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嵐の前の静けさ
あっ! えいで、ないッ!!
しおりを挟む「喘ぎながら怒鳴っても可愛いだけですよ?」
あっ! えいで、ないッ!!
首元に回ってた柊也の左手が、いつの間にか俺の左腕の外側を回って、右手を掴む。片手で抱き込まれた様になって、腕が動かない。泡のぬめりなんか俺の味方にもならない。
目の前では、藤也が鼻歌交じりに半分湯船に浸かりながら身を乗り出して俺の右足首ひっぱりあげてるし!!
精神的な何かも含めて、いろんなものを守るために閉じてた足、なんか、中途半端に開かされた。
「やめッ んなトコ、じぶんでッ」
足の、指の、間ッ!!
プラス、足の、間ッ!!!!!
うぎゃー
「洗ってるかー? ちゃんと。油断したら水虫くるからこーやってきちんと洗えよ?」
指ッ 指の間に、指が。
洗ってるし! ちゃんと洗ってるしッ 藤也のは自分の指よりずっと太いから、普段より刺激が強くて痛こそばゆい。
足をギュッと閉じてたせいで溜まってた泡を塗りつけるように、柊也の手が俺の中心を這う。
「んンンッ」
足先を弄んでるのと同じ形の指が、ぺったり張り付いた薄い下生えの辺りを擽って、もーこんなのヤダって言う気持ちを見事に裏切り倒したヤツにたどり着く。
「おやおや?」
ぬるりと根元を指が撫でる。もうすでに、その指を覚えてしまったその場所は、俺の意思なんか関係なしに、ぴくんと震えて反応してしまう。
「体を洗うだけでこんなになってしまうんですか?」
「ちがぁ……うぅ」
お前らが、微妙にエロいことばっかりするからだ。
「洗う時はきちんと剥けていた方がいいですから、構わないですけどね」
俺は構うから! って言うか、ホントに、そんなトコは自分で洗うからッ!
勝手なことをつぶやきながらも、柊也の手は、泡を絡めてその場所を丁寧に洗っていく。育っちゃったヤツも、縮こまった袋のとこも、そして当然の様に、尻の間も。
さっきも変なモン入れられたし、指突っ込まれたらどうしようって目を閉じて身を硬くしてたけど、思いのほかあっさり、とは言え指の腹で皺を伸ばすように洗われただけだった。
ほっと息を吐いてると、柊也がシャワーを出して、湯温の加減をみてからかけてくれる。
え? あれ? 終わり?
断じて! 期待してたわけじゃないけど、なんか拍子抜け。
「あー あと俺、ここんとこコスんの好き」
シャワーは肩から順番に下に降りてきていて、流れる水を巻き込みながら藤也の親指がゴリゴリしてんのは、くるぶしの下あたり。確かにそこは、毎日洗っててもなんか、ザラザラしたのが取れる場所だけど。
「ってか、足の裏、白ッ」
んなとこ、日に焼けないんだから当たり前だー! 手のひらは、他の場所より焼けないけど、ちょっとずつ焼けた色になじむ感じになるけど、足の裏はそんなことないから白いまま。
「舐めていい?」
「やめろ変態!!」
いつの間にやら左足まで洗い終えた藤也のセリフに、間髪入れずに却下! そして足を取り戻す。
ざんねーん、と、大して残念そうにもなく言って、藤也が立ち上がる。
「んじゃお先ー」
あ、俺も! って思ったけど、んなことできるはずもなく。そのまま、湯船の中へ。柊也に引っ張り込まれて、後ろから抱きこまれて、百まで数えろって言われて。
マッハで数えようとしたら、ゆっくりって怒られた。お前、どこのおばあちゃんだよ……
昨日のアレに、今日のコレ。
俺、お風呂入るの嫌になりそう……
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