69 / 82
第二部 元悪役令嬢の学園生活
12 聖女の瞳
しおりを挟む
(レオハルト、大きくなったなぁ)
出会った頃はほとんど背が変わらなかった。今は頭ひとつ分くらい差ができてしまっている。これからさらに伸びるだろう。
腕も逞しくなったのがわかる。いつのまにこんなに筋肉つけたんだ。
(頑張って剣振ってたもんな~)
と、いつまでも現実逃避はしていられない。
「あの、レオハルト様?」
「すまない。だけど逃げようとしてるだろう」
婚約者歴五年ともなると私のことよくわかっている。
「……逃げませんから、少し離れていただいても?」
「わかった……」
レオハルトがゆっくりと扉から手を離す。
(フッ! 甘いわね)
扉を出たらこっちのもんだ。外にはエリザも、レオハルトのお付きも、この寮の使用人もいる。そうなれば込み入った話はできない。
扉から腕が離れた瞬間に、今度こそドアノブに手をかける。
「ッ!?」
私はドアノブに手をかけたまま、その手の上からレオハルトに握られた。どうにもこうにも動かせない。すでに握力ではレオハルトに勝てないのだ。
「はっ! 俺が何年君と一緒に過ごしていると思ってるんだ!」
振り返るとドヤ顔でこちらを見下ろしている。レオハルトには私の行動などお見通しだったようだ。それにしてもまあ、なんて嬉しそうな顔だこと。
逃げられないならしょうがない。胸の内を素直に伝えるしかなさそうだ。
「レオハルト様、私はまだ貴方の話を聞く覚悟ができていないのです」
私は小さく息を吐いた。落ち着こうとしているのに、心臓が少しづつ早くなっていくのがわかる。
「それは……俺の気持ちがわかっているからだろう?」
(もう言ったも同然じゃないか)
どうしてこうなったんだ。もう顔を上げることができない。レオハルトを直視するのが怖い。
「殿下、アイリスはよろしいのですか? あんなに彼女に会えるのを楽しみにしていたではありませんか」
「それはリディの方じゃないか。いつも楽しそうにその子の事を話していたのは」
だって愛読していた漫画の主人公だぞ! 好きな漫画の話をするのは楽しいじゃないか! それにアイリスに会えば私の婚約破棄という名の解放も近いと思っていた。二人がうまく行くことを本気で願ってた。
同時に私は物語が始まることに少し怯えていたのだ。漫画ではない、現実のアイリスに会うのが。
「リディがずっと言ってたじゃないか。彼女と再開すれば、二人とも出会った時と同じ気持ちになるって。だから俺もそうだと思ってた。思い込んでいた」
だってそうだ。そうなるはずだったのに……。レオハルトの気持ちが変わるなんて。
(私が変わったからか……)
こんな根本的なことに気がつかないなんてある!? 私は馬鹿だ。思い込みが酷すぎる。
「確かにリディと婚約した時はまだ彼女のことが気になっていた。それは認める。だけどこの五年、君と一緒に過ごして……入学式で彼女に会えてリディが言っている通りにはならなかった。俺もアイリスも。そうだろう?」
「そうみたいですね……」
レオハルトが握っていた手をゆっくりと放した。
「リディが俺じゃなくフィンリーのことを想っていることは知っている」
「はぁ!? フィンリー様のことは……!」
「リディは頑固だな。まあとりあえず俺の気持ちはわかったと思うから、今はご希望通り逃がしてあげるよ」
そう言って扉を開けてくれた。
「また明日」
「レオハルト様!?」
咄嗟に振り向くと、不敵に笑うレオハルトがそこにいた。
「俺は君のその頑固な心に挑戦するよ。そして勝ってみせる」
(どう言う感情!?)
◇◇◇
夜になり、ベッドに寝転がって天井を見つめる。見つめていてどうなるわけじゃないんだが。
(ルカ……ルカに話したい)
だけどこの環境じゃ以前のようにベッドでゴロゴロしながら話なんて出来ない。今は誰かに話を聞いてもらいたい。一人で抱え込めないのだ。けど前世の話も含めて話を聞いてくれる人なんて……。
「アイリスか~」
だけどこんな話してもいいのか?
