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ばれんたいん きす
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しおりを挟む「言えよ、ほら」
やさしく胸を触られる。ああなんか、昔の刑事ドラマでさ、吐いたら楽になるぞ、って。無実の罪なのに私がやりました、って言わされる、そんなカンジ。しかも私に無実の罪を着せる人が犯人じゃない。これ言ったらそれもやりたがりそう。我が身のためには黙っとこう。
体近づけて、頬くっつけて。だって顔見て言えません。大きな声でも言いたくないです。そのくらい変なこと言わされるってこと。
「………あきらせんせいの」
ほら、もう名前の方に『先生』つけて呼べってあたりから変態入ってる。
「……………っぅん………」
続けられなくて黙ってたら早く言えって。胸ぐりぐりって。手のひらと指。なんでそんなやらしく動かせるの?
「ふっ……ん………っきい、お、ちゅっ……ゃ……」
もうダメ。
「……してくだ、さい」
もうヤダ。ぐいってカラダ離されちゃう。見ないでよう顔まっか。コレだけ恥ずかしいこと言ったんだから、もうなんにも考えなくていいとこに早く連れてって。
「どこに?」
言わなくても分かってるくせにぃ……あたってるでしょ? 下着ごしに。
「…………っうー……………」
なんでそんな余裕なの? 私なんかもう、先生のがそこにあるってだけでダメなのに。目を閉じて息吸って息吐いて。もう悲鳴。やけくそ。叫んじゃうよ。聞こえるように。なのにー
「アソコじゃわかんないでしょ?」
ウソばっかりウソばっかりうそばっかりぃ!!! わかってるくせにっ!!
「三文字じゃなくて四文字の、教えたでしょずっと前に」
知ってるわよバカ!! いじわるっ!! やっぱり変態さんだよぅ誰かお願い、この人止めて。あ、だめ。止めたらだめ。ココで止まっちゃったら私のほうが変になっちゃう。もう泣きそう。
「夏清のどこにしてほしいの?」
こういうときだけやさしい声。ずるい。絶対ずるい。
「……かすみの……」
ココのこと隠語で言いなさいって、先生が布越しに入口にあたる。ちゃんと言えたらすぐご褒美あげるよって言ってるみたいに。
言わなきゃダメ? って顔で見ても目がダメだよって笑ってる。言っちゃいなさいって。楽になりなさいって。違うもん、私、絶対無実だよ? あとから冤罪だもんって言っていい? 犯人は先生。罪状は、そうだな、誤診? いまお医者さんのつもりみたいだから。
「……………………」
唇が震える。空気が漏れるみたいな音。これ以上できません。もう許して? アタマもカラダももう限界。
「悪かったって、泣くなよ」
だって勝手に出てくるんだもん。意地悪なのにやさしくしないで。やさしくするなら最初からにして。
薄くて柔らかくてやさしい唇が頬に触れる。左右何度も。涙をすくうために。手が下着を横にずらす。べたべたのそこ、確認するみたいに。ああもう、恥ずかしくて死にそう。ヤダヤダって言いながら、ずっと濡れてた。言わされて感じてるって知ってるから、なおさら言えって言うの。そんなのわかってる。でも言葉にすると死ぬほど恥ずかしいの。でも死ぬほど恥ずかしいけどしてほしいの。何回言ってもこの恥ずかしさは抜けなくて、いつもいつも抵抗しちゃう。
「ふぅんっ……いっ……」
薄い膜を通しても、その熱さがカラダ中に伝わるの。やっと気持ちよくて、また涙が出る。ああもう、私、ホントにバカかも。
どんなに激しく動いても、椅子は全然音がしない。だから、耳に届くのは体の中で響いてるのと同じ音。それからお互いの息、うめくような声。私の悲鳴。やらしいとこだけ切り取られたみたいな音の空間。そんなことにもどきどきしてるの。
ホントは先生のことだけ言ってられないかも。
「いっ! あんっいいっダメ。もう、んんっそんなしたら、すぐっ」
突き上げられてかき回されて、カラダ全体しびれてくるの。
「さっき中途半端だったから、いいよ。イっちまえ」
狂ったみたいに腰振ってたら、いきなり前、つぶすみたいに触られた。しながら触られるのにめちゃめちゃ弱いの。それだけでダメになっちゃうから、一人でいっちゃうからあんまりしないでって言ってるのに。
「……ぃんっく!! やぁあぁぁあぁっ!!」
さっき見逃した雷が直撃したみたいな快感。繋がって、刺激されてるのは下の方なのに、頭のてっぺんからびりびり来るの。カラダがくがくして、重力がどっちに制御されてるのかわからなくなって、後ろにふらーってなっちゃうの、先生が慌てて抱きしめて。
「どっち行くんだよお前は」
やさしく抱きしめて髪なでてくれて。息が整うまで。
一緒にいっちゃっても、一人でいっちゃっても、終わったあとはいつもやさしくて。するのも気持ちいいけど、こうしてほしくてやってるかなぁ私。
もうちょっとこうしてようっと。
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