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ばれんたいん きす
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しおりを挟むフツーに頭洗って体洗ってお風呂入って、そこまではいいの。完璧。
「だからホントに、椅子より先にベッドだったんだってば。新しくするの」
「いいだろこっちの方がくっつけて」
自分が平均よりでかいってこと認識しての発言ですか? くっつくのは別にいいんだけど。壁と先生の間にいるときの圧迫感、あれなんとかして。
最近本当に使ってないもの。自分のベッド。今年に入って何回だっけ。ほとんどこっち、先生のとこに入り浸り。
頭乾かしてそっちに行ったらそのベッドに腰掛けて手に持ってるのはなんですか。
…そりゃまぁただ『ぐう』って寝るものだとは思ってなかったですけど、何ですかコレ?
「なにってはちみつ」
……………………諦めてなかったんかい。ホントに今日はたたみかけてくるわね。
「逃げるなよ」
「逃げるってば、お風呂入ったのに」
自分の部屋に帰ろうとした私を掴まえて後ろから抱きしめてそのまま自分が下になるみたいにしてベッドに転がる。
「別にお前につけるとか言ってないだろうがよ」
笑いながら体を離す。
「じゃあどう、す……るの……ぎゃーもう先生なにしてるの」
塗ってるの、自分のに塗ってるの、それ舐めろってことですか? ことなのね?
泣きそうになりながら先生の顔見たら、またこれが嬉しそうに笑ってるわけ。
「舐めて」
やだ。
「お前が言ったんだろうが、なんで自分だけって」
それはナースになったとき終わった話題だと思ってました。どうしてそんなどうでもいいことばっかり覚えてるの? 別に舐めたいとか思ってないから、私。
「気持ち悪かったらやめるかもな」
そのセリフも、覚えておいてよちゃんと。
甘かったです。もういろんな意味で。
だって気持ち良くないわけないじゃない絶対。普通にしてても気持ちいいのに。結局知らないうちにこっちも塗られてるし。あーもうべたべた。誰がこのシーツ洗濯すると思ってるんだろう。ちゃんと落ちるか不安だわ。
「や…めっん」
「やめていいのか?」
だから聞く前に動きとめないで。
「ん……や……離して」
無意識で反っちゃった腰の下に片腕入れて動けないようにしないで。なんかも、いつもならぺたってカンジであたる肌と肌が微妙にねとねとしてて変なカンジ。ぬるぬるじゃないの。ねとねと。体温ではちみつの水分って気化するから、異常に粘りが強くなって摩擦係数も上がるって言うかもう私なに考えてんだろう。とにかく動けなくされたら違うこと考えるしかないじゃない。
「ん、ふにゃっ……に……んくっ」
はちみつがべったりついた指が唇をなぞってから口の中に入ってくる。長い指が舌に絡まって、甘いのと指の刺激で唾液が増えるのが自分でもわかるけど、ああもうだめだ。やっぱりダメになっちゃう。絡まる指を追いかけて舐めてると音がたつ。わざと空気が入るように先生が指動かすから、なんか私がやらしく舐めてるみたいに聞こえる。息するので精一杯。飲み込めない液体が唇の端から溢れるの、先生が舐める。
「すっげー甘」
「あっ」
あたりまえでしょう、って言おうと思ったのに。
急に動かないで。思い出したみたいに腰揺らさないで。もうぐらぐらする。アタマに近いところ刺激されてたから。場所は遠くなったのに、やっぱり神経は一直線で。耳にかかる息まで甘い気がするのはどうして?
「あっぃいっんっ! くぅっはんっ!!」
唇から出てくるのは言葉じゃなくて音。ただの声。いろいろ我慢しようとしてるの。これでも。でももう限界。ギリギリ。だからもう降参。これ以上我慢したら壊れちゃうよ。
「いっ! も……だめっ……っく……」
「夏清」
ベッドが軋む。世界が揺れる。きっと今、地震が来ても気付かないよ二人とも。
言葉にするまでの躊躇も戸惑いも恥ずかしさも、口をついて出た瞬間ウソになるくらい叫んじゃうよ。
「礼良ぁんっ! いいっ! よぅっんっ……!! やんっいい」
ああもうきっと。どっかいっちゃう。掴まえてて。どっか行っちゃうなら二人がいい。
「イクっぅんっ!! はぅっ! もうイっちゃう!!」
しがみついて離れないで繋がってて。
ああもう、死ぬほど気持ちいいかも。
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