あい らぶ? こめ。

神室さち

文字の大きさ
上 下
72 / 129
雀の上の鷹、鼠の上の猫

あのネコ耳。まだなんか、くっついてる感じがする。

しおりを挟む



「は……はぅ ふ……」

 長くイケなかったせいで、なかなか思うように息が吸えない。

「あーあ。無理やり引っこ抜いたからまだひくひくしてる。もっかい、入れる?」

「やっ もー やぁ」

 ゼイゼイ言いながら首を横に振る。ただの玉のくせに勝手に動くとか恐ろしい。

 二人のアレだったりはまだ何をされても想定の範囲内だけど、この玉、ほんとに意思があるみたいに中で勝手に動くんだよ。でも、無機物だから思わぬ動き。

 拒否したところでヤられちゃうんだろうなぁとか、わかってるけど首を横に振ってたら、いつのまにか拘束がなくなってた俺ほったらかしでぱぱぱっと後始末。

 二人がなんか、話してたのをぼーっと聞きながら、書斎机の座り心地のいいイスに座らされて、シャツ脱がされて体拭かれて、別の服を渡された。


「ナニ。コレ」

 藤也はいつの間にか部屋からいなくなってて、甲斐甲斐しく俺の体を拭いたり、シーツ替えたりしてくれてるのは柊也。

「服ですよ。いつまでもサイズの合わないものを着ているわけにいかないでしょう?」

 差し出されたのは、ブルーグレーの、タオル地の、服?

 ペロッと広げてみたら、フードがついてて、前ファスナーで、でもパーカーじゃない。本来裾になってるところが、ショートパンツみたいになってる。ツナギ?

「えと、ほら、俺の服、取ってきてくれたんじゃないの?」

「ああ、取りには行ったのですが、家の鍵が新しくなってしまっていて、開けられなかったんですよ」

 鍵。そう言えば彰一郎さんが、俺らが引っ越した時コピーしにくいものに変えたとかいってたなぁ

 答える柊也の言葉を聞きながら、渡された服をよく見る。フードにネコ耳みたいなものと、お尻のとこに長い尻尾がついてる……どこまでもこの路線かよ!?

「ついでに通販で買っておいてよかった。流石に一日着た服を何度も着るのは嫌でしょう?」

 言いながら、さっさと汚しちゃった服、履いてたトランクスもシーツでひとまとめにしやがった!! 少なくともトランクスはまだ履けただろ!?

 この服着るくらいなら藤也のでっかいシャツ着てた方がなんぼかましだッ!

「その服が嫌なら、構いませんよ、そのままの姿でも」

「着るッ!」

 くそー でも、いつまでも素っ裸でいるわけにもいかない。トランクスないのは心もとないけど、確かに、この服なら捲(めく)られる心配はない。じゃーっとファスナーを開けて、足、通して。

 また無様にひっくり返るわけにはいかない。しかも今、ここには柊也がいる。全部ライブで見られるとか、考えただけで鳥肌でそう。

 服を握りしめて、ゆっくりそーっと、立ち上がる。

「ふぎぎぎぎぎぎ」

 力入れすぎて変な声漏れた。

「無理をしなくても着させてあげますよ?」

「結構です!!」

 ココはホテルかってくらい、完璧なベッドメイクを終えた柊也が笑ってる。くそう、誰のせいだと思ってんだよ。

 なんとか服を着終えた時、大きな手が伸びてきて、頭をぐりぐり撫でられた。そういうことされるとなんか、条件反射みたいに目を閉じて首をすくめてしまう。

 そのまま、長い指が髪を整えるみたいに梳く。

「? なに?」

「変な癖がついてますよ」

 あー あれだ。あのネコ耳。ちくしょー まだなんか、くっついてる感じがする。

「終わったかー? 晩飯食うぞー?」

 しっくりこないのか、俺の髪をくしゃくしゃする柊也の手が結構心地よくてされるがままになってたら、何の前触れもなくドアが開いて藤也が入ってくる。それと一緒に、すげぇいい匂い。


 おいしそうって思ったのと同時、腹の虫が鳴いた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

支配された捜査員達はステージの上で恥辱ショーの開始を告げる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

昭和から平成の性的イジメ

ポコたん
BL
バブル期に出てきたチーマーを舞台にしたイジメをテーマにした創作小説です。 内容は実際にあったとされる内容を小説にする為に色付けしています。私自身がチーマーだったり被害者だったわけではないので目撃者などに聞いた事を取り上げています。 実際に被害に遭われた方や目撃者の方がいましたら感想をお願いします。 全2話 チーマーとは 茶髪にしたりピアスをしたりしてゲームセンターやコンビニにグループ(チーム)でたむろしている不良少年。 [補説] 昭和末期から平成初期にかけて目立ち、通行人に因縁をつけて金銭を脅し取ることなどもあった。 東京渋谷センター街が発祥の地という。

バイト先のお客さんに電車で痴漢され続けてたDDの話

ルシーアンナ
BL
イケメンなのに痴漢常習な攻めと、戸惑いながらも無抵抗な受け。 大学生×大学生

少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。 ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。 だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

処理中です...