【完結】旦那様が私に一切興味がないのは好都合。冒険者として名を上げてみせましょう!

 テンペスト・ウェトウィッシュは侯爵家の末娘。16歳という貴族の中での適齢期を迎えるが、全く結婚する気は起きない。何と言っても彼女は前世の記憶持ち。前世で16歳と言えばまだまだ遊びたいお年頃だった。

「せっかく生まれかわれたんだから人生楽しまなきゃ!」

 彼女が転生したこの異世界の何を気に入ったかって、魔法の存在だ。しかも彼女はラッキーなことに、魔法に関して天性の才能の持ち主として生まれた。

「私、魔法使いなりたい!」

 という前世の願いが転生して叶ってしまった彼女は、新たな夢を見出した。

「私、冒険者になる!」

 魔獣を狩って素材を剥がしてそれを売ったり、武器や装備を作ったり、依頼を受けてお姫様の護衛をしたり、ばっさばっさと敵を倒すのだ!

 アンラッキーなことに、彼女の家族はその夢を歓迎しなかった。貴族の令嬢として彼女に求められるのは、旦那様に尽くす、大人しく美しい淑女だった。

 ある日騙されて連れていかれたのは、まさかの自分の結婚式。テンペストの夫となるのは、ウェンデル・ブラッド公爵。血も涙もない冷血な男だと貴族社会で噂になっている男だった。

(はあああ!?)

 なりたくもなかった花嫁姿の自分に見向きもしない夫に思わずイラっとしたテンペストは、すぐに人生の計画を練り直した。

 ブラッド領には有名な地下ダンジョンが存在した。冒険者の街としても有名なのだ。そこでテンペストは冒険者になることに。

「冒険者として名を上げて、大恥かかせたらぁ!!!」

 ブラッド公爵家の嫁が冒険者なんて知られたら、あの冷血夫がどんな顔をするか楽しみだと、テンペストはルンルンで今日もダンジョンへと入って行く。それに冒険者として生活できるようになれば離婚だ! となったって問題ない。

 だが、順調に冒険者を続けていたテンペストには予想外のことが。

「なんて美しい人なんだ!」

 変装した自分の夫が、妻とは気づかず自分に惚れてしまったのだ。

「……アホかな?」

 夫の浮気判定に迷いながらも、今日もテンペストは人生を楽しみます!
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