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雀の上の鷹、鼠の上の猫
あのネコ耳。まだなんか、くっついてる感じがする。
しおりを挟む「は……はぅ ふ……」
長くイケなかったせいで、なかなか思うように息が吸えない。
「あーあ。無理やり引っこ抜いたからまだひくひくしてる。もっかい、入れる?」
「やっ もー やぁ」
ゼイゼイ言いながら首を横に振る。ただの玉のくせに勝手に動くとか恐ろしい。
二人のアレだったりはまだ何をされても想定の範囲内だけど、この玉、ほんとに意思があるみたいに中で勝手に動くんだよ。でも、無機物だから思わぬ動き。
拒否したところでヤられちゃうんだろうなぁとか、わかってるけど首を横に振ってたら、いつのまにか拘束がなくなってた俺ほったらかしでぱぱぱっと後始末。
二人がなんか、話してたのをぼーっと聞きながら、書斎机の座り心地のいいイスに座らされて、シャツ脱がされて体拭かれて、別の服を渡された。
「ナニ。コレ」
藤也はいつの間にか部屋からいなくなってて、甲斐甲斐しく俺の体を拭いたり、シーツ替えたりしてくれてるのは柊也。
「服ですよ。いつまでもサイズの合わないものを着ているわけにいかないでしょう?」
差し出されたのは、ブルーグレーの、タオル地の、服?
ペロッと広げてみたら、フードがついてて、前ファスナーで、でもパーカーじゃない。本来裾になってるところが、ショートパンツみたいになってる。ツナギ?
「えと、ほら、俺の服、取ってきてくれたんじゃないの?」
「ああ、取りには行ったのですが、家の鍵が新しくなってしまっていて、開けられなかったんですよ」
鍵。そう言えば彰一郎さんが、俺らが引っ越した時コピーしにくいものに変えたとかいってたなぁ
答える柊也の言葉を聞きながら、渡された服をよく見る。フードにネコ耳みたいなものと、お尻のとこに長い尻尾がついてる……どこまでもこの路線かよ!?
「ついでに通販で買っておいてよかった。流石に一日着た服を何度も着るのは嫌でしょう?」
言いながら、さっさと汚しちゃった服、履いてたトランクスもシーツでひとまとめにしやがった!! 少なくともトランクスはまだ履けただろ!?
この服着るくらいなら藤也のでっかいシャツ着てた方がなんぼかましだッ!
「その服が嫌なら、構いませんよ、そのままの姿でも」
「着るッ!」
くそー でも、いつまでも素っ裸でいるわけにもいかない。トランクスないのは心もとないけど、確かに、この服なら捲(めく)られる心配はない。じゃーっとファスナーを開けて、足、通して。
また無様にひっくり返るわけにはいかない。しかも今、ここには柊也がいる。全部ライブで見られるとか、考えただけで鳥肌でそう。
服を握りしめて、ゆっくりそーっと、立ち上がる。
「ふぎぎぎぎぎぎ」
力入れすぎて変な声漏れた。
「無理をしなくても着させてあげますよ?」
「結構です!!」
ココはホテルかってくらい、完璧なベッドメイクを終えた柊也が笑ってる。くそう、誰のせいだと思ってんだよ。
なんとか服を着終えた時、大きな手が伸びてきて、頭をぐりぐり撫でられた。そういうことされるとなんか、条件反射みたいに目を閉じて首をすくめてしまう。
そのまま、長い指が髪を整えるみたいに梳く。
「? なに?」
「変な癖がついてますよ」
あー あれだ。あのネコ耳。ちくしょー まだなんか、くっついてる感じがする。
「終わったかー? 晩飯食うぞー?」
しっくりこないのか、俺の髪をくしゃくしゃする柊也の手が結構心地よくてされるがままになってたら、何の前触れもなくドアが開いて藤也が入ってくる。それと一緒に、すげぇいい匂い。
おいしそうって思ったのと同時、腹の虫が鳴いた。
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