90 / 129
後悔先に立たず
あるじゃん。ひとつあるじゃん。結構でかいのが。
しおりを挟む「着替えたかー? 冷めちまうからとっとと食うぞ」
「わかった、行く」
ダイニングに行ったら、イイ匂い。
「牛丼!」
昨日お上品なディナーが並んでたテーブルに、見たことある四角い、牛丼屋のデリバリー容器。
「そろそろ米が恋しいかと思ってな。両方サイズは大盛だけど、ネギ盛とトロ玉どっちいく?」
「どっちも」
「俺に昼を抜けと?」
「半分こしたらいいだろ。そっち半分食べたら俺のと交換っ!」
ぱこっとふたを開けたら、こっちはネギで緑色。
「いただきまーっす」
「半分こ……ね。天然って怖いね。ナチュラルにそういうことする子なのね、マコは。分かってたけど不意打ちでやられると結構来るから色々辛い」
ため息半分くらいの息を吐きながら、俺が向こうにやった容器の蓋を取り、藤也が意味わかんないことを言う。
深く聞いてもいいことなさそうだからスルーして、割り箸を割って、ネギを混ぜて、がつがつ。こういうのは、お上品に食ってても仕方ないじゃん。
とにかく食べてる俺を見て、藤也も半熟卵をぐりぐりにして食べ始める。適当なところでお互いのを交換して、ごちそうさま。はぁ あっという間。
アイスコーヒー淹れてもらって、俺は昨日食べ残したケーキ二個。ああ、超うめぇ あれだけ牛丼食べといても、おいしさにうっとりできるとか、おいしいケーキってそれだけで幸せだ。
「あ、そうだ。昼から家具屋くるから」
うっとりしながらケーキ食ってたら、藤也が言う。
「は?」
「ベッド買った。シングル二つ」
「それって俺の!?」
「んー まあ、マコのでもあるなぁ」
わくわくしながら聞いたら、なんか微妙な返事。
「どこの部屋入れんの?」
「そこの寝室」
…………あるじゃん。ひとつあるじゃん。結構でかいのが。
「いやぁ やっぱ三人で寝るには狭いって実感してだな、でもくっつけたいから同じメーカーの同じデザインのサイズ違い、注文した。よかったよ、在庫あって」
…………
「あの、なんで一つの部屋に?」
「そりゃ一緒に寝る為でしょ」
しれっと、俺の質問の意図が解らないとでも言いたげな顔で藤也が首を傾げている。誰が誰と!? 俺は一人で一つの部屋で寝たい!!
そんなやり取りをしていたら、インターフォンが鳴って、下に家具屋さんが来た。
「ほら、俺の部屋にしてくれるってとこに一つ入れたらいいじゃん!!」
「えー 無理。片付けてないし」
「片付けてよ、今すぐ!!」
「柊也の医学書とかなんだよ。一番狭い部屋、いつの間にかあいつの本に占領されてたの。俺らもマコがウチにお泊りって聞いたの昨日でさ、部屋ありますよーとか真唯子さんに即答した後『あちゃー しまった』って感じ」
ウソだろ。それもいろいろ込みでこうなることを完璧に予測しての行動だっただろお前ら!!
11
お気に入りに追加
535
あなたにおすすめの小説
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
松本先生のハードスパンキング パート5
バンビーノ
BL
「お尻、大丈夫?」
休み時間、きれいなノートをとっていた子が微笑みながら言いました。僕のお仕置きの噂は、休み時間に他のクラスにも伝わり、みんなに知れ渡りました。姉は、何をやっているのと呆れていました。姉も松本先生の教え子でしたが、叱られた記憶はないと言います。教室では素振り用の卓球ラケット、理科室では一メートル定規がお仕置きの定番グッズになりました。
でもいちばん強烈な思い出は、理科室の隣の準備室での平手打ちです。実験中、先生の注意をろくに聞いていなかった僕は、薬品でカーテンを焦がすちょっとしたぼや騒ぎを起こしてしまったのです。放課後、理科室の隣の小部屋に僕は呼びつけられました。そして金縛りにあっているような僕を、力ずくで先生は自分の膝の上に乗せました。体操着の短パンのお尻を上にして。ピシャッ、ピシャッ……。
「先生、ごめんなさい」
さすがに今度ばかりは謝るしかないと思いました。先生は無言でお尻の平手打ちを続けました。だんだんお尻が熱くしびれていきます。松本先生は僕にとって、もうかけがえのない存在でした。最も身近で、最高に容赦がなくて、僕のことを誰よりも気にかけてくれている。その先生の目の前に僕のお尻が。痛いけど、もう僕はお仕置きに酔っていました。
「先生はカーテンが焦げて怒ってるんじゃない。お前の体に燃え移ってたかもしれないんだぞ」
その夜は床に就いても松本先生の言葉が甦り、僕は自分のお尻に両手を当ててつぶやきました。
「先生の手のひらの跡、お尻にまだついてるかな。紅葉みたいに」
6月の修学旅行のとき、僕は足をくじいてその場にうずくまりました。その時近づいてきたのが松本先生でした。体格のいい松本先生は、軽々と僕をおぶって笑いながら言いました。
「お前はほんとに軽いなあ。ちゃんと食わないとダメだぞ」
つい先日さんざん平手打ちされた松本先生の大きな手のひらが、僕のお尻を包み込んでくれている。厚くて、ゴツゴツして、これが大人の男の人の手のひらなんだな。子供はこうやって大人に守られているんだな。宿について、僕はあのお仕置きをされたときにはいていた紺の体操着の短パンにはきかえました。あの時の白衣を着た松本先生が夢の中に出てくる気がしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる