもやっぱり頭を下げるのは変だ。少なくともこの世界では。
「……なぜ冒険者になられなかったのですか?」
沈黙に耐えられずについ聞いてしまった。いつもの朝食は平気なのに。馬車の中が食堂より狭いからだろうか。
だいたい、答えは知っているのに。
「年の離れた兄が急死してしまってね。跡継ぎが私しかいなくて……私よりよっぽど領……商会を愛していたんだが」
旦那様はポロっと自分の設定を忘れて領主としての顔がのぞきかけていた。
(おいおい! 今日はしっかり商人のままでいてくれよ!)
いや、そんなことは今はどうでもいい。
(兄がいたなんて知りませんが!?)
思っていた答えと全然違う!
仮にも公爵家だ。社交界への露出も多い。私は全然社交界と縁がないが、それでもブラッド家の概要くらいは知っていた。彼は1人息子のはずだ。兄がいたなんて一度も聞いたことがない。
(え? これは商人としての設定? それとも私の知らない兄がいたの!?)
頭の中になんとも言えないネガティブな気持ちがぐるぐると渦を巻き始めていた。普通に気になる、その『兄』のこと。
「俺も俺も!」
「きゃーおめでとう~」
「って、ミリアはBに上がったじゃん!」
レイドとミリアと私、ギルドの入口近くでいつもの3人でわいわいと騒ぐ。先日のワイバーン討伐がきちんと評価されたのだ。
と言うことは護衛依頼が解禁となる。
「お姫様の護衛とかしてみたーい!」
自分が公爵夫人だといことは忘れて何を言っているんだという所だが、ここには誰もツッコミを入れる人はいない。
「それはもうちょっと後かしらねぇ」
「ミリアは護衛依頼引き受けたことはあるのか?」
「あるわよ~実は私、人気があるの。やっぱり女の子の護衛は女がいいみたいねぇ」
依頼人であるご令嬢が、ワイルドでたくましい冒険者に恋に落ちてしまうことが少なからずあるんだそうだ。
(吊り橋効果ってやつ?)
だがミリアはあまり護衛の仕事は受けてこなかった。それよりもダンジョンへ入った方が確実に稼げるからだ。
「だけどBに上がると護衛報酬もよくなるのよねぇ。たまには受けようかしら」
「冒険者の依頼、偏ってるとなかなかランクは上がらないんだろ?」
「そうよぉ~強いだけじゃダメなのよぉ」
そう言って2人はこちらに視線を向ける。
「総合力だってあるわ! 強さが目立つだけ!」
まぁ飛び抜けて強いだけじゃダメだってことはよくわかったが。
その時、急に目の前の2人がいなくなった。
「ぶわぁ!」
目の前が真っ白になる。ついでに体中も。白い粉が上から降ってきたのだ。
「きゃー! ごめんなさーい!」
誰じゃおりゃー! っと振り返ると小さな女の子が半泣きで立ちつくしている。
(うぅ……これじゃあ怒れないじゃん……)
女の子は依頼した真っ白な染め粉を受け取った帰り、他の冒険者にぶつかられて、それが私の上に降ってきたのだ。
「まだまだ不意打ちには対応できねぇよな~」
笑うのを我慢しているレイドの顔をキッと睨みつける。
騒ぎすぎたせいで女の子にぶつかった冒険者を締め上げ、もう一度同じ素材を取ってくるよう約束させた直後、遠くから私を呼ぶ声が近づいてきた。
「おーいテンペスト~!」
「なに!?」
声をかけてきたのは冒険者ギルドの依頼窓口にいつも座っているハイネだ。私の剣幕も真っ白になっているとこも全く気にせず話し続ける。
「お前に護衛依頼が来てるんだが~今から出れるか~?」
「うそ! マジで!?」
「この間のワイバーンを狩ったやつってご指名なんだよ」
(やったー! さっそく名前が売れ始めてる!!!)
悪いこともあれば良いこともあるもんだ。と、喜んだのも束の間。
(うそ!? うそうそうそうそうそ!?)
旦那様だ。旦那様が目の前にいる。髪色を茶色に変えているが、間違いなく旦那様だ。変装する気あるのか!?
依頼人は隣領からの商人だと聞いていた。いつもの護衛がワイバーン騒動で怪我をしたため、途中の宿場まで護衛を、という依頼だ。
(もうちょっとランクを上げてからバレる予定だったのに!!!)