「行こ……」
私の今逃げ道は将来自分を封印するかもしれない女の子だ。
だがそのアイリスは嬉々とした表情で私を質問責めにし始めた。私がアリアに対しておこなったあれと同じだ。
「なにそれガチでヤバ~~~!!!」
「ヤバいよね……」
「ね!? だから言ったじゃん! だから言ったじゃん!」
確かに、レオハルトが私のこと大好きなのは知っていた。だけどその好きはアイリスが出てくることによって繰り下がると思っていたのだ。
「えー! マジで壁ドンとか憧れるんだけどぉ! まあ相手は好きピに限るけど」
アイリスは楽しそうだ。テンションが上がっていくのがわかる。
「つーか少女漫画過ぎてウケる~! って少女漫画か!」
「その少女漫画の行末が心配なのよ」
「なんで? 改心した悪役令嬢が王妃になっちゃだめ?」
「王妃になる覚悟なんて出来てないのよぉ」
手で顔を覆う。私に王妃なんて無理だ。それに予知夢のこともある。婚約破棄した後の生活のことばかり考えていた。むしろそれからが真の自由だと夢見ていた。
アイリスが急に笑うのを辞めてこっちを向き直す。
「単刀直入に聞くね……レオのことが好き? フィンのことはリアコではないって言ってたけど、実際どうなの?」
リアコ……リアルに恋はしていない。フィンリー様にそんなおこがましい感情抱けない。とはいえ、五年前とは違う表現の方が正しい。現実の彼を前にして、より大切に、愛しい存在だということを実感はしたが、なんとも名前のつけられない気持ち。レオハルトには頑固だと言われたが、それは私がフィンリー様に恋してるということを認めないということ? いや、しかし……。
(なんて言ったらいいんだろうな~どうもしっくり当てはまらないんだよなぁ~『恋』って単語に)
だから今でも『推し』と表現している。
「レオハルトは広い意味では好き。フィンリー様のことは愛しているけど、アイリスが思っているようなのじゃない」
「フーーーーン」
彼女は不満そうな顔でこちらの顔を覗き込んできた。
「私の目を見て言ってみて」
「アイリスの瞳って!」
思わず吹き出してしまった。
「そうだよ~神聖なこの瞳を見て言ってごらん!」
アイリスの瞳は聖女の証だ。治癒能力で決められた聖女ではなく、正真正銘、『本物』の聖女の証になる。覚醒後、彼女の瞳の中にその証拠である聖なる紋章が浮かび上がるのだ。
もちろん今はまだ覚醒していないため何もない。可愛らしいピンク色の瞳だけがそこにある。
「カラコンなしでこの瞳だよ? 最強っしょ!」
嘘は言ってない。レオハルトへの気持ちもフィンリー様への気持ちもアイリスに告げた通りだ。だってずっとそう思ってた。これも頑固な思い込みだろうか。
「よくわからない……」
「そうきたか」
アイリスはまだ少し不満そうだったが、まあいいか、と呟いてベッドに寝転がった。
「まだ物語が始まって一週目だし、ゆっくり考えよ」
その日はアイリスのベッドで二人で眠った。そんなのなんだか久しぶりすぎて落ち着かないと思ったが、気持ちが落ち着いたせいかすんなり眠ることができた。
『また明日』か、その時の私に対応は任せよう。
出会った頃はほとんど背が変わらなかった。今は頭ひとつ分くらい差ができてしまっている。これからさらに伸びるだろう。
腕も逞しくなったのがわかる。いつのまにこんなに筋肉つけたんだ。
(頑張って剣振ってたもんな~)
と、いつまでも現実逃避はしていられない。
「あの、レオハルト様?」
「すまない。だけど逃げようとしてるだろう」
