あい らぶ? こめ。

神室さち

文字の大きさ
上 下
88 / 129
口は禍の元

何を思ってこれを選んだ……

しおりを挟む



「うっ ふえっ……違うも……とーやのせーだもん」

 白っぽい半透明の粘性物が付着した俺の手を取って、ちょっと呆れたような顔した柊也に、泣きそうになりながら訴えてみる。

 でも、イっちゃったもんはイったものって言われるんだろうなぁ……

「まあ、時間外ですから、今日のところは大目に見ましょうか」

 どこから出したのか、ほんわり温かいタオルで手袋に付いたモノをぬぐってから、するすると、手袋を脱がす。

「ハイハイ俺のせい俺のせい。マコ、拭くからちょっと足広げろ。んで、拭いてる最中にかわいこちゃんがおっきしちゃうのも俺のせいですよ。はい」

 ぐいっと足を広げさせられて、ぬるぬるになった太腿やら、出し切っちゃってくったりしてるとことか、まだなんか挟まってる感じと言うか、閉じきってない感じのとことか、やっぱりあったかいタオルがきれいにしていく。

「あー このシーツもダメになったか。替えの、どこにあったっけかなぁ」

 きれいに拭かれて、手袋と靴下と首輪とネコ耳と取って、ひざ丈くらいのバスローブ……なのか? これもなんか、フードがついてるんだけど何耳だよ……を着せられて、またイスへ。

 ネコ耳!! 今度は付けられないようにしないとッ

「新しいものが買ってありますよ。荷札に書いてあるはずですから、探してください」

「ほんっと、お前、いろいろ準備いいな」

「このくらいは当たり前ですよ?」

 たくさん届いてた荷物の品名のとこを確認しながら、藤也が目的のものを探す。すぐに見つかったらしくて、ビリビリテープをめくって、中から出てきたのはシーツの束。いろんな色のシーツ。そんなに買ってどうするの?

「んー じゃあ、今日の気分はピンクで」

「フツーに白でいいし!!」

 よりによってピンクをセレクトした藤也に、とりあえず突っ込んどく。

 けど、汚れたシーツを洗濯機に入れに行った柊也に代わってシーツをセットするらしい藤也は、鼻歌うたいながら、枕もとを示すかわいいイチゴの刺繍付のシーツを広げて、セット。


 ……柊也、何を思ってこれを選んだ……


 うわー 藤也も結構几帳面。柊也がしたのと変わらない感じで、ぴっちり。

「さて、寝るか」

「いっ なんで脱ぐッ!?」

「え? 言ってなかったっけ? 俺、寝る時は裸」

 そう言えばそんなこと言ってた気がするけど、なんで裸で寝るッ!? 寝てる間に地震とか来て急いで避難しなくちゃいけない時とか、お前、どうするんだよッ!?

「つーか、マコ、まさかお前、それ着て寝るつもりじゃねぇよな?」

「着て寝るつもりだけど?」 

 パジャマも、代わりになるような服もないなら、仕方ないじゃん。昨日だってそうだったんだし。

「バスローブはタオルの代わりみたいなものですよ」

「だって。昨日は俺、着て寝てたじゃん。着せてくれたの、お前らだろ?」

 やっぱりこれ、バスローブなのか……

「あー あれ? あれなぁ 俺らが起きた時、着せたの。目が覚めて素っ裸だと、いろいろかわいそうかなーって」
「寝てたのに、私たちの指示にはちゃんと応えて。着せ替え人形が楽しいのは道理だと」



 …………



 いい年したおっさんが、危ないこと言ってんじゃねぇよ。

「っておい、柊也も裸なの?! 裸で寝る派なのっ!?」

「ええ。昨日もそうだったんですよ? 真琴を間にして三人で。ホテルのベッドよりは狭いですが、なんとかならなくもないでしょう」

 俺がびっくりした声上げたのに驚いたって顔して、なんかもう、寝る時裸なのは当然、って感じで、何のためらいもなく柊也が服を脱いでいく。

 昨日も散々見たし、今日もお風呂で見たけど、無駄にたくましいよな、お前ら……その筋肉、少しでいいから分けてくれ。

 なんでそんな腹筋見えるの? 俺、どんな鍛えても細いままで、なのになんか、お腹のとこはムキって感じじゃなくて、ムニって感じのままなのに……

 それだけでも劣等感がチクチクするのに、その下とか。もう。見せびらかしやがってー!!!!!

「ほら、もう寝ますよ?」

 そして、俺を脱がすのも当然……なんですか。なんですよね。

 え? って思ってる間に藤也にぺろんっと羽織ってただけの布を取られた。

「ひゃあ!?」

 柊也に、素肌の脇を持ち上げられて立たされる。あんなの一枚、はぐのなんか簡単ですよね、そうですよね。

 そのまま、ひょいっと柊也に担がれて、抵抗むなしく、ベッドの上。

 壁側に柊也がいて、真ん中に俺がいて、反対側に藤也。

 首の下と、二の腕の上に、柊也の腕が絡んで、腰の辺りに藤也の腕。それぞれに密着中。

 ううう。こんなんで寝られるかよ。



 寝られるわけがねぇよ!!

 なんて、思ったのは、思った。



 けど、人間、疲れてたらどこでどんな格好でも、寝られるもんなんだなって、心底ガックリしたよ。

 だって、次目が覚めたら、また昼くらいだったんだもん……

 二人が仕事行ったのにも気づかなかったし、藤也が俺の昼の為にわざわざ帰ってきたのも気づかなかったくらい、俺はぐーすかと、夏休みとはいえ、ありえないくらい、惰眠を貪ってた。


しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

処理中です...