まあいい。とりあえず一端の冒険者を名乗れるCまでは辿り着けた。離婚を言い渡されてもどうにか生活はできるだろう。
「名前は?」
「……テンペストですが」
嫁の名前も忘れたのか。
「……そうか。よろしく頼むテンペスト」
初めて名前を呼ばれた。
ん?
んん?
んんん?
(いや……この感じは違う……!)
こいつ! 私って気づいてないな!?
なにこの初めましてな感じ。
確かに今の私は旦那様と同レベルの変装状態。先程の染め粉によって、髪の毛と睫毛が真っ白に染まっている。専用の洗剤でないと落ちないらしく、それは先程の女の子が今回の依頼を終えるまでには準備をしてくれることになっていた。
だがそれ以外は何も隠していない。変わっていない!
パーツを変えたわけでも、付け足したわけでもない! その上……、
(名前まで名乗ったのに!?)
気づかないなんてある!? かれこれ数ヶ月同居してるんだけど!?
ウェトウィッシュ家は黒髪黒目の一族だ。何ものにも染まらない、と言う家訓じみたものにも使われている。まぁ今は真っ白に染まっているが……。
(旦那様、私の容姿の認識が黒髪くらいしかない可能性が出てきたな)
領主としてどれだけ頑張っていようと、夫としては本当にどうしようもない男だ。妻の顔も覚えていないなんて。ああ、腹が立つ。
目も初めてあった。
(……ムカつくくらい綺麗な顔だわ)
この顔で大体のことは許されてきたのだろう。まぁ私は許さないけどね!!!
「よろしくお願いいたします。トゥルーリー様」
きっちり偽名で呼んでやった。
「君は随分魔術が得意だと聞いている。誰か師はいるのか?」
「いいえ。独学です」
護衛だと言うのに旦那様と同じ馬車の中へ乗るように言われた。それでようやくわかった。これは探りを入れられている。ワイバーンを倒した私がどういう人物か確認しているのだ。
(優秀な冒険者をできるだけ長く街に留めたいって言ってたもんな)
まあこれは又聞き情報ではあるが。
とりあえず、私は順調に冒険者としての伝説を作り始めているということだろう。
「そこまですごい魔術が使えるなら宮廷魔術師も目指せただろう。なぜ冒険者なんかに?」
(はぁ?)
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(これで気が付かないんだもんな~)
いったい毎朝何を見てるんだ。
「失礼。決して冒険者を低く見たわけではない。冒険者の方がずっと危険な上、生活は大変なはずだ。その上でどうしてか聞きたかった」
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「冒険者にはロマンがありますので」
ニヤリと挑戦的に笑いかけてみた。
何にしても、たかがCランクの冒険者相手に公爵様が慌てる必要はないのだが。
ロマンか。と呟いた後、旦那様はぽつりぽつりと話しはじめた。業務的でない彼の言葉も珍しい。
「私も……冒険者に憧れていた時もあるのだ。今でも冒険者達を見て羨ましく思う日もあるよ」
(へぇ~それは初耳)
「いやしかし言い訳だな。君達に失礼な物言いをしてしまった。すまない」
「いえ。私も何も知らずに失礼を」
素直に頭を下げられびっくりした。何度だって言うが、私はしがないCランクの冒険者。片やブラッド公爵。身分差が凄いのだ。いや、今はトゥルーリー商会の商会長か。それでもやっぱり頭を下げるのは変だ。少なくともこの世界では。
「……なぜ冒険者になられなかったのですか?」
沈黙に耐えられずについ聞いてしまった。いつもの朝食は平気なのに。馬車の中が食堂より狭いからだろうか。
だいたい、答えは知っているのに。
「年の離れた兄が急死してしまってね。跡継ぎが私しかいなくて……私よりよっぽど領……商会を愛していたんだが」
旦那様はポロっと自分の設定を忘れて領主としての顔がのぞきかけていた。
(おいおい! 今日はしっかり商人のままでいてくれよ!)
いや、そんなことは今はどうでもいい。
(兄がいたなんて知りませんが!?)
思っていた答えと全然違う!
仮にも公爵家だ。社交界への露出も多い。私は全然社交界と縁がないが、それでもブラッド家の概要くらいは知っていた。彼は1人息子のはずだ。兄がいたなんて一度も聞いたことがない。
(え? これは商人としての設定? それとも私の知らない兄がいたの!?)
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