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末っ子、夕雨

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僕は夕雨(ゆう)。
姉は暁(あき)、兄達は快(かい)と晴(はる)。
僕だけなんだか名前が雨、生まれた時に雨が降ってたんだって。

僕が中学三年生になる時、快兄ちゃんが彼と暮らすって家を出た。
姉ちゃんと晴兄ちゃんは、既に居なかったから、一人っ子みたいになってしまった。
受験もあったし、静かな環境で勉強出来たのは良かったかな。
成績が悪くなければ大学に進める、私立の高校に合格できた。

高校の入学説明会に来て、うっかり大事な事を忘れていた、、、男子校だった、、、。
僕は15年間、好きな人も出来ずに過ごしてきた。
高校に期待していたのに、、、女子がいないなんて、、、。
兄ちゃん達を見ていて、男はないだろうと思ってた、、、、、、あの日までは。



トイレに行ってて少し遅くなってしまい、体育館に急いで向かっていた。
倉庫の扉が少し開いてて、閉めようと思って近付くと、声が聞こえる。
誰かいるなら閉めなくても、と思った時。
「あっ、あん、だめ、いっちゃう、、、」
そんな声が聞こえて、つい覗いてしまった。
声を出してる子はあっちを向いてて、シャツは捲れてるし、ズボンと下着は降ろされて。
彼の後ろにいる子に、胸を触られて、たぶん、ペニスを扱かれてる。
触ってる子は制服のままだ。
あ、こっち見た、気付かれてないよね。
体育館に行かなきゃ。
さっきの、、、新入生代表で挨拶してた生徒に似てたような、、、まあ、気のせいか。

体育の授業が終わり、遅刻の罰として片付けをしていた僕に、制服の彼が声を掛けてきた。
「今日、時間ある?」
「さっきのことなら誰にも言いませんよ」
「そうじゃなくて、君に興味があるんだ」
「は?僕は無いですけど」
「ああ、、、性的な興味じゃないよ、どんな人物なのか気になったんだ」
「とにかく無理です」
「放課後、教室に迎えに行くから、待ってて」

あ、ホントに来た。
「上野くん、行こ」
手を引かれ、、、端から見れば連行されてるみたいだ。
「わかったから、手、離してよ」
「それはダメ、逃げそう」
体育倉庫、、、ではなく、駅前のハンバーガー店に入る。
彼、、、じゃない、成田くんが飲み物を聞いてきた。
「コーラで」
飲み物とポテトを注文し、席に座る。
「上野くんは家近いの?」
「電車で乗り換え無しだから、近いほうかな」
「ふーん、オレは歩いて五分くらい、一人暮らししてる」
「え?一人暮らし?」
「あー、オレんち地方でさ、高校から入りたいって我が儘言った、家にいたくなかったから」
「複雑なの?あ、僕の家はまあまあ複雑」
「親父は金持ちで、オレは愛人の子供なんだ、大学卒業までは面倒みてくれるって」
「それは、、、家にいたくないね」
「上野くんは?まあまあ複雑、聞きたい」
「姉と双子の兄達がいるんだけど、姉は結婚してて、兄達はそれぞれ男のパートナーがいるんだ、二人とも同棲してる」
「ふぅーん、、、だから、オレのやってること普通に見てたの?」
「普通、でもないけど、男同士でも気にしないってくらいかな」
「そっか、ね、オレと友達になってよ」
「やだよ、さっきの子とかに睨まれそう」
「別に付き合ってないし、大丈夫だよ、たまに抜いてあげてるだけ」
「普通の友達だからね、手を出したら絶交ね」
「んー、わかったー、時々こうやって話そ」
「逃げないから手は掴まないでね」
「オッケー」


~~~~~~~~~~

長くなったので、分けます。
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