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二章 小晴

1 エスカレーターガール

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 真っ昼間だというのに、デパートの屋上には人影ひとつ見当たらなかった。
 うねって絡まった下水管みたいな雲がぶあつく何重にも空を覆い、ワンコインで動く遊具たちに錆びついた影を落としている。たとえコインを入れても動く気配なんて感じないほどに、ゾウを模した乗り物もスポーツカーを模した乗り物も戦隊ヒーローを模した乗り物も、すべて冷たく落ち窪んでいる。
 わたしは後ろ手で扉を閉め、屋上を囲う金網から灰色に曇った街並を見下ろした。
 音がない。風がない。
 動くものがない。
 光らない信号。ビルの黒ずんだ窓ガラス。上空の曇り空が、そっくりそのまま街並に染み込んでいる。
 もしかして、とわたしは思った。突然自分の体を包む空気の感触が変わり、光っていたものも暗がりにあったものも時が止まったように停止して、音とか流れとかがいつの間にか消えている。そういう経験は、わたしにとってはよくあることだった。ただそれは、今までは必ずこのデパートの中で起こっていた。ここが、外の世界が、こんなふうになるのは、初めてのことだった。
 動揺はしなかった。灰色に染まるこの風景の中に、わたしはきっと馴染みすぎている。なにが起こるのか、起きているのか、ぜんぶわかっている。

「そこにいるんでしょう?」

 どこに呼びかけるともなく、わたしは呼びかけた。

「どこにいるのか、わかってるの?」

 すぐに声が返ってくる。自分と同い年くらいの、少女の声だった。その声はいくつもの遊具を跳ね返るようにしてわたしのもとにまで響き、まるで頭に直接語りかけてくるみたいに遠近感がつかめなかった。わたしは金網に背をつけ、屋上全体を見回した。

「あなた、何者? わたしの来世?」

 声の主が姿を現す気配はない。どこかに隠れていることは確かだったが、声はわたしの質問には答えなかった。姿を見せるつもりはないらしい。

「セントエルモの火は、もう見たのかな」

 彼女が言った。

「なんの火?」
「セントエルモの火。まあるい光のこと。もう見たんでしょ?」

 先日デパートの中で遭遇した光を、わたしは思い出した。

「うん。見たよ」
「じゃあもう全部わかってるよね、小晴」

 たぶん、隠し事はできないんだろう。ここはわたしの世界であると同時に、わたしたちの世界でもあるらしい。

「自殺する時がきたんでしょ? わたしにも。わたしの前世たちと同じように」
「そう。あなたは、あたしたちは、輪廻転生をどこまでも繰り返す」

 声は、静かに笑っているみたいだった。

「あなた、名前は?」

 声は答えない。

「名前くらい、いいでしょう。別にあなたのことを探りたいわけじゃない。わたしには他にも知りたいことが山ほどあるの。どっちにしろ、ここにいるってことはあなたはわたしの前世か来世だ。どうせつらい運命にある人。そうでしょう? 話したくないっていうんなら、別に今はいい。でも、名前くらいは教えてよ」
「……明日美あすみ

 あすみ。明日が美しいと書く、と彼女は細々と答えた。何とも皮肉な名前だった。

「そう、明日美ね。わたしは小晴」

 名乗らずとも、彼女はさっきわたしの名を呼んでいた。やはりわたしの来世なのだろうか。だが、引っかかる。わたしの知識との矛盾がそこに出てくる。

「ねえ、もし知ってたらこれも教えてくれる? わたしは何回目の転生者なの?」
「あなたは十四番目だよ」

 名前の時とは違い、彼女ははっきりと答えた。

「教えてくれてありがとう。じゃあわたしが初めて出会ったあの前世は、十三番目だったんだね」
「もう全員の前世に会った?」
「ううん。数人だけ、ね。だからわたしが何番目なのか気になってた。全員に会わなきゃ自分が何番目かなんてわからないでしょう。十三番目の彼が、いちばん近い前世だなっていうのは、不思議と一目でわかったんだけど」
「その直感は正しいよ。その十三番目の人の名前、教えてくれる?」
「……知らないの? それとも、確かめたいだけ?」

 明日美は答えなかった。姿を現さず、都合の悪い質問にはだんまりを決め込む。少なくともわたしにとって好意的ではないと、そう思った。
 慎重に言葉を選ぶ必要がある。きっと、彼女からすべてを聞き出すためには。少し考えてから、わたしは告げた。

