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雀の上の鷹、鼠の上の猫
降りかかる火の粉は最小限でありますように。
しおりを挟む双子の会話をかいつまむと、双子留守中(俺は爆睡中)いくつか来た荷物は、応答がないために宅配ボックス行きで、遅れて届いたこのネコセットは、ここに来ていた柊也が直で受け取ったってことらしい。
つーか、何買った。部屋に散らばる箱、箱、箱。でかいのから小さいのまで、箱。いえ、中身何かなんて聞きたくないです。
大の男が、頭突き合わせて超楽しそうに目のでっかい女の子がネコの格好して笑ってる絵がプリントされた、ネコセット箱を覗き込む図。いい男たちだから絵にならないわけじゃないけど、その笑顔が邪悪だ。
「うわー 充実してんなぁ コレ」
「当たり前ですよ」
藤也が手に取ったのは、細くい赤い首輪と、黒いファーの首輪。それにつける鈴は金色で大小。音が鳴るのが小で、大はアクセサリー目的で音は出なくなってるらしい。
大きい鈴は鳴っても可愛げがないからってのが理由。アレだよ、青くてずんぐりした未来から来たネコ型ロボットがしてるビジュアルになるサイズで、撮影用にどうぞってことらしい。
小さい方はヤってる時のBGM用。説明書はちゃんと読むタイプなのだろう柊也の説明。無駄に懇切丁寧だな……
その他。
ネコ耳と同じフェイクファーでできてる幅五センチくらいのリストバンドと、こっちも皮っぽい、やたら光沢のある……合皮製かな……二の腕までありそうな長い手袋。
足につけるのは、リストバンドと同じような、足首につけるだけのファーのヤツと、薄いタイツみたいな生地のやつ。そしてこれもまた、無駄に長い。藤也が『黒ニーソ』って連呼してた。多分あれだ。
制服のスカートを普通に歩いててもパンツ見えちゃうくらい短くしてる女の子が好んで履いてる長い靴下だ。
何で何もかも二つずつある。なんでこんなに無駄にソツがないんだ。そもそもなんでこんなもん売ってるんだ……
耳セレクトが柊也だったから、首輪セレクトは藤也。赤の細いの。首輪なんて絶対やだからそれも全力拒否の体勢……なんか作れるわけもなく、意ともあっさり捲かれた。
首輪は、指が二本くらい入る緩みをもって締めましょうって、柊也が説明書を読み上げて、ぎゅっと苦しいようなことはないけど、物理的にも精神的にも何とも言い難い拘束感。
まぁ 両手は自由なわけだから、自分で外せばいいわけなんだけど、外したりしたらどうなるかなんて、想像もつかないけど、想像もつかないことされるに決まってるから、降りかかる火の粉は最小限でありますようにって祈るよりほかに俺に出来る事はないわけで。
「手袋とニーソも捨てがたいですが、最初はオーソドックスにこちらですかね」
「ですなぁ」
って、手足につけられたのは、幅の短いファーのヤツ。
で、真打登場。
うん。
俺、この次の瞬間まで忘れてたね。尻尾の存在。つーか、双子の目的のメインがそれだってことを忘れさせるに十分なラインナップだったと思うよ、ここまでも。
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