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AFTER DAYS 終わらない日常
42c 草野キリカの視点 3
しおりを挟む「じゃ、さくさく行って帰ってこよう」
「うん」
「あ、そうだ草野」
先に靴を履いたカスミと腕組んで部屋を出たとき後ろから呼ばれた。
「ナンですか?」
答えながら振り返ったら、にやりと笑われた。うわ。イヤな予感。
「お前、トモダチや知り合い多いよな? 俺と違って」
うが。最後強調したわね。さっきの失言きこえたの? ごめんなさいね悪かったと思ってるの。これでも悪意はなかったのよ。
「いますよ。そりゃもう大勢」
なんて。思いながら言葉はウラハラっつーか。えっへんってカンジ。
「ソレからお前、ソフトと野球やってたんだよな?」
なんでそれを。あ。カスミか。いいけど別に。
「ソレが、なにか?」
どう繋がるの、トモダチ多いのとソフトや野球が。もしかしてチーム作るとか? あはははは。ないか、そんなこと。
「やってなくてもルールくらいは覚えてるよな?」
「ルール? そりゃあ、普通の女の子よりは詳しいと思うけど」
私後ろ向き、カスミ前向き。右腕同士で腕を絡めて通路を歩いてエレベーターを待つ。
「お前、大学でクラブやサークルに入ってないんだよな?」
「だから、それが、なにか?」
今、物色中なの。明らかにナンパ系なのはノーサンキューだし、ひたすらクラブに明け暮れるってのもどうかなと思うし、いてもいなくてもどうでもいいようなトコに入っても仕方がない。なんて考えてたら、新歓の時期も終わりかけ。カスミは、捕まっては足を止めてたけど、端からそう言うのに入るつもりはなかったみたい。ボランティアサークルとか入るかなと思ってたんだけど。
「ヒマだな?」
決め付けるなー!!
「だからっなんなの!? 言っとくけど私、できないからね。すごく長い間投げてないから。ルールだって細かいところ変わってるはずだもの」
左手では。
お箸も鉛筆もハサミも全部右手だけど、投げるのと打つのだけは左。踏み切りの足も左。高飛びは人と逆から。高校一年のときは体育をするのもイヤだったから体調不良ってことで授業はほとんどサボってたけど、二年からはやってたよ。右手で。確かに利きは左だったけど、普段使ってるのは右手だから、人並みくらいのことは右手でもできちゃうの。右のバッターサークルに入ってグリップは左の握り方だったりなんてこともヘイキでやってたけどさ。
「別にお前に試合に出ろとかいわねーよ」
「じゃあなんなのよー」
やってきたエレベーターに三人で乗り込む。エレベーターの中で向かい合った時、カスミが笑い出す。
「先生ね、野球部の顧問するんだって」
は?
えーっと。
ハイ?
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