「わたしの前世の名前は、アマミヤくん」



 わたしが自分の運命を知り、前世を知り、繰り返される自殺の宿命を思い知ったのは、十七歳になってすぐのことだった。
 わたしは登校のために家を飛び出すと、駅には向かわずに地元で一番大きなデパートへと向かう。小学校だけはまともに六年間通ったけれど、中学校も、高校も、まだ数えるほどしか行ったことがない。それを気にする人間は学校にも家族にもいない。
 無関心とされ、存在しないものとして扱われることは、わたしにとっては孤独ではなかった。孤独よりも自由を強く感じた。これまでの十七年間をつらいと感じたことはなかった。当然自殺の気配なんて、わたしには無縁だったのだ。
 その日もわたしは制服を着ようともせず、いつものデパートへ向かった。
 一日中、下手すればそれこそ閉店時間まで、わたしはここに留まる。平日も休日もわたしには関係ない。ここには本屋もあるし、立ち読みで様々な知識を得られるし、CDショップもあるし、好きな音楽に出会えるし、少々みっともないけれど小腹が空けば地下一階の試食コーナーもある。もっともわたしが空腹を感じることはほとんどなかった。それ以外のもので常にわたしの体は満たされていたからだ。
 〝エスカレーターガール〟。
 あえて名付けるとしたら、わたしは自分をそう呼ぶ。
 地下一階から八階まで続くエスカレーターで、わたしは一日中昇り降りを繰り返す。
 左側の手すりに身を寄せて、すれ違う様々な人の心模様を感じ取る。
 わたしは、エスカレーターガール。学校の勉強よりも生きるために必要なことをここで学ぶ。
 生きていくためにわたしはデパートへと通っている。死にたくて、絶望なんかを引っさげて、ただぼんやりと学校をさぼっているわけじゃない。
 違和感は、ふいに訪れた。いつもと同じように地下一階からエスカレーターを昇り始めると、なんだかどんどん暗くなっていく。店内の照明が落ちているわけではない。照明は輝いたままなのに、世界全体にフィルターがかけられたみたいに灰色に染まっていく。感じたことのない不思議な暗闇だった。灰色のフィルターは少しずつこの世界から音も奪っていき、人の声や、商品がレジを通る電子音、エスカレーターの機械音も次第に聞こえなくなった。
 四階まで到達した時、エスカレーターを登った先にわたしは光を見た。
 既にデパートからは音だけでなく光も消え、すべてが燃え尽きたみたいに灰色に褪せていたのでその光はとてもまぶしく感じられた。遠くに見る夜空の金星のような、まあるくて白い輝き。本当に星のように距離感がつかめなかった。浮いているのか、そこにはりついているのか。百均ショップの商品を照らし出して、五階でわたしを待ち受けているのか逃げ出そうとしているのか。
 珍しくわたしはエスカレーターを駆け上がり、光を追いかけた。光はわたしが五階に着く前に動き出し、残像を残しながら一気に六階へのエスカレーターを上昇していった。
 追い続けようとエスカレーターに片足をかけたわたしは、一瞬両足を乗せるのをためらった。光が残した残像の先、六階のフロアに、その光を片手でキャッチした人影がわたしを待ち受けるようにして立っていた。

「君は?」

 光とは違い、わたしが六階まで上がってくる間人影は逃げようとしなかった。わたしたちは、同時にお互いのことを尋ねていた。

「わたしは小晴」
「僕はアマミヤ」

 アマミヤと名乗った彼は、空色のパジャマを着た同い年くらいの男の子だった。
 ずいぶん大きなサイズのパジャマを着ているなと思ったが、よく見ると彼が痩せ細っているだけで、袖からは四本の指先しか見えない。謎の光に照らされていることとは無関係に頬は青白く、落ちくぼみ、枯れ木のような印象の男の子だった。

「君……だいじょうぶ?」

 だから、思わず訊いてしまった。不健康そうとか、病弱そうとか、そういった負のイメージを遥かに凌駕する退廃的なものを彼に感じた。
 彼はしばらくまばたきせずにわたしを見つめ、やがて言った。

「僕は君の前世で、君は僕の来世になる」

 困ったことに、なにを言ってるのかちっともわからなかった。近づくと案外光はまぶしくなかったので、わたしはまじまじと彼を見つめた。

「君は……病院から、抜け出してきた人?」
「違うよ。君だってほんとはもうわかってるんじゃないかな。ここはもう、そういう世界じゃない」

 彼は右手に持った光を頭上に掲げ、灰色の世界を照らした。展示されたソファーや机が、生気なく白く輝いた。

「その光、なに?」
「さあ。生きてる時、僕はこの光になにか名前をつけていた気がする。でも死んでしまった今となっては僕には無意味だから僕の記憶には残ってない。ただ、これは、そうだな、死を知らせる光」
「ああ、そうか。君、幽霊とか、そういうの?」

