あい らぶ? こめ。

神室さち

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後悔先に立たず

あるじゃん。ひとつあるじゃん。結構でかいのが。

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「着替えたかー? 冷めちまうからとっとと食うぞ」

「わかった、行く」

 ダイニングに行ったら、イイ匂い。

「牛丼!」

 昨日お上品なディナーが並んでたテーブルに、見たことある四角い、牛丼屋のデリバリー容器。

「そろそろ米が恋しいかと思ってな。両方サイズは大盛だけど、ネギ盛とトロ玉どっちいく?」

「どっちも」

「俺に昼を抜けと?」

「半分こしたらいいだろ。そっち半分食べたら俺のと交換っ!」

 ぱこっとふたを開けたら、こっちはネギで緑色。

「いただきまーっす」

「半分こ……ね。天然って怖いね。ナチュラルにそういうことする子なのね、マコは。分かってたけど不意打ちでやられると結構来るから色々辛い」

 ため息半分くらいの息を吐きながら、俺が向こうにやった容器の蓋を取り、藤也が意味わかんないことを言う。

 深く聞いてもいいことなさそうだからスルーして、割り箸を割って、ネギを混ぜて、がつがつ。こういうのは、お上品に食ってても仕方ないじゃん。

 とにかく食べてる俺を見て、藤也も半熟卵をぐりぐりにして食べ始める。適当なところでお互いのを交換して、ごちそうさま。はぁ あっという間。

 アイスコーヒー淹れてもらって、俺は昨日食べ残したケーキ二個。ああ、超うめぇ あれだけ牛丼食べといても、おいしさにうっとりできるとか、おいしいケーキってそれだけで幸せだ。

「あ、そうだ。昼から家具屋くるから」

 うっとりしながらケーキ食ってたら、藤也が言う。

「は?」

「ベッド買った。シングル二つ」

「それって俺の!?」

「んー まあ、マコのでもあるなぁ」

 わくわくしながら聞いたら、なんか微妙な返事。

「どこの部屋入れんの?」

「そこの寝室」

 …………あるじゃん。ひとつあるじゃん。結構でかいのが。

「いやぁ やっぱ三人で寝るには狭いって実感してだな、でもくっつけたいから同じメーカーの同じデザインのサイズ違い、注文した。よかったよ、在庫あって」




 …………




「あの、なんで一つの部屋に?」

「そりゃ一緒に寝る為でしょ」

 しれっと、俺の質問の意図が解らないとでも言いたげな顔で藤也が首を傾げている。誰が誰と!? 俺は一人で一つの部屋で寝たい!!

 そんなやり取りをしていたら、インターフォンが鳴って、下に家具屋さんが来た。

「ほら、俺の部屋にしてくれるってとこに一つ入れたらいいじゃん!!」

「えー 無理。片付けてないし」

「片付けてよ、今すぐ!!」

「柊也の医学書とかなんだよ。一番狭い部屋、いつの間にかあいつの本に占領されてたの。俺らもマコがウチにお泊りって聞いたの昨日でさ、部屋ありますよーとか真唯子さんに即答した後『あちゃー しまった』って感じ」



 ウソだろ。それもいろいろ込みでこうなることを完璧に予測しての行動だっただろお前ら!!


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