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AFTER DAYS 終わらない日常
14 真宮真吾の視点 4
しおりを挟む「礼良。お前のとこの、やっぱりお前と一緒にいるくらいだよな」
「なんだそれは」
だってもう、やることも笑い方も、よく似てるし。
「いやー!! かーわーいーいっ!!!」
うわぁ
いつ来たんだ? 今だよな。一ノ瀬みたいにやかましいの、来たらすぐ分る。ずっと少女二人に気を取られていたのでいつ入ってきたのかは分らなかったけど。
そうそう、浮沈み組みの除くべき一人はもちろん一ノ瀬。中学一年生から高校二年生までずっと最下クラスだったのに、高校三年生のとき突然一組に上がってきた。
実はヘラヘラ遊んでただけで、一ノ瀬はやればできるタイプだと知ったのは卒業するときだったけど、どうしていきなり一組に上がったのか聞いたら『卒業した後は一組が一番面白そうだったから』だそうだ。つまり、ヤツはこういう場で騒ぎを起こすのが大好きなのだ。
樹理ちゃんのほうをがっしりそのままお持ち帰りしそうな勢いで抱きしめて一ノ瀬が嬉しそうに叫んでいる。
「あら、哉ちゃんひっさしぶりー」
すい、と現れた哉に、夏清ちゃんがこちらもすすっと場所を譲る。
めり。
ばり。
擬音が付いたような気がするのは俺だけ? 一ノ瀬の腕をこじ開けて、中にいた樹理ちゃんを哉が奪取。怖いよー……哉。目がマジでしょ。
「え? ごめん、この子、哉ちゃんの?」
一ノ瀬に聞かれて哉が頷く。違うだろ、持ち物じゃないだろお前ら。
「すっごいかわいかったからつい。もうしないから許して?」
表情を変えないまま、哉がもう一度頷く。そんなあっさり許されるなら俺もやったらよかった……
「え? え? え?」
夏清ちゃんのときと一ノ瀬のときの哉の対応の違いに、哉に固定されたままの樹理ちゃんが、頭だけ動かして周りの人物たちの顔を確認している。
確かに。一ノ瀬は知らない人間が見たら完全に女の外見だからな。胸もあるし。
夏清ちゃんも一ノ瀬も楽しそうに笑ってるだけ。パニック寸前の様子で首を回して誰かに答えを求めてる。答えてやれよ。みんな笑ってないで。
「ウチの学校、男子校だよ」
空白。
「………っえええっ!?」
何て言うの。うーん。どこでもいっしょのトロが『ガーン』ってなったとき白目で口が四角くなるでしょ、あんな顔。もしくは同じ状況に置かれたフルバの透?
「でも今は女の人だよ」
「………」
夏清ちゃんがまた余計なことを言うので樹理ちゃんは黙ったままじーっと一ノ瀬を見ている。
「そうそう、今はね。でもだめ? もう触ったらだめ?」
じりと近づこうとする一ノ瀬。樹理ちゃんを閉じ込めたまま引きずってバックする哉。
「うーん。ウチの服着せたいなー今度連れて来て」
応えはNO。
なんでって、やっぱり哉がバックしたから。
「だめか」
ちぇーっと言いながら一ノ瀬がそれ以上近づくのをやめる。それの一拍あと、哉がやっと樹理ちゃんを離す。
「おもしろーい。先生先生っ」
うん確かに………で、なにしてるのキミは。
礼良を呼びながら、夏清ちゃんが一ノ瀬にしがみついている。
「きゃー夏清ちゃんいいにおいー」
二人できゃあきゃあ言いながらくっついて礼良を見る。
「………いい度胸だな、つよ……」
「ぎゃー!! やめろ! 言うなっ!! 離すからっ!!」
面白がっていた一ノ瀬が夏清ちゃんをはがして礼良に返品。一瞬の出来事で対応しきれなかった彼女がまたグーでこめかみをぐりぐりされて悲鳴を上げている。
「ほんと、面白いなぁ来てよかった」
藤司がしみじみと、グラスビール片手にそう言った。
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