 長年デパートのエスカレーターガールを努めていると、生きているとも死んでいるとも言い難い、不可解な存在と隣り合うことがある。わたしにとっては今更それほど不思議がることではなかった。

「幽霊か。まあ、似たようなものかな」
「どうして死んじゃったの? まだ、若いよね。わたしと同じくらいじゃないかな」
「そうだね。君と同じ十七歳だ。死因は自殺。……小晴さん、君の死因も、自殺なんだ」

 彼はポケットに光をしまいながら、次のエスカレーターへと足をかけた。わたしもそれに続いた。彼は右側に立ち、わたしは左側に立った。
 二人並んだまま、アマミヤくんはわたしに輪廻転生の話をした。
 自分は十七歳で自殺したこと、自分の前にもきっとたくさんの人が同じ年齢で自殺を繰り返していること、自殺の運命に足を踏み入れた時に必ず白い光が現れ、自殺者にすべてを思い出させていく、ということ。つまり前世が少しずつ現れていく、ということ。
 わたしに言わせれば……これは「思い出す」という感覚じゃない。一目彼を見た時から、なんだか妙な納得があったのだ。それはこれまで続いてきたという輪廻転生を一気に思い出すというものではなく、自殺の運命を思い知るというものでもなく、「ああそうなんだ」と彼の言葉や表情からするりと納得してしまう感覚。
 とはいえ、科学や常識では説明できない不可思議な現象がいま目の前で起こっていることには変わりない。頭をフル回転させながら、わたしは質問を繰り返した。

「どうしてこの世界は自殺を絶対に認めないの?」
「わからない。でも、たぶんそれが、この世界の知られざるルールなんだってことだと思う」
「アマミヤくんは確かにわたしの過去で、前世だけど、話を聞く限りではわたしとは時間軸的には一緒の時代を生きてる。それって、SF小説とかでよくあるパラレルワールドってやつだよね?」
「そういう……ことになるのかな」
「人が一人自殺する度、世界はその死をなかったことにして別の人間に転生させるってことは、ここじゃないどこかに自殺っていう概念が存在しない世界があるってことじゃない? その世界こそ、この星が認める正しい世界なんじゃないのかな」
「……わからない。たぶん生前、僕はそこまで深く考えることができなかった」
「でも、そういうことなら、わたしたちは世界を裏切り続けてることになる。一体どこからどこにどういう力が働いているのか知らないけど、自殺した人間に自殺する運命のある転生者を用意するなんて、おかしいよね?」
「そう、おかしいんだ。自殺を繰り返す輪廻転生なんて」
「どうしてこんなことが続いてるの?」
「わからない」
「どうして自殺なの?」
「わからない」
「自殺なんて回避しようと思えば回避できることじゃない。こうやって事前に運命を知ることができるんなら、なおさらじゃない。どうしてそれでもわたしの前世たちは自殺を選んできたの?」
「わからない」

 わたしの質問のほとんどに彼は「わからない」と答えた。
 それでも、わたしは理解を深めていった。理解というよりは、全身がこの世界に馴染んで深まっていった。
 この世界はいわばわたしの記憶の世界で、他の前世たちも、このデパートのどこかでわたしを待ち受けている。彼はそう説明した。

「わからない……けど、自殺っていうのは、きっとそういうものなんだよ」

 生前の苦しみを思い出すように、彼は苦悶の表情を浮かべた。

「運命を知ったからって努力とか気力とかで回避できるものじゃない。だから、運命とかいう嫌なヤツは、余裕綽々にわざわざ僕たちに自殺を教えるんだよ。僕ももう、それに従って自殺するしかなかった」
「アマミヤくんはどうして自殺したの?」

 わたしは遠慮をしなかった。追憶に気遣いなんて、無意味だ。

「不治の病でね……。病気を悲観しての、自殺だよ。それだけは覚えてる」
「それ以外は? 君の前世や、それからもっと前の前世のことは? みんなどんな理由で自殺してきたの」
「ごめん、覚えてない。自分が何番目の生まれ変わりかすらも僕には定かじゃない。もう何度、こんなことを繰り返してきたかわからない……。強烈な死の記憶だけ、僕はこういう形で君の世界に残されてるんだ」

 だから自分以外の前世の人生なんて露程も知らないし、自分の人生すらおぼろげなんだと彼は言った。彼の格好や容姿は、きっと死んだ時のままなのだ。死しか記憶にないということをその姿は物語っている。