婚約者歴五年ともなると私のことよくわかっている。
「……逃げませんから、少し離れていただいても?」
「わかった……」
レオハルトがゆっくりと扉から手を離す。
(フッ! 甘いわね)
扉を出たらこっちのもんだ。外にはエリザも、レオハルトのお付きも、この寮の使用人もいる。そうなれば込み入った話はできない。
扉から腕が離れた瞬間に、今度こそドアノブに手をかける。
「ッ!?」
私はドアノブに手をかけたまま、その手の上からレオハルトに握られた。どうにもこうにも動かせない。すでに握力ではレオハルトに勝てないのだ。
「はっ! 俺が何年君と一緒に過ごしていると思ってるんだ!」
振り返るとドヤ顔でこちらを見下ろしている。レオハルトには私の行動などお見通しだったようだ。それにしてもまあ、なんて嬉しそうな顔だこと。
逃げられないならしょうがない。胸の内を素直に伝えるしかなさそうだ。
「レオハルト様、私はまだ貴方の話を聞く覚悟ができていないのです」
私は小さく息を吐いた。落ち着こうとしているのに、心臓が少しづつ早くなっていくのがわかる。
「それは……俺の気持ちがわかっているからだろう?」
(もう言ったも同然じゃないか)
どうしてこうなったんだ。もう顔を上げることができない。レオハルトを直視するのが怖い。
「殿下、アイリスはよろしいのですか? あんなに彼女に会えるのを楽しみにしていたではありませんか」
「それはリディの方じゃないか。いつも楽しそうにその子の事を話していたのは」
だって愛読していた漫画の主人公だぞ! 好きな漫画の話をするのは楽しいじゃないか! それにアイリスに会えば私の婚約破棄という名の解放も近いと思っていた。二人がうまく行くことを本気で願ってた。
同時に私は物語が始まることに少し怯えていたのだ。漫画ではない、現実のアイリスに会うのが。
「リディがずっと言ってたじゃないか。彼女と再開すれば、二人とも出会った時と同じ気持ちになるって。だから俺もそうだと思ってた。思い込んでいた」
だってそうだ。そうなるはずだったのに……。レオハルトの気持ちが変わるなんて。
(私が変わったからか……)
こんな根本的なことに気がつかないなんてある!? 私は馬鹿だ。思い込みが酷すぎる。
「確かにリディと婚約した時はまだ彼女のことが気になっていた。それは認める。だけどこの五年、君と一緒に過ごして……入学式で彼女に会えてリディが言っている通りにはならなかった。俺もアイリスも。そうだろう?」
「そうみたいですね……」
レオハルトが握っていた手をゆっくりと放した。
「リディが俺じゃなくフィンリーのことを想っていることは知っている」
「はぁ!? フィンリー様のことは……!」
「リディは頑固だな。まあとりあえず俺の気持ちはわかったと思うから、今はご希望通り逃がしてあげるよ」
そう言って扉を開けてくれた。
「また明日」
「レオハルト様!?」
咄嗟に振り向くと、不敵に笑うレオハルトがそこにいた。
「俺は君のその頑固な心に挑戦するよ。そして勝ってみせる」
(どう言う感情!?)
◇◇◇
夜になり、ベッドに寝転がって天井を見つめる。見つめていてどうなるわけじゃないんだが。
(ルカ……ルカに話したい)
だけどこの環境じゃ以前のようにベッドでゴロゴロしながら話なんて出来ない。今は誰かに話を聞いてもらいたい。一人で抱え込めないのだ。けど前世の話も含めて話を聞いてくれる人なんて……。
「アイリスか~」
だけどこんな話してもいいのか?
