56 / 129
遠慮なければ近憂あり
気分的な意味でッ!
しおりを挟む
「マコの部活で着てる水着と変わんねぇだろ」
「水着と下着は違うだろ! 女の子だってビキニとブラとは違うだろ!!」
「面積的な意味では違わないと思いますがね」
「気分的な意味でッ!」
それに、俺が部活で履いてるのは確かにコイツらの今履いてる下着と同じようなショートブーンだけど、大きな大会に出てる実力者は大抵太腿までのスパッツタイプを着てる。
ほとんどが幼稚園や、遅くても小学校の内にスイミングスクールなんかに行ってて、高校に入ってから思い立ったように水泳を始めた俺は、まだどっちかって言うと、泳ぐより下っ端作業や基礎体力作りが多くて、動きやすい短いのにしてるだけだ。
入部した時、珍しい初心者の俺に部長や顧問がいろいろ説明してくれて、それを選んだだけで、断じて、お前らのとは違う!!
「水着云々はともかく、私たちのブランドは真琴には無理でしょう」
「あー サイズ的な意味で?」
くっ 屈辱!! でも確かに、アレのでかさもだけど、腰回りとか全然違うから、たとえSサイズでもゆるそうだ……
返す言葉が見つからず、ぷるぷるしてる間にやつらの目的の場所に到着。
アンティークな感じの書き物机の前に置かれた、お揃いの曲線が美しい椅子を、またしても藤也が慇懃な礼をして引く。
なんかされるんじゃないかと警戒していたのに、拍子抜けするほどあっさり椅子に座らされて、それはもう丁寧に、服を着せられた。靴下まで片方ずつ。
最後に靴。
そのタイミングを見計らったように、チャイムが鳴る。
「お腹が空いたでしょう? 時間はもう少しありますので、軽いものを頼みましたから、食べてから出ましょう」
また、ひょいっと抱き上げられて、今度は中央のテーブルへ。座らされてしばらくすると、藤也がワゴンを押して入ってきた。焼きたてらしきパン、卵にベーコン、きれいな彩りのサラダ。フレッシュジュース。
ぐぅー きゅるくるきゅー。
においをかいだ瞬間、鳴る腹の虫。
俺の目の前に皿を並べてた藤也が、その音を聞いてくすくす笑う。
「豪快だな、相変わらず」
「う、うるさいっ いただきますっ」
その音に、昨日されたことを思い出す。そうだよ、俺、昨日強引に全部出さされた上に足腰経たないほどヤられたんだから、腹減ってて当然。
ものすごい勢いで食べだした俺を見ながら、双子はコーヒーを飲んでるだけ。聞いたら、もう食べたんだってさ。
あっという間に並べられた朝食(?)を平らげたら、次は洗面所。歯磨きしてる間に藤也が寝癖を直してくれた。
結構寝たのにトイレに行きたいと思わないのは……やっぱり夕べのアレのせいか……
「ナニ? トイレ?」
「別に、行きたくない」
「行っとけば? また漏らしたら困るし」
「もう漏らさねぇよ!! ってか、出ねぇよッ!」
散々搾り取られた結果がコレだよ!
「だよなぁ 終わった後もすごかったし」
……終わった、あと?
洗面台の鏡越しに、伺うようにした俺の視線に気づいたらしい藤也が、ニヤニヤ笑いながら後ろポケットから最新らしきスマホをだしてくる。それを指でぴっぴって何やら操作して……
「ほとんど寝てたし、さすがに覚えてねぇか。動画取ったの見る?」
動画ッ!? そんなものいつの間にッ!
渡されたスマホを恐る恐る覗き込んだら。
今真後ろにある仕切りガラス張りの、ホテルのバスルームの中。
素っ裸のままの俺が、写ってる。後ろで、浴槽のヘリに座って俺を支えてるのは、藤也だ。ってことはコレ、撮ってんの柊也?