「自殺者はみんな、その光を見るんだね」

 光がつまった彼のポケットを顎でしゃくった。彼は「そうだね」と頷いた。

「どういう意味があるのかな」
「さあ。きっと意味なんてないよ。木があるとか、空気があるとか、水は流れるとか、そういうのと同じで最初からこの世に存在してるものなんだよ」
「その光を見るだけでみんな自殺の運命を知るの? それは、直感みたいなもの?」
「いや、光と一緒に必ず……あれ? 君はもしかしてまだ、出会ってないの?」

 アマミヤくんは怪訝そうにわたしを見つめた。

「この光は、最初に出会った時来世の姿をしてるんだよ。それを見て、そうだね、酸素を取り込むみたいに自然に運命を理解する。ああ、自殺しても、次の人生があるんだ、許されるんだって、自殺の輪廻を繰り返さないふつうの人は安堵するんじゃないかな。ふつうは次も自殺の運命なんてことはないだろうからね。僕らは、たぶん光に出くわす度に絶望してるんだよ」
「じゃあ君も、死ぬ前にわたしと会ってるんだ」
「だろうけどね、いまここにいる僕はそれを記憶した存在じゃない。でも、そうか、道理で君はただの前世でしかない僕に質問攻めするわけだ。まだ来世に会っていないんじゃ仕方ない。でも、どういうことだろうな」
「簡単なことだよ。わたしはまだ、死なないってこと」

 言い切ると、なぜか彼は同情するような目でわたしを一瞥した。

「でも君にはこの光が見えてる……。それに、丁度十七歳なんでしょ? 今までの運命と全く同じなんだ。残念だけど、君の自殺は、もう……」
「決まってないよ。わたしは自殺しない。するわけないもの。自殺の運命に片足を突っ込んだって? 悪いけど、全然そんなつもりないよ。確かに十七年間色々あったけど、いまわたしはちっともつらくないもの。わたしは死なない。わたしでこの輪廻転生は終わりだよ。来世が現れないってことは、そういうことなんじゃないの?」

 強がりではない。確かに自分の置かれている環境は他の子と比べたら少々特殊かもしれないが、決して現実から逃避したくて毎日デパートに来ているわけじゃない。まだまだ生きていたいから、ここに来ているんだ。
 アマミヤくんの言葉に嘘はないのはわかってるし、確かにこれまでは彼の言う通り運命に翻弄されて自殺を繰り返してきたのかもしれないが、それに必ずしもわたしが当てはまるとは限らない。
 わたしは例外なんだ。その気持ちが強かった。

「今日は、平日かい?」

 彼はわたしの主張に対しては明言を避け、話題を変えた。エスカレーターはとっくに最上階の八階に到達し、折り返してわたしたちは四階まで下ってきたところだった。

「あっちの世界では、ちょうど登校くらいの時間だったよね。学校に行かなくていいのかい?」
「ここがわたしの学校だもの」

 並んだまま、わたしたちは同じ速度でエスカレーターを降り続ける。

「……そうか、このデパートが小晴さんの世界の象徴なんだね」
「アマミヤくんは違ったの?」
「僕は海だった。覚えてないけど、ずっと病院にいたみたいだから海の雄大さに憧れてたのかな。きっと、みんなそれぞれ見る世界が違うんだろうね」

 彼は遠い目をした。その彼のうつろな表情に見入りすぎて、わたしはエスカレーターの終点で躓いてしまった。「だいじょうぶ?」と彼が手を差し伸べる。わたしよりも細い手首に、寒気とも悪寒ともつかないゾワゾワしたものが背中を巡り、わたしは「ありがとう」と言って自力で立ち上がった。彼はなにも言わずに手を引っ込めた。

「このデパートは君にとってなにか特別なの?」
「特別というよりも、ここがわたしにとって一番ふつうなの。小学生の時にね、両親につれられてここにくるのが楽しみだった。なにか買ってもらえるから、とかじゃない。単純に人がいっぱいいるところが好きだった。なんだかワクワクした。わたし以外にもこんなにたくさんの人がいて、たくさんのそれぞれがある。無限だなぁって、幼いながらに思った。覚えたての、無限って言葉が、大好きだった」

 人がむげんにいるね、と言う度に両親は可笑しそうに笑うのだった。このくらいが無限に感じる小さな我が子が、いとおしくてたまらなかったのだろう。それを敏感に感じていた当時のわたしは、両親にもっと愛されたくて小さなものをむげんだむげんだと指差した。
 けれど、一番大切なものほどむげんからは程遠かった。

「六年生の時に両親が事故で死んで、それ以来里親に引き取られて高校まで進学した。新しい両親は、そんなに悪い人じゃないよ。たぶんいい人なんじゃないかな。わたしは好きじゃないけど」
「……そうなんだ」
「言っとくけど、同情の余地とかないよ。わたしちっとも不幸じゃないから。里親に引き取られてから今日までずっと、わたしにはこのデパートがある。無限の人々と触れ合うことができたから」

 わたしは親指を立て、心臓にその指を突き立てた。

「わたしは、エスカレーターガール」
「エスカレーターガール?」

 彼は想像通りに顔をしかめた。エスカレーターは一階を過ぎ、食料品売り場の地下へと向かう。

「今みたいに、一日中こうしてずっとエスカレーターの左側に居続けるの。するとね、色んな人が隣をすれ違う。早足に去っていく人もいれば、わたしの隣に留まる人もいる。今のアマミヤくんみたいに」
「僕みたいに? それは、その人は、君と話をしたがってるの?」
「さあ。わからない。色んな人がいるから。でも、たぶんみんな、誰でもいいから自分の話を聞いてもらいたくてたまらないんだよ。どこにも居場所がない人ばかり。そういう人には、きっとわたしのことが見えるんだね。エスカレーターをただ利用する他の客とは違って、聞き手としてエスカレーターを往復してるわたしが、さ」
「それが、エスカレーターガール?」
「そう」

 地下一階から、わたしたちは再び最上階を目指して昇りのエスカレーターに乗る。こうしてこの世界を上下することで、きっとわたしは色んな前世を思い出していくのだろう。

「君はどうして、エスカレーターガールになろうと?」
「さっき言ったとおりだよ。わたしがいる世界は、偽者の両親や関わりのない学校がある世界なんかじゃない。わたしの世界は、ここ、無限の人がうじゃうじゃいる世界。無現の人とわたしは交わりたいの。ここじゃなきゃわたしは生きていけない。生きていく意味がない。だから、わたしに自殺の気配なんてこれっぽっちもないって、言ったでしょう。生きるためにここに来てるんだから」

 自信満々に言い切ると、さすがの前世も確信をたじろがせる気配を見せた。アマミヤくんは「ううん」と唸り、エスカレーターのベルトを人差し指でとんとんと叩く。

「それは、僕だって君に死んでほしいとか思ってるわけじゃない。僕は君なんだから、むしろ生きてほしいと願ってる。でも、こうして前世である僕と話ができている以上、君はもう長くないはずなんだ……。けれど、君の言うとおり確かに君に死の気配はない。どういうことだか僕にもまったくわからない」
「そんな深刻に考えなくていい。わたしは死なない。ただの、それだけだよ」

 前世とか来世とか輪廻転生とか、わたしには実際それほど深刻なことだとは思えなかった。
 この灰色の世界は実質的にいつものエスカレーターと大差ないし、大差なくわたしはエスカレーターに乗り、大差なく会話を交わしている。わたしにとってはそれほど逸脱した状況ではない。自殺なんて、するはずなかった。

「君は強いね」

 深いため息とともに彼は言った。

「エスカレーターガールか。確かに、無限の人たちと触れ合えばそれだけ君は強くなっていくのかもしれない。今までにどんな人が君に話しかけてきたんだい?」

 今度は躓かないように、注意してわたしはエスカレーターを乗り換える。

「たとえば、サツマイモだけを両手の買い物袋いっぱいに詰め込んだおばさん。食物繊維は私を見捨てないのよって、そんなことを言いながらいきなりわたしの隣に立つ。豚みたいな夫と雌豚みたいな姑に吐き気がして、いつも衝動的にサツマイモを大量に買い占めちゃうんだって。あいつらを繊維みたいに細切れにできたらいいのにって、そんなこと言いながらまた去っていく」

 次のエスカレーターに乗る。わたしはまた、過去の出会いを思い出す。

「たとえば、迷子の女の子。びいびい泣き叫んでいたのにわたしの隣にくるとピタリと泣き止んで、まっすぐな瞳でわたしを見つめる。わたしが言葉を発するまで見つめ続けるの。家に帰ったら? ってわたしは言うの。だって親とはぐれてても家に帰ればもう迷子じゃないでしょ。言うとね、まるでその答えを待ってたみたいに、まんまるい笑顔を作ってエスカレーターを逆走していくの」
「その子は、どういう心境だったんだろう」
「たぶん、あんまり親に愛されてない子。どこか別の家に帰っていったのかもね。わたしだってほんとに帰りたい家は違うからわかる」

 休日のデパートでよく見る、しあわせそうな家族連れの姿がふと目に浮かぶ。わたしは別段不幸ではないが、きっとしあわせと名のつく人生ではない。それを見る度わたしは思い知らされた。
 しばらくの間アマミヤくんは黙っていた。わたしたちはずっと同じ速度で下降と上昇を繰り返し、また最上階へとやってきた。彼が口を開いたのは、エスカレーターが下りへと折り返した時だった。

「すごく残念なことだけど、やっぱり君は近いうち自殺しちゃうよ」

 わたしはムッとなって彼を睨んだ。

「何度言えばわかるの。わたしは自殺しない」
「だって君はしあわせじゃない人の気持ちがわかってる。逆にどういうことがしあわせなのかよくわかってる。だから君のまわりには人が集まるんだよ」

 今度はカッとなって思わず手が上がりかける。が、視界の隅になにか人影のようなものが映り込み、わたしは固まった。

「あれは――」
「しあわせという言葉を聞いて、君が連想したものだよ」

 エスカレーターの階下に、ふたりの若い男女の姿があった。
 二人とも灰をかぶったようにこのグレーの世界に同化している。実体とも、影ともつかない存在感。どうやらわたしの記憶に映っているものらしい。二人は笑顔で手を振りながら別れ、男は下りのエスカレーターに乗り、女は上りのエスカレーターに乗った。お互いが見えなくなった途端に二人とも笑顔をやめた。けれど、すうっと隣をすれ違っていく彼女は、確実に灰色以外の色をまとっていた。

「ばいばいしても、二人は二人のことを考えている。考えているというよりは、頭の中に残ってるって感じなのかな。あの仕草は二人でいたからこそ生まれるものだ。君は、僕に言われなくてもそれをわかってる。別れても、独りじゃない。そういう人たちがこの世にはいるんだって。それがしあわせなんだって」

 振り返ると、まだ彼女の背中は淡くそこにあった。あってほしいとわたしが願ったからだ。彼女はシャネルのバッグを丁寧に肩に持ち上げて、余韻を味わうようにエスカレーターの流れに身をまかせている。

「別れても、独りじゃない」

 わたしはぽつりと言った。

「君は別れっぱなしで、独りだ。そうでしょ?」
「わかってる、そんなの。今更過ぎて自殺の理由なんかにはならない」
「でも君はあの男女に憧れてるんだ。ああやって、しあわせな別れをしたいって願ってる。ねえ小晴さん、君の話を聞いて僕はこう思ったよ。エスカレーターガールを誰よりも探し求めていたのは、君なんじゃない?」

 違う。
 憧れてなんかいない。
 誰も探し求めてなんかいない。
 わたしは、わたしのためにエスカレーターを歩いているんだ。
 諭すような彼の空気から抜け出したくて、わたしは一気にエスカレーターを駆け下りた。二段飛ばしで階下に着地して、振り返った。アマミヤくんは微動だにせず、なにも変わることなく、エスカレーターのゆるやかな波に乗っかったままだった。

「あ……」

 波に流されていくアマミヤくんを見ていたら、気づいた。
 今日、わたしはエスカレーターガールではなかったっていうことに。
 はじめてだった。今までのわたしはエスカレーターに佇み、わたしの存在に気付いた人たちの話を聞くためだけに存在していた。けれど今日のわたしは、まだ誰の話も聞いていない。アマミヤくんはなにも覚えていないからわたしに語る悩みや苦痛などはない。
 語っていたのは、わたしのほうだ。

「今日は僕がエスカレーターガール――じゃなくて、エスカレーターボーイ、だったね」

 微笑みながら降りてくる彼の言葉通りだった。
今日、わたしは生まれてはじめて、わたしのことを他人に話した。
 今まで色んな人たちがわたしにしてきたように、誰にも話したことがない自分の赤裸々な秘め事を、わたしははじめて吐き出したんだ。
 誰かに話したくて仕方なかった? わたしの人生を?
 ふしあわせなんかじゃない、ここがわたしのすべてなんだとカッコつけてみたって、誰にも話せなかったということは結局わたしはどこかでなにか後ろ暗いものを感じていたのか。そういう意識は、なかったはずだった。
 でも――どうして彼なのだろう。
 わたしの前世だからとか、そんなことは関係ないように思う。どうしてだかエスカレーターの主はわたしよりも彼のがふさわしい。まさにむげんのエスカレーターを、彼なら繰り返し繰り返し行き来できるような気がした。
 そういう人にわたしは出会ってしまったらしい。あの光がきらっとひかって、それを追いかけた先で。

「ここは五階か。本屋さんがあるね」

 そう言うと、ここにきて彼ははじめてエスカレーターを抜けてそこのフロアを歩き出した。わたしは慌てて彼の背中を追った。

「どこにいくの?」
「いや、死の記憶ばかり僕には残ってるって言ったでしょ? どうも……引っかかってる本が一冊あるんだ。ただの追憶の対象でしかない今の僕の中にも残るほど、僕と関わりが深い本。僕の死と関係があるのかもしれない。ごめんね、君は興味ないと思うけど」

 書店は、このフロアの大部分を占めるメインブースだった。アマミヤくんはすぐに書店を見つけ、文庫本のコーナーに入っていった。

「これだ」

 しばらく記憶と戦いながら悩んでいたが、やがて彼は一冊の小説を手にとった。わたしは彼にずっとくっついて黙ってその様子をうかがっていた。

「星新一著『午後の恐竜』」

 読書量は少なくない自信はあったが、はじめて目にする本だった。

「どういう話なの?」
「短編集でね。タイトルにもなってる午後の恐竜っていう短編が、すごく印象的だったんだ」

 思い出をめくるように、彼はページをめくる。

「街に、突然恐竜が現れる。世界中の人がパニックになる。しかもその恐竜たちがどんどん進化していく。やがて、人々は気づく。歴史が創生のころから繰り返されてるって。それが目の前で起こってるって。地球が歴史を思い返しているって。地球がね、走馬灯を見てたっていう結末。滅びる前に地球は歴史のすべてを思い出として地球上に上映してたんだ」

 彼は本を閉じ、なにもない天井を見上げた。思わず目を背けたくなるほどの、悲痛な表情だった。

「こんな本を僕は死の直前に思い出してたのかな」
「アマミヤくん」
「きっと走馬灯なんか僕には見れなかったんだろう。一体自分が何番目なのかも知らないけど、どうせ死ぬ時には自分の人生しか頭にないんだ。思い出が頭をよぎることなんかない。僕は独りだ。僕こそ、独りだ」
「アマミヤくん!」

 そんな本なんかどうでもいい。今は――ここに生きているわたしが独りなんだよ。心で叫びながら、わたしはアマミヤくんの肩を激しく揺さぶった。
 そしてどうやら時間切れのようだった。すべて灰色だった本たちにぼんやりと色が戻りはじめている。本だけではない、本棚も、床も天井も、アマミヤくんのパジャマをつかむわたしの指先にも、本来の色がにじみ出ようとしていた。

「また会えるよね?」

 話し声が聞こえる。がやがやとざわめく人々の気配も、そこかしこに戻ろうとしている。

「会えるよ。君が生きてて、僕が君の中で死んでいる限り」

 老木のようにげっそりとこけた頬の中で、彼はきっと精一杯ほほえんだ。
 彼以外のすべてのものにカラフルな色が戻っていく中、彼だけが灰色に煤けたまま空気中に溶けていく。その感触がなくなるまでわたしは彼の痩せこけた肩から手を離そうとはしなかった。
 ――別れたら、また独り?
 独りなんかじゃないと、独りなんかにはさせたくないと、そう思った。



「はじめて自分自身のことを打ち明けられた相手が、もうこの世にいない人――しかも自分の前世だったんだね?」

 まだ話は途中だというのにも関わらず、明日美はどこか我慢できなさそうに口を挟んできた。

「どうして彼には話すことができたの?」
「さあ。やっぱり、わたしの前世だからだったんじゃない? すくなくともわたしにとってはとても特別な存在だった」
「違うでしょ。思い出話の中で、あなた自身が否定してる。前世とか関係ないって。別に誰でも良かったんでしょ? あなたに興味を抱いてくれる誰かさんなら」
「だとしても、わたしの死期が近づいて、セントエルモの火が現れて、アマミヤくんと出会ったことに、意味がある。彼と出会えたのは、彼がわたしの前世だから。そうなんでしょう?」
「それはそうだよ」

 会話を重ねれば重ねるほど、彼女の正体がわからなくなっていく。彼女がこのタイミングでわたしの前に姿を――いや声を現した意味とは、なんなのだろう。

「ねえ、あなたは一体何者なの?」

 わたしは疑問をそのまま空中に放り投げた。

「あなたは何番目の生まれ変わりなの?」

 明日美は答えない。風にすらならない、なまぬるい空気の流れが、沈黙の遊具たちにぼたぼたと落ちていく。

「ねえ明日美。わたしは今日、ひとつの答えを持ってこの屋上まで昇ってきたの。いつもならここに出ることはない。今まで通りエスカレーターで昇り降りを繰り返すだけ。今日は、特別な日なの」
「とうとうあなたが、この屋上から飛び降りる日かな?」