「行こ……」
私の今逃げ道は将来自分を封印するかもしれない女の子だ。
だがそのアイリスは嬉々とした表情で私を質問責めにし始めた。私がアリアに対しておこなったあれと同じだ。
「なにそれガチでヤバ~~~!!!」
「ヤバいよね……」
「ね!? だから言ったじゃん! だから言ったじゃん!」
確かに、レオハルトが私のこと大好きなのは知っていた。だけどその好きはアイリスが出てくることによって繰り下がると思っていたのだ。
「えー! マジで壁ドンとか憧れるんだけどぉ! まあ相手は好きピに限るけど」
アイリスは楽しそうだ。テンションが上がっていくのがわかる。
「つーか少女漫画過ぎてウケる~! って少女漫画か!」
「その少女漫画の行末が心配なのよ」
「なんで? 改心した悪役令嬢が王妃になっちゃだめ?」
「王妃になる覚悟なんて出来てないのよぉ」
手で顔を覆う。私に王妃なんて無理だ。それに予知夢のこともある。婚約破棄した後の生活のことばかり考えていた。むしろそれからが真の自由だと夢見ていた。
アイリスが急に笑うのを辞めてこっちを向き直す。
「単刀直入に聞くね……レオのことが好き? フィンのことはリアコではないって言ってたけど、実際どうなの?」
リアコ……リアルに恋はしていない。フィンリー様にそんなおこがましい感情抱けない。とはいえ、五年前とは違う表現の方が正しい。現実の彼を前にして、より大切に、愛しい存在だということを実感はしたが、なんとも名前のつけられない気持ち。レオハルトには頑固だと言われたが、それは私がフィンリー様に恋してるということを認めないということ? いや、しかし……。
(なんて言ったらいいんだろうな~どうもしっくり当てはまらないんだよなぁ~『恋』って単語に)
だから今でも『推し』と表現している。
「レオハルトは広い意味では好き。フィンリー様のことは愛しているけど、アイリスが思っているようなのじゃない」
「フーーーーン」
彼女は不満そうな顔でこちらの顔を覗き込んできた。
「私の目を見て言ってみて」
「アイリスの瞳って!」
思わず吹き出してしまった。
「そうだよ~神聖なこの瞳を見て言ってごらん!」
アイリスの瞳は聖女の証だ。治癒能力で決められた聖女ではなく、正真正銘、『本物』の聖女の証になる。覚醒後、彼女の瞳の中にその証拠である聖なる紋章が浮かび上がるのだ。
もちろん今はまだ覚醒していないため何もない。可愛らしいピンク色の瞳だけがそこにある。
「カラコンなしでこの瞳だよ? 最強っしょ!」
嘘は言ってない。レオハルトへの気持ちもフィンリー様への気持ちもアイリスに告げた通りだ。だってずっとそう思ってた。これも頑固な思い込みだろうか。
「よくわからない……」
「そうきたか」
アイリスはまだ少し不満そうだったが、まあいいか、と呟いてベッドに寝転がった。
「まだ物語が始まって一週目だし、ゆっくり考えよ」
その日はアイリスのベッドで二人で眠った。そんなのなんだか久しぶりすぎて落ち着かないと思ったが、気持ちが落ち着いたせいかすんなり眠ることができた。
『また明日』か、その時の私に対応は任せよう。
386
お気に入りに追加
1,771
あなたにおすすめの小説

掃除屋ダストンと騎士団長
おもちのかたまり
恋愛
王都には腕利きの掃除屋がいる。
掃除屋ダストン。彼女の手にかかれば、ごみ屋敷も新築のように輝きを取り戻す。
そんな掃除屋と、縁ができた騎士団長の話。
※ヒロインは30代、パートナーは40代です。
♥ありがとうございます!感想や応援いただけると、おまけのイチャイチャ小話が増えますので、よろしくお願いします!今週中に完結予定です。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています

愛しているからこそ、彼の望み通り婚約解消をしようと思います【完結済み】
皇 翼
恋愛
「俺は、お前の様な馬鹿な女と結婚などするつもりなどない。だからお前と婚約するのは、表面上だけだ。俺が22になり、王位を継承するその時にお前とは婚約を解消させてもらう。分かったな?」
お見合いの場。二人きりになった瞬間開口一番に言われた言葉がこれだった。
初対面の人間にこんな発言をする人間だ。好きになるわけない……そう思っていたのに、恋とはままならない。共に過ごして、彼の色んな表情を見ている内にいつの間にか私は彼を好きになってしまっていた――。
好き……いや、愛しているからこそ、彼を縛りたくない。だからこのまま潔く消えることで、婚約解消したいと思います。
******
・感想欄は完結してから開きます。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる