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ANOTHER DAYS
16 side夏清
しおりを挟む「夏清ちゃんは買わないの?」
樹理ちゃんのお買い物が一段落して、お茶してたら、天音さんがおもむろーに。君香ちゃんは勉強の続きするって、もう家のほうに帰ったからいない。
「え? うん、だってこの間買ったばっかりだもん。そんな買ってたら破産するよー私、スポンサー付いてないから」
樹理ちゃんのカード。それ見た天音さんが金色ーって叫んでたもんなぁ。さすが、伊達に副社長してないよね、氷川さん。
「ブラじゃなくてね、こっち」
って、天音さんが指差したのは、さっき私と君香ちゃんがひっくり返したコーナー……
「そういえば、夏清ちゃんってああいうの全然買わないわよね」
……私が買わなくても、そういうの家に売るほどありますから。ココと同じくらいありますから。
「夏清ちゃんスタイルいいからねーこう言うのとか似合うと思うんだけど」
「いい。いらない。いらないです」
「まぁ。樹理ちゃんには買わせておいて自分は買わないつもりね。夏清ちゃん彼氏いるんでしょ?」
あああああっその人が買ってるからいいんですってば!!
「そうですよね。私ばっかりずるいですよね」
ぎゃあ。樹理ちゃんアナタ、家で見たでしょ。あの変な服の山をっ!! なに天音さんに賛成してるの!?
「ほらほら、遊びに来たとき、こんなの着てお出迎えとか、彼氏よろこぶよー」
いやだ。絶対いやだ。大喜びの顔が脳裏に浮かびまくり。天音さんは私が一人で暮らしてると思ってるから。うん。さすがのキリカも誰にも言ってないの。私が先生と暮らしてること。天音さんにもね。
「ですよねー絶対喜ぶと思うー」
樹理ちゃん! 本気で確信犯でしょう!! 喜ぶに決まってるってば。
「夏清ちゃんならココらへんだよねぇ」
「うんうん」
チョットマテ。二人でナニしてるの。しかも、樹理ちゃんのヤツのときはパステルちっくな甘そうのばっかりだったのに、どうして私のになると原色なの!? 黒とか赤とか紫とかっ!!! ああ。だからと言って、かわいいのだったらいいかって言うと、そうではないんだけどっ。
「夏清ちゃんいつも買ってくれるし、お友達連れてきてくれたし、半値八掛けニ割引しちゃうわよ。どう、コレ」
………だから、樹理ちゃんのはこう、なんて言うの? 南国のリゾートとかだと、服で着れそうなやつだったのに、私のはどう転んでも、どんな清楚な場所でも一発で半径五十メートルくらいをえろくさくできそうなやつのなの?
うう、そんなの安くしないで普通のブラ下さいブラ。
「じゃ、これ着てみて。ほらほら、似合わなかったらやめたらいいんだから。着てみるだけだって」
うぐう。押し付けられちゃったよ。紫のレースの。着ろと? コレを着ろと? いいわよ着てあげるわよ。だいたいねぇこんなオトナっぽいの似合うわけないんだってば。こんな強烈な紫なんて、そうそう似合わないもんよ。
…………やばい。どうしよう。もしかして似合っちゃってる? 鏡の中の私っ!!
「夏清ちゃーん。着たー?」
外から樹理ちゃんが呼んでる。
「え、ちょ……っと待って」
やばい。なんかやばいよ。脱ごう。
「あけるよー」
開けないでーっ!! 天音さん反則。開けるなーっ!!!
いぎゃー!!
「なに勝手に脱ごうとしてるの!! 肩ヒモ直してっ こっち向いて背筋伸ばしてっ 両手下ろしてっ」
天音さんの声ってよく透るのよね。頭は拒否しても体が反応するから怖い。
「ふふふふふふふ」
「あはははは………」
「自分で似合ったとか思ったでしょう」
ば、ばれてる。
「か、買いませんから」
「ええ!? 似合うのに?」
「似合っても!!」
と言うより、似合うからっ!!
「今日はココで買い物するつもりじゃなかったんですからっ!!」
「じゃあ私、自分の買ったついでに夏清ちゃんにそれ買ってプレゼントしちゃおうか?」
「いいからっ!! もらうくらいなら自分で買う!!」
あ。
「まいどありー」
樹理ちゃんの売り言葉、イキオイでものすごく高値のうちに買っちゃったわ……天音さんが笑いながら去っていく。
ちくしょー。やられたー。
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