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2 なんとなくもやもやする、のはなぜなのかと。

生ぬるい程度がちょうどいいと思うんですよ。

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 三頭身くらいにデフォルメされた、漫画のキャラクターのフィギュア。

 去年の年末に、ノベライズ版が出てる出版社の本をどれでも買ったら応募券がついていたけど、限定百体とか、半端ない競争率だった為に入手を逃したレア物だ。

 大きな声で呟いたつもりはなかったけど、小畑さんの耳にはしっかり聞こえたらしい。ぐりっと音が聞こえるくらい勢いよく振り向いた。

「まままままっ まち、街宮さんは、刃朔羅知ってるんですか」

「知ってます。原作の漫画、面白いですよね。確か、この春から続きがアニメ化されるんですよね」

「そっ そうなんです。またアニメになるんです。何年か前の実写映画は黒歴史だけど、アニメは声優陣も豪華で、すごく、面白いですっ!」

 そんなに振ったら首がもげるんじゃなかろうかってくらい、小畑さんがガクガク頷く。

 そしてそこから、小畑さんの怒涛の刃朔羅語りが始まった。友枝さんは逃げ出したけど、大峰さんはこの人をここに連れてきてしまった責任でも取るように苦笑を浮かべながら小畑さんを見ている。


「脇の声優陣も勿体ないほどの大御所が揃ってますけど、僕的には、秋桜(コスモス)をやってる、音葉ちゃんが一番キャラクタにしっくり合ってると思うんですよ!! なのにどうして再アニメ化が決まるたびに音葉ちゃんは秋桜を演らないんじゃないかって噂が出るのはなんでだろうと思うんですよ!」


 その声に、最初にあったどもりはない。でも、最後の方に出てきた固有名詞に私の方が咽かけた。その役は、まだ高校生で駆け出しだった姉がはじめて掴んだ準主役級の役で、出世作の一つだ。もちろん今期も秋桜を演るって聞いてるけど、それは言えない。


「あれ? そう言えば音葉ちゃんの名字も街宮だったなぁ」

「えっ あ。そうそう。同じ苗字なんですよ、光栄なことにっ!」


 街宮って苗字は、多くはないけど物凄く珍しい苗字ってわけでもないからか、引きつりそうになりながら相槌を打ったら小畑さんはそれ以上突っ込んでは来なかった。

 そう、私の姉、音葉ちゃんの職業は歌って踊れる声優さんなのだ。そのかわいい外見からは想像もつかないだろうけど、とんでもないオタクでもある。私が二次元に捕らわれたのも、姉の影響が大きい。


 ハマったことに後悔なんてないし、そもそもが引きこもりインナーサークルぐるぐる型思考タイプだから、沼に引きずり込まれたのは本望なので、何の問題もないんだけど。




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