藤也がご丁寧に、イヤホンまでつけてくれた。
見なきゃよかった。聞かなきゃよかった。
後悔先に立たず。
でも、結局ナニされたか気になって、抱き上げられて移動してる間も、俺は藤也のスマホを握りしめ、その液晶に釘付けになっていた。
「水着と下着は違うだろ! 女の子だってビキニとブラとは違うだろ!!」
「面積的な意味では違わないと思いますがね」
「気分的な意味でッ!」
それに、俺が部活で履いてるのは確かにコイツらの今履いてる下着と同じようなショートブーンだけど、大きな大会に出てる実力者は大抵太腿までのスパッツタイプを着てる。
ほとんどが幼稚園や、遅くても小学校の内にスイミングスクールなんかに行ってて、高校に入ってから思い立ったように水泳を始めた俺は、まだどっちかって言うと、泳ぐより下っ端作業や基礎体力作りが多くて、動きやすい短いのにしてるだけだ。
入部した時、珍しい初心者の俺に部長や顧問がいろいろ説明してくれて、それを選んだだけで、断じて、お前らのとは違う!!
「水着云々はともかく、私たちのブランドは真琴には無理でしょう」
「あー サイズ的な意味で?」
くっ 屈辱!! でも確かに、アレのでかさもだけど、腰回りとか全然違うから、たとえSサイズでもゆるそうだ……
返す言葉が見つからず、ぷるぷるしてる間にやつらの目的の場所に到着。
アンティークな感じの書き物机の前に置かれた、お揃いの曲線が美しい椅子を、またしても藤也が慇懃な礼をして引く。
なんかされるんじゃないかと警戒していたのに、拍子抜けするほどあっさり椅子に座らされて、それはもう丁寧に、服を着せられた。靴下まで片方ずつ。
最後に靴。
そのタイミングを見計らったように、チャイムが鳴る。
「お腹が空いたでしょう? 時間はもう少しありますので、軽いものを頼みましたから、食べてから出ましょう」
また、ひょいっと抱き上げられて、今度は中央のテーブルへ。座らされてしばらくすると、藤也がワゴンを押して入ってきた。焼きたてらしきパン、卵にベーコン、きれいな彩りのサラダ。フレッシュジュース。
ぐぅー きゅるくるきゅー。
においをかいだ瞬間、鳴る腹の虫。
俺の目の前に皿を並べてた藤也が、その音を聞いてくすくす笑う。
「豪快だな、相変わらず」
「う、うるさいっ いただきますっ」
その音に、昨日されたことを思い出す。そうだよ、俺、昨日強引に全部出さされた上に足腰経たないほどヤられたんだから、腹減ってて当然。
ものすごい勢いで食べだした俺を見ながら、双子はコーヒーを飲んでるだけ。聞いたら、もう食べたんだってさ。
あっという間に並べられた朝食(?)を平らげたら、次は洗面所。歯磨きしてる間に藤也が寝癖を直してくれた。
結構寝たのにトイレに行きたいと思わないのは……やっぱり夕べのアレのせいか……
「ナニ? トイレ?」
「別に、行きたくない」
「行っとけば? また漏らしたら困るし」
「もう漏らさねぇよ!! ってか、出ねぇよッ!」
散々搾り取られた結果がコレだよ!
「だよなぁ 終わった後もすごかったし」
……終わった、あと?
洗面台の鏡越しに、伺うようにした俺の視線に気づいたらしい藤也が、ニヤニヤ笑いながら後ろポケットから最新らしきスマホをだしてくる。それを指でぴっぴって何やら操作して……
「ほとんど寝てたし、さすがに覚えてねぇか。動画取ったの見る?」
動画ッ!? そんなものいつの間にッ!
渡されたスマホを恐る恐る覗き込んだら。
今真後ろにある仕切りガラス張りの、ホテルのバスルームの中。
素っ裸のままの俺が、写ってる。後ろで、浴槽のヘリに座って俺を支えてるのは、藤也だ。ってことはコレ、撮ってんの柊也?
藤也がご丁寧に、イヤホンまでつけてくれた。
見なきゃよかった。聞かなきゃよかった。
後悔先に立たず。
でも、結局ナニされたか気になって、抱き上げられて移動してる間も、俺は藤也のスマホを握りしめ、その液晶に釘付けになっていた。
応援ありがとうございます!
11
お気に入りに追加
529
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる