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第31話 199X年 10月 2/4
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香流から紹介された仕事は、ギリギリの仕事ばかりだった。いや、むしろ一線を超えていたかもしれない。
香流に指定された場所に行き見知らぬ男からカバンを受け取り、そしてまた車で指定の場所まで行く。しばらく待っていると、またも見知らぬ男が車のガラス窓をノックする。
「おい、カバンをよこしな」
俺は預かっていたカバンを渡す。代わりに茶封筒を手渡される。中には五万円が入っていた。
「……中身は見てないよな?」
「も、もちろんです」
「……その方がいい。利口なガキだ」
男はそう言うと、停めてあった黒いベンツに乗り去って行った。
……これ、絶対ヤバいヤツだろぅ!!
そんな仕事を三回繰り返した後、最初に会った居酒屋で俺は香流に詰め寄った。
「もう嫌だ! あの仕事はやらない! だってあれ、絶対ヤバい人たちだろ? ……もうやだよ!」
「あら……この10日ほどで結構お金、貰ったんじゃないの?」
「そうだけど……これは絶対犯罪の匂いがする」
香流は揶揄する様に俺に言う。
「あら? そうかしら? もしかしたら、大切な商品を運んでいるだけかもしれないでしょ?」
「大切な商品って……何をだよ」
「……石鹸、とか?」
「石鹸運ぶのに、五万も払うバカがどこにいるんだよ! もうちょっと、マシな仕事はないの!?」
香流は細いメンソールタバコに火を付けると、美味しそうに吸い出した。
「仕方ない子ねぇ。……じゃあ、お店のバーテンなんてどう? 時給はそうね……2,500円くらいでどうかしら?」
「に、2,500円!? そ、それがいい。や、やるよ!」
「じゃあ来週からね。場所は都内のT区で、夜11時から朝の5時までの勤務。週四出てくれればいいわよ。働く曜日も最初は好きに決めていいわ」
時給2,500円だと6時間で1日15,000円。週四だと月16日でえーっと……に、24万!?
週四勤務なら音楽創作に時間を費やせる。それに絵未と会う時間だって……!
「ありがとう香流! 恩に着るよ!」
香流は妖艶に、フフフと微笑んだ。
香流に指定された場所に行き見知らぬ男からカバンを受け取り、そしてまた車で指定の場所まで行く。しばらく待っていると、またも見知らぬ男が車のガラス窓をノックする。
「おい、カバンをよこしな」
俺は預かっていたカバンを渡す。代わりに茶封筒を手渡される。中には五万円が入っていた。
「……中身は見てないよな?」
「も、もちろんです」
「……その方がいい。利口なガキだ」
男はそう言うと、停めてあった黒いベンツに乗り去って行った。
……これ、絶対ヤバいヤツだろぅ!!
そんな仕事を三回繰り返した後、最初に会った居酒屋で俺は香流に詰め寄った。
「もう嫌だ! あの仕事はやらない! だってあれ、絶対ヤバい人たちだろ? ……もうやだよ!」
「あら……この10日ほどで結構お金、貰ったんじゃないの?」
「そうだけど……これは絶対犯罪の匂いがする」
香流は揶揄する様に俺に言う。
「あら? そうかしら? もしかしたら、大切な商品を運んでいるだけかもしれないでしょ?」
「大切な商品って……何をだよ」
「……石鹸、とか?」
「石鹸運ぶのに、五万も払うバカがどこにいるんだよ! もうちょっと、マシな仕事はないの!?」
香流は細いメンソールタバコに火を付けると、美味しそうに吸い出した。
「仕方ない子ねぇ。……じゃあ、お店のバーテンなんてどう? 時給はそうね……2,500円くらいでどうかしら?」
「に、2,500円!? そ、それがいい。や、やるよ!」
「じゃあ来週からね。場所は都内のT区で、夜11時から朝の5時までの勤務。週四出てくれればいいわよ。働く曜日も最初は好きに決めていいわ」
時給2,500円だと6時間で1日15,000円。週四だと月16日でえーっと……に、24万!?
週四勤務なら音楽創作に時間を費やせる。それに絵未と会う時間だって……!
「ありがとう香流! 恩に着るよ!」
香流は妖艶に、フフフと微笑んだ。
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