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口は禍の元
何を思ってこれを選んだ……
しおりを挟む「うっ ふえっ……違うも……とーやのせーだもん」
白っぽい半透明の粘性物が付着した俺の手を取って、ちょっと呆れたような顔した柊也に、泣きそうになりながら訴えてみる。
でも、イっちゃったもんはイったものって言われるんだろうなぁ……
「まあ、時間外ですから、今日のところは大目に見ましょうか」
どこから出したのか、ほんわり温かいタオルで手袋に付いたモノをぬぐってから、するすると、手袋を脱がす。
「ハイハイ俺のせい俺のせい。マコ、拭くからちょっと足広げろ。んで、拭いてる最中にかわいこちゃんがおっきしちゃうのも俺のせいですよ。はい」
ぐいっと足を広げさせられて、ぬるぬるになった太腿やら、出し切っちゃってくったりしてるとことか、まだなんか挟まってる感じと言うか、閉じきってない感じのとことか、やっぱりあったかいタオルがきれいにしていく。
「あー このシーツもダメになったか。替えの、どこにあったっけかなぁ」
きれいに拭かれて、手袋と靴下と首輪とネコ耳と取って、ひざ丈くらいのバスローブ……なのか? これもなんか、フードがついてるんだけど何耳だよ……を着せられて、またイスへ。
ネコ耳!! 今度は付けられないようにしないとッ
「新しいものが買ってありますよ。荷札に書いてあるはずですから、探してください」
「ほんっと、お前、いろいろ準備いいな」
「このくらいは当たり前ですよ?」
たくさん届いてた荷物の品名のとこを確認しながら、藤也が目的のものを探す。すぐに見つかったらしくて、ビリビリテープをめくって、中から出てきたのはシーツの束。いろんな色のシーツ。そんなに買ってどうするの?
「んー じゃあ、今日の気分はピンクで」
「フツーに白でいいし!!」
よりによってピンクをセレクトした藤也に、とりあえず突っ込んどく。
けど、汚れたシーツを洗濯機に入れに行った柊也に代わってシーツをセットするらしい藤也は、鼻歌うたいながら、枕もとを示すかわいいイチゴの刺繍付のシーツを広げて、セット。
……柊也、何を思ってこれを選んだ……
うわー 藤也も結構几帳面。柊也がしたのと変わらない感じで、ぴっちり。
「さて、寝るか」
「いっ なんで脱ぐッ!?」
「え? 言ってなかったっけ? 俺、寝る時は裸」
そう言えばそんなこと言ってた気がするけど、なんで裸で寝るッ!? 寝てる間に地震とか来て急いで避難しなくちゃいけない時とか、お前、どうするんだよッ!?
「つーか、マコ、まさかお前、それ着て寝るつもりじゃねぇよな?」
「着て寝るつもりだけど?」
パジャマも、代わりになるような服もないなら、仕方ないじゃん。昨日だってそうだったんだし。
「バスローブはタオルの代わりみたいなものですよ」
「だって。昨日は俺、着て寝てたじゃん。着せてくれたの、お前らだろ?」
やっぱりこれ、バスローブなのか……
「あー あれ? あれなぁ 俺らが起きた時、着せたの。目が覚めて素っ裸だと、いろいろかわいそうかなーって」
「寝てたのに、私たちの指示にはちゃんと応えて。着せ替え人形が楽しいのは道理だと」
…………
いい年したおっさんが、危ないこと言ってんじゃねぇよ。
「っておい、柊也も裸なの?! 裸で寝る派なのっ!?」
「ええ。昨日もそうだったんですよ? 真琴を間にして三人で。ホテルのベッドよりは狭いですが、なんとかならなくもないでしょう」
俺がびっくりした声上げたのに驚いたって顔して、なんかもう、寝る時裸なのは当然、って感じで、何のためらいもなく柊也が服を脱いでいく。
昨日も散々見たし、今日もお風呂で見たけど、無駄にたくましいよな、お前ら……その筋肉、少しでいいから分けてくれ。
なんでそんな腹筋見えるの? 俺、どんな鍛えても細いままで、なのになんか、お腹のとこはムキって感じじゃなくて、ムニって感じのままなのに……
それだけでも劣等感がチクチクするのに、その下とか。もう。見せびらかしやがってー!!!!!
「ほら、もう寝ますよ?」
そして、俺を脱がすのも当然……なんですか。なんですよね。
え? って思ってる間に藤也にぺろんっと羽織ってただけの布を取られた。
「ひゃあ!?」
柊也に、素肌の脇を持ち上げられて立たされる。あんなの一枚、はぐのなんか簡単ですよね、そうですよね。
そのまま、ひょいっと柊也に担がれて、抵抗むなしく、ベッドの上。
壁側に柊也がいて、真ん中に俺がいて、反対側に藤也。
首の下と、二の腕の上に、柊也の腕が絡んで、腰の辺りに藤也の腕。それぞれに密着中。
ううう。こんなんで寝られるかよ。
寝られるわけがねぇよ!!
なんて、思ったのは、思った。
けど、人間、疲れてたらどこでどんな格好でも、寝られるもんなんだなって、心底ガックリしたよ。
だって、次目が覚めたら、また昼くらいだったんだもん……
二人が仕事行ったのにも気づかなかったし、藤也が俺の昼の為にわざわざ帰ってきたのも気づかなかったくらい、俺はぐーすかと、夏休みとはいえ、ありえないくらい、惰眠を貪ってた。
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