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嵐の前の静けさ
ホント、誰が履くんだよそんなエロパンツ。
しおりを挟むソファにふんぞり返って、風呂上りの飲み物は夏みかんのクラッシュゼリー。
太めのストローで吸い上げられる柔らかさのゼリーは、口に入れた瞬間、夏みかんのツブツブを残して溶けてなくなる。
後ろには、ドライヤー片手に髪を乾かしてる藤也。
前には、遠慮を粉砕する笑顔で無理やり承諾させられたんだけど、足の爪切ってる柊也。
これだけなら、俺ってどこの王子様って感じだけど、実態はどっちかって言うと、アレだ、過保護な飼い主に無理やり身づくろいされてるペットっぽい。
ため息呑み込んで、着せられてる服を引っ張る。
脱衣所のオレンジのライトで見た時は気づかなかったけど、薄いピンクだコレ。ベージュとピンクの境目の色。ご飯食べた時のヤツと、色違い、デザイン違いの、お揃い。
生地はふかふかのタオルみたいで、パーカー……みたいなの。これもやっぱりツナギになってる。しかもその帽子、被ってみたらこっちは角がない、丸いクマみたいな耳ついてる。尻尾も丸い。
ホントコイツら、俺になにがしたいの? んで、前はジップアップ。腹の辺りに手を突っ込めるポケット付き。
ブルーのと違うところは、こっちはノースリーブで、ズボンの部分がより短い。
おんなじようなもんだと思って受け取ったら、なんか格段に露出が増えてるんですけど。どういうデザインなのコレ。トイレとか、超行きづらいと思うんだけど。前全開?
あー
すーすーする。
だって着てんのコレ一枚だから。俺が履ける下着がない。
さっきもだったんだから、当然。藤也がニヤニヤしながら『貸してやろーか?』って言ってきたけど当然お断り! ホント、誰が履くんだよそんなエロパンツ。
あー 中途半端に足上げられると、マジでマタの間、スースーするー
「髪、伸びたなぁ」
乾いた髪を手櫛で整えるように梳きながら、藤也が言う。
「んー でもそろそろ切ろうかな。伸びすぎたらキャップに入んないし」
ズズズっとゼリーを飲み干して、何気に言った俺の言葉に、反応したのは柊也。
「キャップ、と言うのは、水泳の?」
そう。って言うか、他になにがあるんだよ。
言い返したかったけど、なんでか、何に反射するのか、メガネがキラーンってなった気がして、その言葉を全部飲み込んだ。
「ほう、今朝のことも覚えていないのですか?」
この鳥頭が。
いや、言われてないけど、そう言われたような気がした。
え? 今朝? なんか言ったっけ?
母さんが俺に何にも言わないでどっか、外国行っちゃったのは聞いたよな。そのせいで俺、こんなとこにいるんだし。
それから、えーっと?
「水泳部は辞めて頂きます」
「えええええー!! ヤダ! 絶対ヤダ」
「今朝、つーかもう昼前だったけどな、言ったの。つーか、こんなんでやるの? 水泳」
あー そう言えば、車の中でこの双子たち、なんかそんなこと言ってたような気もす──……ッ!!
「ぎゃああぁぁ!!!」
言うより早く、藤也が後ろから湧いて出て前のジップをジャーッとほとんど一番下まで引き下ろした。
しかも、そんだけじゃなくて、ぐいっと服を広げて、服そのものを肘くらいまでひっぱられる。
「日に焼けてるからそんなに目立たないけど、コレだけついてるキスマーク、虫刺されじゃないことくらい誰にもわかると思うけど、そう言うの見られて嬉しい方?」
「うっ 嬉しくない方!!」
叫んで急いで服ひっぱりあげて、ぴぃーっと、ジップを上げる。
「なら無理じゃん」
「無理じゃねぇよ。んなもん金輪際つけるなぁ! お前らがこんなことしなかったらいいだけだろ」
「もっと無理ですね」
足の爪、さっきからさりさりさりさり研いでた柊也が、つま先にふっと息を吹きかけた。
爪研がれるだけでもなんかトリハダたちそうなのに、そんなとこに息吹きかけんなバカ。
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