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LОVE GAME
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しおりを挟む「……んっや……っはぁ……深ッ……!」
向かい合って座ったままで繋がって。
キスの合間に息をして。
奥まで届いてナカから押し上げられる。
「……ふぅんっ……っんぁ……」
この体勢、わりと好きかも。私が寝てると、覆いかぶさってる先生は体勢維持するのに、片手は絶対ふさがっちゃうでしょ。私が上になっちゃうと、くっつきたいけど重いかなって遠慮しちゃうんだもん。なんていうか、コレが一番くっついてる感じがして好き。
先生の首に回した手を、肩に肘をつくみたいにして戻して、先生の顔にかかってる髪をかき上げる。頬に触って顔をあわせる。微妙に足で支えながら、あんまり奥まで来ないようにして、でも挿れたままで動きを止める。
視線がちょうど。同じ高さ。
見下ろされるわけでもなくて、見上げるわけでもない。自然に揃う、視線。
せんせー………じゃなくて。
「……礼良」
でもねぇなんか、名前で呼ぶのは……照れくさいって言より、いいのかなって思っちゃう。先生と私は歳もすごく離れてて、ほんの三週間くらい、その差は縮まるんだけど、その間だって十歳違うんだよ? こうやってるとき『先生』って呼ぶと意地悪されるんだよねぇ。だからって今更、さん付けなんて余計照れくさくてヤダ。
普通にしてるときは『先生』って呼ぶのが一番ラク。でも、大事なときに名前で呼んでもらうのは好きだから、私も呼ぶの。どきどきしながら。
「……大好き」
えへ。
見詰め合ってコンマ五秒。そんなことを考えてから。
笑ってからおでこくっつけるの。そのまま唇を求め合うようにもっと近づいて角度を変えながら何度もキスを繰り返す。キスの速度が速くなっていくに連れて、腰から下も動き出す。ゆっくり混ぜるような動きから、徐々にスピードを増して、小刻みに上下に揺れていく。
「んは……ん……んんっ!」
大きな右手が肩甲骨を添ってするすると背中を動きまわったあと、わきを通って前の、お互いの体の隙間に入っていくいく。手のひらにおなかを撫でられて、それまで一緒に動いてたのが、私のタイミングが少しずれた。
「……あ……は……ぅん」
予測された刺激と、不意打ちのそれは、同じ動きなのに全然違う。反応して体が跳ねて、予想外の振動がさらに重なる。
先生の両手が胸を覆う。逃げるわけじゃないけど、ほんの少し自分の背中が丸くなって、先生の肩に顔が沈む。
耳に熱い吐息。薄い唇の感触。柔らかい舌。
下から押し上げるようにしながら胸の上で動く手が一つ離れて、私の膝のうらを通って腰の下、最後の背骨の辺りを撫でる。
「はッ!! あぁんっ」
撫でるのと同時に先生が腕を上げた。そうすれば浮きかけた私の足も引き上げられて、バランスが取れなくなったところで追い討ちに大きな手が腰を掴んで引き戻す。
悲鳴と水音が一緒に響く。丸くなった背中が、一瞬で反り返って、ナカが勝手に動いてるのが分かる。こういうときちょっと止まっててくれたらいいのに、先生は構わずに何度も下から突き上げてくる。息と悲鳴が一緒になって、吸う時にさえ音が付く。
「ふっ! ひゃ……っっく! あ、や……もっ……」
反っていく体をつなぎ止めたくて、必死でしがみつく。揺さぶられながら。
「俺も」
うしろに落っこちそうな頭が、ぐいっと引き戻される。
唇と頬を掠めた唇が、耳元で動く。
「好きだよ。その気持ちよさそうな顔とか、特に」
仕方ないでしょう。気持ちいいもん。
「してるとき、ほんとに幸せそうなところとか」
「やっ……ほかっ……の、とき……もっ」
幸せだもん。このときだけじゃないもん。
見えないけど、耳の横で先生が笑ったのが分かった。
「もう、イキそう?」
聞かれて、頷く。イキそう、って言うより、ほとんどさっきからギリギリその境界線だから、イキ続けてるみたい。早くラクになりたいような、このままずっといたいような。
「やっ」
唐突に、先生が止まる。揺すられてたと思ってたのにいつの間にか私も動いてて、動き続けてるとなんだかすごくいやらしいみたいだから慌てて、でも少し遅れて、止まる。やだって言いかけちゃったよ。呼吸はしていてもすごく浅くて、やっとの思いで深呼吸みたいに息を繰り返す。
「あんっ」
胸の先端をいじる手に力が加わる。ひとさし指と中指の間で挟んだり、つまんだり、周りをなぞったり。耳を攻めていた唇がうなじに吸い付いた。ぞくぞくした快感が、体全体駆け巡る。
頭を支えてた手が離れて、長い腕が腰に絡まった。
「っひゃっ!! やめっ」
腰を回った手が、するりと前に侵入して、いつもみたいに、私の一番敏感な部分をあっさり探し当てて、押しつぶす。
同時に逃げて浮いた腰が追いかけられて、胸をいじってた手が私の肩をつかんで押し下げる。さっきよりもっともっと、ものすごく速くて激しくて深くて全部かき回されてるみたい。
がくがくする。くらくらする。やーんもう、じゅぐじゅぐ言ってるよう。そこ触られてスイッチが入ったみたいに自分自身からどんどん溢れていく。先生が出入りするたびに空気が混ざって、ヤバいくらい濁音が漏れてくる。
「いっ!! は……っく……!! も。だめ。ごめ………イっちゃいそっ!!」
やり過ごそうと思ったら、動いちゃダメって分かってても、止まれない。全力疾走の百メートル、テープの向こうが断崖絶壁だから、ゴール手前で止まれって言われても、そんなの止まれたもんじゃない。加速つけられてる分、もう、全然ダメ。
「あッ!! ぁあっ……イっちゃうっ!! んっ……」
力が抜けそうになった腕が掴まれる。力が抜けてるのは腕だけじゃなくて、もう体全体、べったり。汗をかいた肌と肌が密着して、あったかくて気持ちいい。
はー。
肩に頬のっけて、首筋におでこつけて、目を閉じて。
首の動脈から聞こえる先生の鼓動が、心地いい。
んー。
髪を撫でてくれる手が、やさしくてもっとくっつきたくて擦り寄っちゃうのは無意識。
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