幸せのありか

神室さち

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OUT OF DAYS

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「………それが、どうかした?」

「どうかした? じゃないですよ。なんかね、女性連れてたらしいです。んー 携帯カメラの画像じゃ荒すぎて全然わかんないじゃないか。私たちが身を粉にして働いてんのに、彼女といちゃいちゃしてんのかー」


 再び『ちくしょーめッ』と吠えながら背もたれに思い切り寄りかかっている。

 仕事の手を止めて鈴谷のパソコンを覗くと、メーラーが立ち上がり、添付されてきたらしい画質の悪い写真が展開していた。鈴谷の言うとおり、かなり見づらい写真で、男性の方は当人を知っているおかげもあるのだろうが、哉だと何とか判別できるものの、傍にいる白いドレスの女性の人相は皆目見当が付かない。


「……………な、なにか?」

「……………あー なんか、分かった気がする。色々。私たちに何か言ってないことありますよねぇ?」

「や、いや。別に、何も。分かったって、何が?」


 じっとりとした視線で鈴谷に睨まれて、自分でも分かるくらいに動揺している。


「べつにー みんなが誤解してるのをいいことにおいしいネタ独り占めとか男のクセに了見狭ッ! とか、もっと忙しくなればいいとか、色々なものに板ばさみになればいいとか、もういっそハゲちゃえば?」


「ハゲはちょっと、遠慮させて下さい。このまま行くと円形脱毛症とか、現実味を持ちすぎてて泣くに泣けない。だって、喋ったら地の果てだよ? 目の前のヤツに言ったら……って、アレ? あれってみんなのことも含まれてたのかな……アレー? もしかしてあの人だけ?」


「よく分かりませんけど、ロス・エスタードス島でもサグレスでもフィニステールでも知床でも、どこでも行けば? 行ってハゲれば? で。この人ダレ?」

 知床はともかく、他の地名は全くピンと来ない。と言うより、知床に支社なんかないはずだが、なぜ知床なのだろう。






‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

ロス・エスタードス島、サグレス、フィニステール、知床

意味:地の果て


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