【完結】予定通り婚約破棄され追放です!~せっかく最強賢者に弟子入りしたのに復讐する前に自滅しないで!?~

桃月とと

文字の大きさ
6 / 63

6 お仕事

しおりを挟む
 レミリアの部屋の窓から、飛竜の小屋が見える。アレンが魔術で一晩の内に作ってくれたのだ。
 どうやら兄弟子というだけあってアレンの方が多種多様な魔術を使いこなせていた。

「レミリアの白竜、綺麗だな~」
「そうです……そうでしょ!? リュークって言うの!」

 結局アレンに対しての口調も、ジークボルトと同じようにするよう頼まれたのだ。仮にも兄弟子というのだから、少しは丁寧な言葉の方がいいと考えていたレミリアの口調はまだ少しぎこちない。
 リュークはアレンに対してそっぽを向いていた。攻撃こそ仕掛けないが、少しも心を許してなるものかという意思を感じる。

「アハハ! ヤキモチ妬いてんのか!」
「こんなリューク初めて」
「俺が男前だからだろ!」

 少し悪戯っぽく笑う顔が可愛い。銀色の髪の毛が太陽の光に照らされて光っている。確かにアレンは顔がいい。決して攻略キャラ達に引けを取らない……どころか頭1つ抜けているとレミリアは感じた。そして性格もいい。優しくユーモアもあり、サッパリとしている。彼女にとっては、つい最近まで付き合いのあった男がアルベルトだからか余計そう感じる。

「俺にも飛竜がいてよ! リュークと逆で黒竜なんだ。今ちょっと息抜きに魔物の森に行かせてる」
「戻ってきたら喧嘩しない?」
「主人の手前しないだろうな」
「先生にもいるの?」
「いるいる! やべぇのが!」
「先生って何者……?」
「大賢者だろ? まあ言いたい事はわかる」

 そう言って2人で吹き出した。

(こんなに他人と取り留めもない会話をしたのはいつぶり? 前世ぶり?)

 ここでの生活についてはアレンが全て教えてくれた。

「知っての通り、師匠は気まぐれだ。けど俺らに愛情がないわけじゃねぇ。そこは忘れないように」

 それはレミリアにも思い当たる節があった。ネックレスで通信していた時の話だ。大事な話の後にしばらく音信不通になることが多々あった。

「先生、時間の感覚が私達と違うわよね?」
「そうそう! 集中し始めてると数日部屋から出ないなんて当たり前だからな」

 それから……と、アレンは少し嬉しそうな表情になった。

「弟子とは言っても、半分は執事みたいな……秘書みたいな……まあ要は雑用係みたいなもんだ」
「雑用って掃除とか料理とか?」
「それはホムンクルスがやる」
「ホムンクルス!?」

 ホムンクルスとは言っても、ただ人型をした魔術という様相だった。一体につき1つの魔術が掛けられており、掃除専門のホムンクルス、洗濯専門のホムンクルス、料理専門のホムンクルス等々、10体近くいるとの話だった。

「全員顔が同じじゃん!」
「なぁ~先生変なとこ適当なんだよ」

 ホムンクルス全てが同じ顔、同じ髪型、同じ服装だった。金髪の襟足の長いショートヘアで、薄い緑の瞳を持ち、年齢はレミリア達と同じくらいに思えた。性別はわからない。そして全員無言でキビキビと働いている。

「俺らの仕事は接客だ。師匠目当てにお偉い人や変な輩がくるからさ」
「そうか。先生って有名人だもんね」
「好きに生きていいからこの国にいてくれって契約なんだってよ」

 国に大賢者がいるというだけでも箔がつく。

「レミリアこういうの得意だろ?」
「まあ長年お偉方とお付き合いはしてきたけど」

 むしろ生まれてから付き合いがあるのは立場や権力のある人ばかりだったレミリアにとっては、特に難しいこととは思えなかった。

「だろ!? あーよかった! 俺はどうも苦手でよ。これお前の仕事な!」

 アレンはこの仕事から解放されたと明るい顔をしている。

「待って!? 変な輩ってなに!?」
「あーそのうちわかる」
「ええ!? その輩にはどうしたらいいわけ!?」
「基本的に俺らは治外法権だ。ムカついたら実力行使していいからさ」

(マジで!? そんな適当なの?)

 大賢者ジークボルト、彼はこの国でかなりの立場と権力を持っているのだとレミリアは改めて感じた。

(悪役令嬢に転生したけど、イケメン大賢者に弟子入りできたって事でプラマイゼロにはなった?)

 レミリアはそんな暢気な考えごとが出来るくらい、自分の心がほぐれていることが嬉しかった。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。

かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。 謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇! ※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

悪役令嬢発溺愛幼女着

みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」  わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。  響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。  わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。  冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。  どうして。  誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます

なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。 過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。 魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。 そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。 これはシナリオなのかバグなのか? その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。 【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】

処理中です...