 クスクスと、多分おかしそうに、明日美は笑った。

「……もしそうだとしたら、わたしにはまだ自分の自殺の理由がわからない」

 あの時はアマミヤくんの言葉を否定したが、確かにわたしは死のうとしているんだと思う。けれど今のわたしにとって、死とは、絶対的な別れだ。わたしと彼を絶対的な独りに至らしめるものだ。
 なにがなんでも死んでなるものか。
 強く、そう思う。
 けれど、確かに死の気配はわたしの耳たぶあたりで常にさざめきあっている。
 絶対に死んではならない。その決意が強くなればなるほど死しか道が残されていない残像が漂い、わたしは死への十三階段を、エスカレーターに乗って自動的に昇っていくのだ。

「いけないんだ、このままじゃ」

 わたしは強く拳を握った。

「流れに乗って自殺しちゃいけない。わたしは、こんなにも生きたい。生きていたい。生きたくて生きたくて、人一倍生きていたくて、それが叶わなくて――人間は自分を殺すんだよ」
「ずいぶんと生きたがるんだね。ただ無気力にエスカレーターを上下してただけだったのに、あなたは、生き甲斐を見つけちゃったのかな?」
「……生き甲斐」
「そう。生き甲斐。どうして? どうして生き甲斐を見つけたのに、今日は屋上にまで来ちゃったの? いつもと同じようにエスカレーターで遊んでればよかったんじゃないの?」
「遊んでなんか――」
「ああ――ごめんね。すこしいじわるだったかな? わかるの。あたしとってもわかるよ? その生き甲斐って、死にたくなるくらい切ないものだもんね。死ぬための生き甲斐を見つけちゃったんだもんね? どうしても叶わない生きる希望だ!」

 明日美は高らかに笑った。大空が笑い転げているかのように、上空の暗雲がうねるほどにその笑い声は世界全体を大きく震わせた。

「あなたになにがわかるの」

 彼女とは反対に、わたしの声は小さくなって震えた。

「わかるよ? とってもよくわかる。どうしても叶わないものがあるって思い知った時、人は死にたくなるんだもの」

 明日美の声は容赦なく空から降り注いだ。

「世界一不幸な恋」

 降り注いだ言葉が、胸を貫通していく。十字架にはりつけられたように、わたしの体は背後の金網に押し付けられた。

「過去の自分に恋するだなんて、不幸な人。でもそういう運命だったんなら仕方ないね。繰り返す自殺の輪廻転生の中で、偶然あなたの死因が悲恋だったっていうだけ。自分は特別だとか変な勘違いはしないようにね。それにあなたの恋なんて、あたしに言わせればそれ自体が勘違い。アマミヤくんはただの前世で、前世だからあなたの気持ちに入り込めただけなの」
「違う」

 金網を握りつぶす手から、血がにじみでてくる。血までもが灰色だった。

「なにも違わなくない。今までのやつらと同じ、今日はあなたが愚かに命を放り投げる日だ」
「違う! 今日は……特別な日なの」

 胸に突き刺さったなにかを引っこ抜いて、わたしは空に向かって叫んだ。

「……明日美、わたしには、まだあなたが何者かわからない。どうしてそんなにわたしを敵視するのかもわからない。でも、知ってるの。わたしのデパートの中に十二番目のわたしが存在しないことも――そして十二番目のわたしの正体も」

 一瞬、野太い暗雲のうねりが止まる。

「十一番目の前世が教えてくれた」
「……乾くんが? でも、たかが前世がなにも覚えてるはずない」
「そう。覚えてなかった。でも彼は、生前とても勘が鋭い人だったの。あとは推測と証拠で――わたしは十二番目の前世に辿り着いた。……だからこそ、ますますあなたのことがわからない」
「十二番目の正体はあたしだって、そう言いたいの?」

 わたしは答えなかった。答える必要なんてなかった。答えなくたって、もう先ほどまでとは状況が一変していることは彼女にとっても明白のはずだった。

「ねえ、明日美」

 わたしはフェンスから背中を剥がした。すると不思議なことに、なんだか急に視界が広がって、灰色の世界が灰色のまま光り出した。
 まるで、この世界全体がセントエルモの火であるかのように。
 光は、古ぼけたスポーツカーの遊具の陰に潜んでいた明日美の姿を、少しずつ少しずつ浮かび上がらせていった。

「わたしがアマミヤくんと再会した時の話を、してあげるね」
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